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酒ブタという遊戯
還暦を迎えた己の趣向性を顧みてみる。
蒐集癖、レアもの好きの習性が培われたルーツを鑑みるに「酒ブタ」だと確信するに至る。長文だがGWと言うことで、記す。
酒ブタとはその名の如く酒の一升瓶などのフタのことだが、往年の少年たちにとっては相手の酒ブタを自分のフタの縁でパチンと弾き、ひっくり返すとゲットできると言う、メンコに似た遊びの道具であった(画像は拾い)。
昔は下の部分が大抵コルクでできており、その部分をBONナイフで上手くこそげ落とすとメダル様の「酒ブタ」が完成する。
蓋の表面には酒の銘柄の様々な意匠が施されており、金属(アルミ?)製ゆえキラキラと輝き、適度な重さもあって、少年たちにとっては仮面ライダーカードやプロ野球カードのようなコレクションの対象となった。
それらは前述の勝負による戦利品としての他に、酒屋の裏に積んである回収済みの酒瓶からゴッソリといただくことで入手することができた。
黄桜や松竹梅はありふれていた。月桂冠も同様にありふれていたが、シルバーの地金部分の面積が多く、キレイだったので私の中では評価が頭一つ高かった。剣菱にはオレンジ色と黒色があり、黒色のものがレアとされていた。
さらに激レアな「青剣菱」が存在すると言う噂があったが、「いとこの知り合いが持ってる」的な、注目を浴びんと欲する幼少期特有の虚言か、「ジョニ黒」に憧れる父親の虚栄に端を発した作り話であろうと見抜いていた。それらの事象はややもすればその後に顕在化するいじめや格差社会問題を予見していたのかも知れないと言ったら飛躍し過ぎだろうか。
知らず知らずに売れている酒、売れていない酒が刷り込まれ、のちに生かされることとなるマーケティング感覚を身に付けたのもこの頃と思われる(ウソ)。
稀に今で言う地方の地酒や、見たことのない酒ブタの発見はとてもショッキングに捉えられ、ゲットしたヤツは羨望、垂涎の的となった。ネットなどのない時代のしかも子供同士の話であるから、全国にどんな銘柄があるかなど知り得るはずもなく、激レアモノ探求の旅は私に無限の夢をくれたのである。
かくして私の蒐集する喜びはまさに酒ブタによって始まり、それが現在に至るまでの人格形成の礎となっているのである。
と、ここまで書いておいていささか恐縮ではあるが、今日お伝えしたかったことは冒頭の2行で全てが言い尽くされていることは何卒ご容赦いただきたい。
#酒ブタ #昭和 #昭和の遊び
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