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トリックの練習と多頭でのトレーニング

Karen Pryor Academy ライブエピソード#17は、エミリー・ラーラムをゲストに迎えて、トリックトレーニングや複数の犬とのトレーニングについて語られました。

エミリー・ラーラム (Emily Larlham)紹介

エミリー・ラーラムは、カリフォルニア州サンディエゴでドッグトレーニングビジネス「Dogmantics Dog Training」を運営しています。 彼女のYoutubeチャンネル「Kikopup」では、300以上の犬のトレーニングに関する詳細なチュートリアルが無料で投稿されています。 彼女は、身体的・心理的な脅しを伴わない無料のトレーニングチュートリアルを公開することで、人々の動物に対する接し方だけでなく、人々の人間に対する接し方にも影響を与えることができると考えています。

エミリーは、16年前にシェルターで動物の世話をしていましたが、そこでドッグトレーニングの師匠であるカイル・レイヨン(Kyle Rayon)と出会い、トレーニングのキャリアをスタートさせました。 カイルと出会った後、エミリーは仕事を辞めて弟子入りしています。 何年にもわたって、人間と何千もの犬の指導者の両方から学び、自分のビジネスを始めました。 彼女は、芸術的な背景とトレーニングスキルを組み合わせて、問題行動を解決するためのクリエイティブで迅速かつ信頼性の高い方法を考案し、複雑な行動やトリックトレーニングをしています。 彼女は、北米、南米、ヨーロッパ、アフリカ、オーストラリア、アジアに招かれ、犬のトレーニングのテクニックについてセミナーを行っています。 また、ClickerExpo、APDT Australia、PPG Summit、Art and Science of Animal Training Conferenceなどのカンファレンスでも講演を行っています。

Youtube チャンネルKikopup

エミリーのYoutubeチャンネルKikopupでは、300以上のトレーニング動画が無料で閲覧できます。彼女がこのチャンネルを始めたきっかけは、一会に罰に頼るトレーニングをしている人々に、自分の技術を知識を共有することで効果的で素晴らしいトレーニングがある事を知ってもらいたかったのだと語っています。

最近ではエミリー本人だけでなく、ゲストによる動画も上げており、日本のトレーナーによる日本語で解説されたものや、過去動画に日本語字幕を付けたものも紹介されています。そこにはより良いトレーニングを広めたいという彼女の意思が強く感じられます。

トリックトレーニングを始めたきっかけ

犬と関わるのに、身体的にも精神的にも犬を威嚇する必要はない、望ましい行動が増えれば自然と望まない行動は出にくくなると彼女は語っています。罰を与えるトレーニングは望ましくない行動をやめさせることはできるが、それ以上のものではないが、正の強化を使ったトレーニングで素晴らしい結果をえられたことが今の彼女を作っています。

そんな中、エミリーはYOUTUBEでMary Rayの4匹の犬との素晴らしいK9 Free Styleの演技を目にします。エミリーはその時、サーカスのように調教されて無理矢理やらされている芸ではなく、犬が自ら楽しんで芸を披露する姿に感銘をうけ、自らもトリックトレーニングに打ち込むようになりました。

複数の犬とのトレーニング

エミリーのトレーニングには複数の犬が出てきます。複数の犬とのトレーニングについて語っています。

1. リラックスすることを教える
2. 食べ物をみても興奮しない練習
3. トリーツをもらう順番待ち練習
4. 待機しトレーニングの順番待ち練習
5. 犬が周りにいる状況に慣れる
6. 犬同士の距離を近づける練習

複数頭でトレーニングする前に、個々の犬を個別にしっかりトレーニングする必要があります。そして上記のポイントを踏まえて、犬が他の犬の近くにいることを楽しむためるように条件付けをします。このような練習は、犬の社会的関係を向上するのにも役に立ちます。

順番待ちを強化する

1. 待機をする(ステーショニング)
呼ばれるまで待機場所でリラックスして待つ練習は、多頭でのトレーニングのカギとなります。プラットフォームを用意して、そのうえでリラックスして待てるように練習します。
2. 名前を呼ばれた犬だけがトレーニングに参加
犬が自分の名前を認識し、名前を呼ばれた時に反応するようにします。逆に、自分の名前が呼ばれなかった時は行動を起こさず、リラックスして待てるようにします。
3. キュー(合図)に反応してしまう
名前に反応しなくても、キューに反応して待機場所から動いてトレーニングに参加してしまう場合があります。この場合は、他の犬の参加を許したトレーニング中の犬に強化子を与えます。
4. キューに反応した犬を待機場所に戻す
待機場所(プラットフォーム)に戻し、すぐにトレーニング中の犬に簡単なトリック(ターゲットや座れ、スピンなどその犬が得意としているもの)をしてもらい強化してから、待機場所に戻した犬に強化子を与えます。そうすることで、待機場所に戻ったことではなく、待機している事を強化します。

エミリーのトレーニングは手順も明確でその技術も素晴らしい。それはひとえに、彼女の観察力と繊細な心配りから来るものです。エミリーのその鮮やかなトレーニングも一つ一つ紐解けば、犬の必要としているものに彼女が丁寧に寄り添っている姿が見えてくるはずです。是非、彼女のYoutubeチャンネル「Kikopup」を覗いてみてください。

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