歴史と経済100~21世紀の経済学~

歴史では国境がなくなり、世界が一つになるという考え方が広がりつつある。
一方で、経済ではローカリゼーションが進行すると言う話もある。
まさしく両者は理想と現実。
これをどう統合していくのかを21世紀は考え、実現させるべきだろう。
地球環境問題や貧困の撲滅など、世界が一体となって取り組むべき課題は切迫した状況にある。
一方で、日本では少子高齢化が進行し、消滅可能性都市と言われる自治体運営に支障をきたす市町村もこれから出てくるであろう。
この時に、地方経済をどのように活性化させるのかに知恵を絞っていかねばならない。
そして、アジアに世界経済の主軸が移って来ており、同時に日本は少子高齢化を控えている状況にある。
右肩上がりの成長を続ける経済のあり方は、21世紀においては現実的ではない。
爆発的成長の後には、定常的、持続的な経済のあり方が待っているであろう。

地球全体の視野、アジアの視野、日本の視野、地域の視野、それぞれのスケールで自分たちの取り組むべきことは変わってくるものの、これらは互いに緊密に結びついている。


そして、未来に向けて最適解を求めていこうともうならば、歴史の教訓と知恵から学びたい。
世界とつながる必要性があるのだから、経済の動きや言語理解も不可欠になってくるだろう。
なぜ、現代世界の主要語が英語なのか。
これを語るには、19世紀に産業革命をブレイクさせた大英帝国の存在は外せないだろう。
そして、この帝国が提供した国際公共財と呼ばれるような経済インフラの存在がアジアに大きく影響を与えた。
元々、アジアにはムガル帝国や清朝など巨大帝国が存在しており、ヨーロッパ人から羨望の眼差しで見られていたエリアである。
17世紀の世界GDPの比重を見れば、第1位中国、第2位インドとなる。
これが、資本主義経済の広がりによって、世界は工場か原料供給地や市場となるかに分割されていくこととなる。
欧米列強が帝国主義による武力を伴う植民地獲得競争を開始し、GDPの比重も欧米諸国が大きな比重を占めるようになった。
そして今、ここに再びアジアへの回帰現象が起こっているのであり、このような経済的潮流を歴史的に俯瞰し、未来を考えることが必要になるだろう。


そして、ここから先、地球的視野の下に「持続可能性」を探っていくアプローチと少子高齢化に対応した「真の成熟社会」を形成する福祉的アプローチを統合的に考えていく必要がある。
これは、もはや不可欠な要素であろう。

ここに説得力と実際的な解決を求めていくために、私たちは歴史を学ぶことができるのであり、歴史を活用していくべきなのではないか。


当然ながら、歴史は人間が作り出すものである。
経済の動きに伴って、人の移動が起こってくる。
このアジア経済のプレゼンスが高まってきている源流はどこにあるのか。
歴史的起源を求めるならば、大英帝国に対応しつつあったアジア間貿易にその萌芽を見出すことができるのではないか。
そして、それを促進したのは華僑や印僑と言われる、バイタリティのある商人たちがネットワークが繫がりを生み出した。
彼らは、見ず知らずの土地に移住し、コミュニティを形成した。
それぞれに勤勉さやカースト制度など社会的宗教的特性として備えつつ、資本主義のルールに基づいて貪欲に利潤を追求した。

その名残は現代の神戸にある南京町やインド料理店、ムスリムモスクなどに見出すことができる。
そして、日本の海外交易を三井のどの大手商社とともに支えてきた。
これが戦前のの日本の経済を支え、戦争を乗り越え、戦争に負けた。
近代においては、世界的にも経済が起点となって歴史は変動していくこととなった。


経済が国を変える時、現実的にどう行動すればいいのかを考えることになる。
その問いに正面から向き合うために、歴史を探究してみる。
そして、自分たちが目指す方向性が正しいのかに確信を持つことが大切であろう。
明日の生活を支えている経済という「現実」を大切にするのと同時に、将来世代に残す未来を切り拓くためには歴史学による深い洞察が必要である。



この100のテーマはこのようなコンセプトの下で綴られてきた文章である。
死に体の暗記科目に成り下がったままでは、歴史の恩恵は享受できない。
それでは、より良き経済の世界を展開できないことになるだろう。
経済はとりもなおさず、明日の現実。
明日の指針に確信が持てなければ、より良き未来は棚ぼたを期待する他なくなる。
それが現代を生きる世代の姿勢として正しいだろうか。
刹那的に、その場限りの時間の過ごし方をしていては、未来世代に対して顔立てができなくなるのではないか。

歴史から現実を深く学び、未来を真剣に考えていく。
そんな姿勢がより求められてきている気がする。
そして、世界の変化の速度が上がってきていることは否めない。


現実的に理想的に考えていくためには、経済と歴史という視点を統合的に捉え、未来を構想していくことが重要ではないか。

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