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犬のプレイグループ

Karen Pryor Academy ライブエピソード#20は、Shelter Playgroup Allianceを運営するマーラ・ベレズお迎えて、保護施設で犬同士が遊ぶことをエンリッチメントとして取り入れる手順について語りました。

マーラ・ベレズ(MA, CPDT-KA)は、シェルター・プレイグループ・アライアンスのエグゼクティブ・ディレクターであり、認定プロ・ドッグ・トレーナーでもあります。マーラは10年以上シェルターで働いています。直近では、コントラコスタ・アニマルサービスの行動・トレーニングコンサルタントとして、強力なボランティアトレーニングプログラム、改訂された行動評価、犬のエンリッチメント、プレイグループガイドラインなどの行動プログラム構造を共同で設計、開発、実施しました。これらの手順は、シェルター・プレイグループ・アライアンスのガイドラインの基礎となりました。マーラは、心理学の学士号と修士号を取得し、教育学の博士号取得のためのコースワークをすべて完了しています。

動物行動学やトレーニング関連のプログラムを修了しただけでなく、セミナーに参加したり、科学的根拠に基づいた犬に関する文献を読んだりして、犬に関するスキルや知識を継続的に身につけています。現在までに、2,500時間以上の継続教育を受けています。マーラは、トレーニングや観察のスキルを向上させるために、他の動物のトレーニングも楽しんでいます。これまでに、猫、ウサギ、オオカミ、キツネ、モルモット、コヨーテ、バッファロー、ロバ、ヤギ、アルパカ、ニワトリ、鳥、魚などを扱ってきました。

シェルター・プレイグループ・アライアンス

シェルター・プレイグループ・アライアンスは、Lisa Mullinax、Kiem Sie、Mara Velezの間で交わされた、犬同士の遊びを管理するためのベストプラクティスに関する会話から生まれました。 北カリフォルニアのシェルター専門家を集めてアプローチを議論し、ベストプラクティスを共有するというアイデアを提示されたLisaとサクラメントSPCAのビヘイビアチームは、集まりの場を快く提供し、2018年の晩春に開催されました。2日間に45人近くのシェルターの行動専門家が集まりまり議論とプレゼンテーションが繰り広げられました。

この事業は、保護犬収容所にエンリッチメントを提供することを目的としています。プレイグループ(犬同士の遊び)をエンリッチメントに選び、団体の名前に取り込んだ理由は、
 ◆ 通常保護施設には運営にそれほど資金的余裕がない
 ◆ 安楽死を選ばなくなったことで収容頭数が増えた
 ◆ 犬同士が遊ぶ姿は魅力的で人々の関心を引きやすい
プレイグループを作るためには、しっかりとしたプログラムが必要とされます。収容所にいる保護犬たちのほとんどはプレイグループで快適に過ごせません。プレイグループに向かないと判断した場合は、犬同士の遊び以外のエンリッチメントを提案します。

遊びとは何?

マーラは「遊び」の明確な定義はしていませんがと前置きし、遊びとは純粋に楽しめるものと言っています。そして、楽しいとはどのように可視化できるかを説明しています。
 ◆ 緩やかな背骨のカーブ
 ◆ 弛緩した筋肉
 ◆ 定期的に適度な距離を取り合う
 ◆ 定期的に休憩を挟む
通常犬同士の遊びは5分くらいで終わり、30秒に一度くらい休憩が入ることが観察されています。

犬が遊びに興味を持つには?

どの犬も遊びたがるわけではありません。通常犬は信頼のおける相手以外とは遊びたがらないものです。保護センターに収容された犬で、犬同士の遊びに興味を持つ犬は4分の1ほどだとマーラは述べています。そして犬同士の遊びを形成するために
 ◆ 遊びに興味を持っているか見極める
 ◆ 沢山の犬に合わせてみる
 ◆ 楽しく遊べるスキルを積めるようにトレーニングする
などの準備が必要となってきます。

犬同士を引き合わせる手順

● リーシュ付けてフェンス越しに接触
フェンス越しであることは、安全を確保するための一番基本となる方法です。フェンス越しで犬同士が接触を試みることで、もしハンドラーが判断を誤った場合も、事故を防ぐことができます。いきなりフェンスに近づくことなく、犬が興奮していないか、息遣いが荒くなっていないか、筋肉は弛緩しているかを見ながら、フェンス越しに二頭を近づけます。好意的な接触であっても、短時間で一度呼び戻しフェンスを離れて様子を見るのがいいでしょう。注意を惹きにくい犬には音が鳴るおもちゃを使ってハンドラーに注意が行くようにしてもかまいませ。

 リーシュを巻き付けて簡易ハーネスを作る
シェルターでは十分な道具がそろっていない事も多々です。興奮しやすい犬には首に過度な刺激が加わらないようにハーネスの装着が理想ですが、シェルターに常備されていない時もあります。そんな時に使うテクニックが、リーシュを身体に巻き付けて簡易ハーネスを作る手法です。完ぺきとはいきませんが、少しは首への負担が軽減できます。

● ボディランゲージを読む
犬はどんな状態であるかは想像ではなく犬のボディランゲージを読むことで情報を得ます。マーラはシェルターで、ボディランゲージやエンリッチメントの作り方を学ぶ3日間のワークショップを提供しています。
 ◆ 背骨は緩やかにカーブしているか
 ◆ 筋肉は弛緩しているか
 ◆ 瞳が開ききっていないか
 ◆ 呼吸が荒くなっていないか
様々な部分から、犬の状態を知る情報を得ることができます。その情報に沿ってハンドラーは次のステップを判断していかなくてはなりません。

● 距離を取ることの強化と評価
最初の本当に短い接触の後、他犬から距離を取ります。その時に強化子のトリーツを出します。人によっては他の犬の前でトリーツを食べさせることの弊害を心配するようですが、マーラはこの件に関しては全く問題視していませんし、問題が起こった前例もありません。

大事なことは、そこで犬がトリーツを受け入れるか否かも、評価を出す基準となり得るのです。

犬がトリーツをた食べない、興味を示さない場合は、他に犬の存在が気になっていると考えられます。逆に、食べ物に執着した場合は、他の犬との遊びにはあまり興味ないと判断できます。このように、マーラは強化子としてのトリーツを与えながらも、観察を怠ることはありません。

Inter-Dog Playgroup Guideline (英語)

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