ウェブンブンチャンプ2020審査後記。

昨夜、私が審査員を務めさせていただきました『ウェブンブンチャンプ2020』の審査結果が発表されました。

ウェブンブンチャンプ2020は、
「ピン芸」「漫才」「コント」「コメディ」
その他ネタのジャンルを問わず
一番面白いアマチュアネタ動画を決める大会です。
エントリーいただいた全ネタ動画を、
審査員が閲覧し、審査員の総合評価により
優勝ユニットを決定します。
(ウェブンブンチャンプ2020公式ブログより)

昨年行われたアマチュア芸人No.1を決める大会『ブンブンチャンプ』が
コロナウイルスの影響により舞台での開催は中止。
今年は特別に動画1本のみで優勝を決める『ウェブンブンチャンプ』となった、といった経緯です。


その総合結果および私の選んだ1〜5位のユニット、そのネタコメントなどがこちらで公開されております。
こちらの内容を交えながら私の審査基準であったり
コメントに書ききれなかったことなどを補足していこうかなと思います。

http://blog.livedoor.jp/boonboomlive/archives/32350498.html

吉岡

私以外の審査員4名様は昨年の審査員も務められていた上に業界の大先輩方々。
一方お前は誰やねんと思われている方もいらっしゃると思うので
簡単な経歴などこちらをご参照ください。
そして仕事ください。

ひとまず審査結果見て

ジャンル問わずな上に、審査対象は動画1本のみですから
過去の舞台映像でエントリーされる方もいれば
無観客で自宅、カラオケボックス、野外で撮影した映像、
編集を加えた映像、アバターに漫才させる方なんかもいてはりました。

不公平があってはならないので舞台映像でもお客さんの笑い声は無視するなど
一切の先入観を取り払い、自分の感性のみで審査する必要がありました。

それを踏まえて私の審査基準は「ただただ面白いと思った順」としました。
後述しますが、なんらかの要素で加点・減点、といったことは一切しておりません。

とはいえ総合結果と自分の審査があまりにかけ離れていたら自分の感性を疑ってしまう。
審査結果が出るまでむちゃくちゃ緊張してました…。

結果、順位こそ違いましたが総合結果の上位3組と私の上位3組が一致。

これは安心しましたね。

詳細に心情を綴るのなら
「よかったあああああああああああああああああ
 こわかったよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんんん!
 感性びんびん!ぴーすぴーすぴーす三連複ぴーす!!!」でした。

審査方法・経緯

主催者から
・1〜5位ユニット名&ネタへのコメント&100点満点での点数
・6〜10位ユニット名のみ
・気になったユニット名&ネタへのコメント
・総評

を送るように依頼されていました。

今回の出場ユニットは47組。
全47組に点数をつけながら見て、ネタごとに微妙な差違を調整…できたら良かったのですが
そんな器用さや記憶力は持っていなかったです。

何も考えず楽しく全組見る!
上位10組に入りそう!と思ったユニット名をメモ!

そんなmy一次審査を通過したのがピタリ10組。
そのまま10組で1〜10位を決めました。

決して適当な審査をしているわけではなく(笑)

「ただただ面白いと思った順」を決めようとする時に
構成が〜とか技術が〜とか作家みたいな考え方が邪魔に思えるんです。
荒削りでも直感で面白いと感じたならストレートに評価したい。

何も考えずに楽しんで、ワーッと笑って、「面白れー!」っていう感情だけ覚えておいて
あとから「なぜ面白かったんだろう?」「もっとこうしたら面白くなるかな?」と考察する方が楽しい。

今回のような動画審査は何度も見られるのが利点の一つと考え、この方式で絞らせていただきました。
10位以内に入らなかった方々は面白くなかった、ではないです。もちろん。レベル高かった。。


10組に絞れた段階で、その時の記憶のみで1〜10位を仮決定。
そして10組のネタをもう一度、今度は作家目線で見させていただきました。

なにぶん記憶力が弱いので「やっぱりこっちの方が面白かったな」みたいなことがたまにあり。
2〜3組ほど入れ替えて1〜10位を確定。

改めて記録しておきます。

1位 とれたて力
2位 Xe
3位 じゃがいもタルト
4位 どくさいスイッチ企画
5位 パルボロイン
6位 スレッジハンマー安藤
7位 鉄腕打線
8位 トルクレンチガールズ
9位 ふねしぼり
10位 若仙人

1位とした「とれたて力」さんは文句のつけようがなかった、
でも100点を付けてしまうと他審査員とのバランスが悪くなりそう、という理由で98点。
2〜4位としたユニットの方々は1位を基準として相対的に点数決定。
これに関しても細かいことは考慮せず、自分が面白いと思った感覚のみで決めました。
「う〜ん、構成が良かったからプラス2点!」みたいなことは今回してないです。

ここまで決定してからコメントを書き始めました。
ネタ中になんとなく感じていたことをザーッと書きだし、
先ほど書いた、感情の記憶からの考察を加えてまとめ。

面識のない方々ばかりなので、ここで伝えられることは全部お伝えしたいと思い
ユニットによってはダメ出しのようなことも書きました。

しかしこれは個人の見解です。作家のダメ出しは正しいとは限りません。
多少の経験則を含めて言ってはいますが、所詮想像です。
正しいか間違っているかはお客さんの笑い声が下します。

占いと同じで、言われたことが刺さるなら参考にしてもらっても良いし、「?」と思ったら無視して良いです。


後悔が残るのは気になったユニットを一組だけだと思い込んでしまっていたことですね…。
結果発表の動画で他審査員の皆さまが多数のユニットの名前挙げていくの見てブルブル震えました…。

今から挙げるのもアレなので気になるようでしたら気軽にDMなどでお声掛けください。

挙げたスレッジハンマー安藤さんは6位とさせてもらったので実質1位から順番にコメントしただけ。
でも順位関係なく気になったユニットを一組選ぶなら即決でしたね。あんなネタ大好き。

そんなこんなで直感的に審査させてもらいましたが、
改めて考えてみても揺るがない順位はつけられた気がします。

総評の補足

今回は動画一本のみの審査と、例年とは違う審査方法でありました。
それだけにネタとは関係ない部分の個性も見られて非常に興味深かったです。
例えばネタ終わりにカメラを止めに行く姿。気の抜けた表情。
すぐ片付けられるような私物の映り込み。
それが映っているまま投稿するのと、不要な部分をカットして投稿するのでは、やはり見る側の印象は多少変わります。
あくまで今回は審査対象の動画であり「人に見せる物」であることを意識して欲しかった、と個人的には思いました。
客観的に細部を意識していくことで、ネタ中の所作や間などへの意識にも繋がってくるかと思います。
(吉岡総評より)

この下り、入れようか入れまいか、かなり迷いました。
今見ても「なんでこんなこと書くねん」って思てまいます(笑)

主催の中岡さんにも「そぐわないならカットしてください」とお願いもしていたのですが
お願いしながら「じゃあ書かんかったらええやん」って思ってました(笑)


ほななんで書いてん、ですが。

大会のレベルが高かったからです。

だからこそ、もったいねー!と思いました。

この状態で動画を送っているユニットが少なくないということは
恐らく言われなければ気づきにくいポイントなのかもしれません。
あの場が一番多くの人に見てもらえると思って書きました。

細かいことええやん、おもろかったらええやん、も分かります。

ただ、私の感覚では、受け答えが完璧にできるから就職面接に私服で行く、ぐらいの話なんです。もったいない!
大会で唯一悪い意味での「アマチュア」を感じてしまいました。


今回急遽動画審査という形式になり、世の中は外出自粛。
エントリーに適した舞台の動画がなかった皆さんは苦肉の策で撮影に挑まれたと思います。

なので場所がどこであろうと仕方ないのですが
何分も動画を見ているとネタをしている人以外の映り込んでいる物も目に入ります。
これ、めちゃくちゃ気になるんです。

舞台の動画を送っているユニットは余計な物が映る心配もなく、お客さんの笑い声まであります。

じゃあ無観客で撮影されたユニットは不利かと言えばそんなことはなく、
納得がいくまで何度でも撮り直しができるというメリットがあったはずです。

自分で動画を見返した時に何も気にならなかったのか?
ネタ終わりの不要な1,2秒をなぜカットしないのか?
結構な噛み方をしていたりミスをしている、この映像が本当にベストテイクなのか?

自分たちの動画の細かいところに目をやれる、
ということは俯瞰的に自分たちを見つめられることに繋がります。

人前に立つ上でこんなに重要なことはないと思っていて、

芸人であればネタ中の細かな言い回し、間、を意識することは「技術」
ネタ中の所作やキャラにあった衣装、ビジュアルなどを意識することは「華」
みたいなものに繋がってくるんじゃないかと思っています。

今回の大会、上位の3組はネタのクオリティだけでなく、全てのセリフの耳心地がとても良かったです。
相当自分達のネタを客観的に見つめて研究したんじゃないかな。
誰が見ても面白い、となるネタはやっぱりこういうところも重要だと思いました。


現状の日本はコロナを乗り切ったとは言いがたく
更に規模の大きな大会でも限りなく近い形の審査方法が取られる可能性は十二分にあります。

審査基準の下りで述べた通り、私は今回これがあっても減点はしていません。
ただ、心証は悪いです。気にならない審査員はいないと断言できます。
他の審査員の減点対象にならない、とは言い切れません。

というわけで今後もこういった機会があれば心に留めておいて欲しいなと思って書きました。

あと久々にネタを作家目線でじっくり見てて熱くなりました(笑)

THE書き切った!

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