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正の強化を使った馬のトレーニング

Karen Pryor Academy ライブエピソード#27では、馬の正の強化トレーニングのパイオニア、ショーナ・カラシュをゲストに迎えお話を聞きました。

ショーナ・カラシュのパワフルで人道的な行動訓練テクニックは、馬術のプロ、競技者、アマチュアを問わず、斬新な体験を与えています。彼女は本やビデオ、ポッドキャストを制作し、クリッカーやブリッジシグナルの使用を含む、馬のための体系的な正の強化トレーニングの概念を教えるために世界中で活躍しています。ショーナは、その熱意とユーモアのセンス、長年のトレーニング経験、そして動物や人間との信頼関係から、世界で最も優れた正の強化トレーナーの一人として知られています。

現在ショーナは、ニューメキシコ州サンタフェにあるVia Nova Trainingのチームにおいて、ポジティブ強化トレーナーおよび動物行動学の専門家として活躍しています。

何故、海洋生物から馬のトレーナーに?

ショーナのトレーニングのキャリアは、馬術の世界とはかけ離れたシーワールドで大型の海洋哺乳類を相手にした仕事から始まりました。イルカ、アシカ、シャチのような動物は、強制することができません。これらの素晴らしい生き物が人間のトレーナーとの行動に自発的に参加するよう求めるには、正の強化方法のみが有効なのです。馬を無理やりトレーラーに乗せることはできても、セイウチにそれをすることはできないのです。

トップレベルの馬術競技会を観戦したとき、ショーナはすぐに報酬に基づいたトレーニングが、馬の意欲を馬術競技に引き込むのに有効であることを気がつきました。まだ古典的な訓練がされたいた馬の世界は、ショーナにとって正の強化トレーニングを開拓する全く新しい分野として目の前に広がったのです。

正の強化が機能しないと言われた理由

しかしその頃。馬に従事していた人たちは口を揃えていいます。馬にはその方法は通じないんだと。

馬はただでさえ口を動かすのに忙しい動物なので、食べ物を強化子に使うなんて出来ないと考える人が大多数でした。確かに馬は食べ物に気を取られがですが、それは食べ物そのものの問題ではなく、与えるタイミングであったりそのシステムにあります。

食べ物を強化子にすることで、食べ物なしでは行動してくれなくなることへの懸念です。これも、最初は頻繁に食べ物を使いますが、そのうち持続時間の追加や行動自体がゲーム性を帯びることで、食べ物を使う頻度は少なくなってきます。

クリッカートレーニングを始めると、瞬く間に人々はその新しいアイデアに興味を示し取り入れ始めましたが、正しい使い方をできないで投げやってしまう人も続出しました。知識のなさが失敗を招くのを目の当たりにしたのです。

ショーナはこうしたことを人々に伝え理解してもらわなくてはなりませんでした。

賛同者の支援

その後、ショーナの考えに賛同したトップトレーナーのジョン・マデン氏に招待され、世界的に有名なマデン農場のトレーニング施設に参加しました。この牧場は、馬用の正の強化トレーニングを適応させるための試験的な施設となりました。

オリンピック選手のビージー・マデン氏は、ショウジャンパーとして有名なジャッジメント(現ジャッジメントISF)にシャウナの陽性強化トレーニング法を教え、水への恐怖心を克服させ、スプルースメドウズで行われた100万ドルのCNインターナショナルをはじめ、多くの国際的なショウジャンプの勝利を収めることができました。ビージーの数十年にわたる国際的なトップ選手としての華々しい成功は、騎手および調教師としての並外れた才能と技術だけでなく、ショーナがマデン農場で最初に開発した報酬ベースのトレーニングシステムによるところも大きい。Shawnaは、障害飛越、馬場馬術、イベント、ドライビングの分野で、数多くのオリンピック選手や国際的な競技者と一緒に仕事をしてきました。

トレーニングの最初のステップ

クリッカーは古典的条件づけで素早く教えてしまいます。問題になるのは、馬が食べ物を求めてトリーツバッグに頭を寄せてくることです。これが習慣化しないように、頭を真っ直ぐ正面に配置する練習から入ります。最初は正面というより、トレーナーから頭を背けた位置に頭を自ら持って行くこと路を強化していきます。

これは安全なトレーニングをするためにもとても大事な最初のステップとなります。

グランドワーク

グランドワークは地上で馬のことを知り、馬に接するとこの姿勢や立ち位置、コミュニケーションの取り方を学ぶことができます。ショーナはこのグランドワークを正の強化を使って丁寧にレッスンを行っています。クライアントによってはすでに多くの乗馬経験を持ち、地道な基礎練習に苛立ちを感じる事もありますが、彼女は馬がグランドワークに集中して楽しく参加することがどれほど大事であるかを説いています。

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↓ 参考(英文)

クリッカーを使うときの考慮

馬だけに限ったことではありませんが、大きな音を嫌う動物もいます。時にはクリッカー音を聞いて、まるで電気ショックが走ったかのように驚く馬もいます。音に敏感な馬には、クリッカーを手で覆ったり背中に回してならしたり緩衝しながら使います。そのうちクリッカー音を二次強化子として認識できるようになると、音を楽しいものに感じてもらえるようになります。

外の広大なフィールドで使うことを考えると、実際クリッカーの音は大きい方がよく、そのためにも素早くクリッカーを覚えてもらう事が必要です。






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