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アポラクトフェリンのカビ抑制力

不定期連載 アポラクトフェリン(18)

アポラクトフェリンには真菌(カビ)の繁殖を
抑える効果もあります。特に皮膚や粘膜の
炎症を引き起こす原因菌であるカンジダ類に
対して、大きな効果を発揮します。

ある化粧品会社が実験したところ、
化粧水に極めて低濃度(0.1%〜0.3%)の
アポラクトフェリンを加えるだけで、
カンジダ菌の増殖が抑えられたという
報告があります。ある研究グループが行った
試験管内の実験でも、アポラクトフェリンの
添加量が多いほど、カンジダ菌に対する
抗菌作用が強まることが確認されています。

カンジダ菌は、寝たきりの高齢者に見られる
褥瘡(床擦れ)の前段階に患部で増えることが
知られています。アポラクトフェリンは、
この褥瘡対策としても効果を発揮します。

ある老人保健施設では、2005年頃から
約150人の入居者を対象に、
アポラクトフェリンの外用液を
使用しています。毎日体を拭いた後、
アポラクトフェリンを1%含んだ水溶液を
背中に噴射することが、褥瘡の抑制に
とても役立つという報告がありました。
すでに褥瘡ができてしまった人でも
皮膚がきれいになります。

アポラクトフェリンには合成抗菌剤のような
即効性はないものの、天然由来の成分ゆえ、
耐性菌が生じる可能性は非常に低いです。
合成抗菌剤は即効性はあるが、
長く使用することで耐性菌が生じ、
次第に効き目が悪くなります。

食品に生えるカビを抑える効果も
見いだされています。特にパンや餅に
生える青カビによく効きます。写真は、
パン生地にアポラクトフェリンを混ぜて
焼いたまま室内に14日間放置した様子です。

何も加えていないパンは、当然カビだらけに
なります。アポラクトフェリンを0.1%加えた
パンには、ごく一部にカビが生えています。
1%加えたパンには全くカビが生えません。
3%加えると、パンを焼いてから
2ヶ月経ってもカビは生えませんでした。

合成の防カビ剤を使用してもカビは
生えません。しかし、毎日のように口にする
パンやご飯類に防カビ剤や防腐剤を
使うことには不安が付きまといます。
防カビ剤や防腐剤を大量に添加された食品を
食べて育つ子供たちに、数十年後どのような
悪影響が出るか、想像がつかないためです。

しかし、アポラクトフェリンは母乳の
成分でもある天然物質なので安心です。
摂り続けると細菌による腸感染の期間が
短縮され、感染の程度が軽くなるという
報告や、風邪を引きにくくなるという
報告もあります。

井上浩義
『アポラクトフェリンのすべてがわかる本』
アーク出版 2015年 pp.46 - 49

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