Q&A 科学的であることの重要性
Q3. 体罰や嫌悪刺激を使わないが科学的ではないトレーニング方法について、皆さんはどう思うか聞いてみたいです。
私がインスタでたまたま見つけたとある人物(ご自身のことをドッグビヘイビアエキスパートと言っています)は食べ物を一切使わず、体罰も嫌悪刺激も使わず、エネルギーで会話し導くそうです。これだけ聞くとなんか宗教っぽいですが、投稿を見る限りでは結果を出しているようなんですよね。SNSなので嘘はいくらでもつけます。ただ、あくまで私が感じることですが、インチキのようにも思えません。
動物のトレーニングにおいて科学的であることはどのくらい重要なのか、意見をお聞きしたいです。
A. 実際にご質問者の見た”エネルギーで導くトレーニング”を拝見しなければ、正確に何がなされているのか検証し判断することはできません。ここでは回答者が目撃した類似の体験から推測したお答えとなります。
飼い主さんがリードを持つとうまくいかないのに、トレーナーがリードを持つと犬が変わったように大人しくなった場合、そしてトレーナーが「私のエネルギー」が犬に伝わり犬の行動を変えていると説明したならば、犬の制御に苦しんでいた飼い主さんは信じてしまうかもしれません。でもそこには、犬の行動を制御する物理的な何かがあるのであって、決して霊感的なエネルギーを感じて犬が行動を変えた訳ではありません。注意深く観察していると、行動制御をされた犬は嫌悪刺激を受けている事がほとんどです。チョークカラーやスリップリードを使わなくても、通常の首輪でも、正確に急所(首の最も敏感な部分)を狙えば、周りの人が気が付かないくらいの的確さで嫌悪刺激を与える事が可能です。嫌悪刺激を使っているところを目撃しなくても、その後の犬の表情態度を見れば何が課せられたか想像が付きます。
昨今、トレーニングが科学的根拠に基づいたものであることが強調されるようになってきましたが、科学とはモノを道理を説明する道具であって科学を使ってトレーニングをする、とは意味合いが違います。プロであれば自分が計画したトレーニングが有効であることをクライアントに説明する義務があります。その明確な説明をせずに、「それはエネルギーで導かれているのです」と言われて飼い主さんは理解できるでしょうか? ビフォー・アフターだけ見せられて手順の見えないトレーニングにも説明を求めるべきでしょう。そこで明確な説明が出来ない”トレーナー”にはプロではないと疑いをもってみては如何でしょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?