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Patricia McConnell, PhD 動物学者

Karen Pryor Academy ライブエピソード#9では、パトリシア・マコーネル博士をゲストスピーカーに迎えて、彼女のライフワークを垣間見ました。内容は多岐にわたりますが、まとめてここでご紹介します。

パトリシア・マコーネル博士(Patricia McConnell, PhD)は、動物学者であり、公認応用動物行動学者(CAAB)であり、人と動物の関係を改善することに生涯をかけて取り組んできました。彼女は、犬や猫の行動やドッグトレーニングの専門家として、また、魅力的で知識豊富なドッグトレーニングの本、DVD、セミナーで世界的に知られています。パトリシアは、1988年から深刻な行動上の問題を抱えるクライアントを診察しており、ウィスコンシン大学マディソン校で25年間にわたり「人間と動物の関係における生物学と哲学」を教えてきました。彼女のラジオ番組「Calling All Pets」は全米110都市以上で放送され、14年以上にわたって行動問題や動物行動学の研究に関するアドバイスを行ってきました。

パンデミックにおける動物の心理

家庭犬の環境はコロナ禍になって大きく変わりました。飼い主がずっと傍にいることは、犬にとってとても嬉しいことであると同時にストレスでもあります。通常長い睡眠をとる犬は、飼い主が家にいること常に刺激を受け、散歩やトレーニングの時間も増え、明らかに疲れています。

犬を疲れさせる要因は他にもあります。犬は他者の感情を感知する事ができます。パンデミックでストレスを抱え、常に同じ空間にいる家族と時には争いが起こったりと、そんな飼い主の感情を受け止めストレスを感じていると考えられます。

分離不安

コロナの影響で四六時中飼い主が家にいることに慣れてしまった犬は、今後飼い主が出かけるようになると、分離不安を引き起こすのではないかと心配する人もいます。

そもそも分離不安を抱えている犬には、このパンデミックは分離不安解消トレーニングを始めるのに絶好の機会です。まずはほんの5秒から始め、犬を置いて部屋をでてみましょう。

しかしパトリシアが危惧すのは、分離不安を抱えているか否かに関わらず、飼い主が帰宅した時の状況。1日の仕事を終えて帰宅した時、1日休息を取っていた元気有り余る犬が飼い主をお迎えすることになります。その時、これからすぐ2時間ものお散歩に出るのは無理と感じ犬に対してあまりいい対応が取れないのではないでしょうか。そんな時は飼い主が疲れていても出来る、かつ犬にとって楽しいゲームやトレーニングを用意しておくといいでしょう。例えば、K9フィットネスはあまり激しい動きは伴わずとも、姿勢を整え筋肉を均等に使い、短時間でちょうどいい体の調整が可能です。

古典的条件付けを自分自身に適用

パトリシアは数多くの本を出版し、ブログも頻繁に更新しています。どのようにして執筆活動を意欲的に続ける気力を保っているのか、視聴者からの質問に答えています。

パンデミックで自宅時間が長くなり、誰しもが執筆活動をする絶好の時期と考えるでしょう。しかし時間は意欲的に書き続ける事には直接的には関わってこないようです。まず、自分が一番効率よく執筆できる時間帯を知りスケジュールを設定する。そして、執筆する環境や道具を一律化することで、執筆中は他の仕事やもろもろの事を遮断し、書くことだけに集中できるようにします。つまり自分自身に古典的条件付けを適用しているのです。

ボーダーコリーのトレーニング

「ボーダーコリーのトレーニングは99%正の強化で行われます。彼らの強化子は”羊”です。放っておけば疲れて倒れるまで羊の周りを走っています。」とパトリシアは語っています。

どのように羊を強化子に使うかの彼女の説明は以下の通り 

まず犬を呼び戻します。そして犬を落ち着かせ犬が羊ではなくハンドラーの方を見た時「羊」とキューを出し羊の周りを走らせます。羊に関わる事ができる、これが強化子になるのです。

ではどこに負の強化があるのでしょうか。パトリシアの説明は続きます。

初級レベルではこれでいいのですが、もっと上級になると羊にアクセスできるだけでは強化子になりえません。羊を誘導するのが強化子となります。移動する羊の先頭に回り込んで羊の進路を変えるのですが、その先頭集団に追いつけず羊の進路を変更できなかった時、それがボーダーコリーにとって罰となってしまうのです。

トレーニングはシンプルに

パトリシアはこのトークの中で、複数頭のいる環境である一頭だけにお薬を与える練習方法を披露しました。

多頭でおやつを与える時、犬が他の犬に与えられたおやつを横から盗み取らないように練習しておくのは、お薬を与える時に役に立ちます。

まず両方の手におやつを握り込みます。お薬を与えると仮定した犬の前におやつを握り込んだ手を握ったまま差し出します。

もう一方の手は自分の胸元に置き、お薬を飲まない方の犬が、お薬の飲む犬から目を離しハンドラーを見た時強化子(手に握り込んだおやつ)を与えます。

このトレーニングでは「Leave it(そのままに!)」にようなバーバルキュー(言葉の合図)は使いません。多頭でのトレーニング中にある一頭にだけ発せられたバーバルキューに他の犬も反応してしまい混乱を生むからです。この薬を与える練習では、他の犬の前に握られた手が差し出される事がキューになって、もう一頭の犬はハンドラーを見上げるのでバーバールキューを使う必要はないのです。このように、パトリシアはトレーニングをシンプルにすることを推奨しています。

パトリシア・マコーネル博士の著書

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