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私はまだ、痩せていないが──「Fit Boxing 北斗の拳 お前はもう痩せている」を遊んでいる。

 発端────。

 「リングフィットアドベンチャー」とかさ、そういうの、あるじゃない。Switchのコントローラーを外して身体を動かしながら遊べる! みたいな、ああいう、まさにWiiリモコンの正統進化みたいな遊び方ができるゲーム。

 折しもちょっと前に初音ミクを題材にした、ボーカロイドの曲に合わせてフィットボクシング! というゲームも出たモンで、前々から興味があったジャンルではあったんだ。そういう、つまり、まぁ、ダイエットにも使えるゲーム的なやつがさ!!


 公表するの普通に恥ずかしいけど事実だからもう書くか。
 今だいたい0.09トンくらいあるんだよ私の体重。


 因みに身長は公称180㎝つってるけどそれは嘘で178㎝だよ。
 花京院典明とお揃いの178㎝だ。つーか意外と高いな花京院。周りに居るのが2m弱揃いのジョースター・エジプト・ツアー御一行の中では矮躯に映るだけであって、まぁ彼も普通に高めの部類には入るんだよな本来は。


ジョジョ三部の格ゲーほんとに好き。子供の頃超遊んだ。

 余談だけれど私はジョジョ第三部は「周囲に疎外感を持って成長してきた少年が、初めて同じ立場を共有できる”仲間”を得て、共通の目的を持って旅を続け、最後に救いを見出した五十余日」と解釈すると何とも違った味わいがあるなと思っている人間だよ。 



 また話がズレ始めてきたからまぁ戻そう。

 そんな感じでジャンル自体に興味はあったものの、ゲーム的に興味が沸かない感じ……分かる……? ゲーセンに「タイピング・オブ・ザ・デッド」があってもゾンビゲーに興味がないから「北斗の拳 激打」で遊ぶみたいな、そういう感覚。
 同じジャンルでもゲームとして没入できるか否かは結構大事なことだと思う。思えば梅田のヨドバシカメラの地下一階とかで試遊台の「激打」でタイピングの腕を磨いた私だったので、せっかくフィットボクシングするんだったら北斗の拳が題材だったら嬉しいな~~?? あ~~~あ、北斗の拳でフィットボクシングゲーがあるんだったら私だって遊ぶにやぶさかじゃあないんだけどな~~~~??? ないってんなら仕方ないな~~~~~???? みたいな感じで。

 






 9割冗談でXで呟いたら、あった。
 あってしまったんだよ……。

 愛で空が落ちてくる程度の衝撃があった。
 西暦2024年。世界がエクササイズの炎に包まれてしまったらしい。
 「世紀末身体創カラダヅクリ伝説」ってなんだよ……(哲学)。


 ……まぁ。まぁ。
 見つかってしまった──見つけて下さった方に対してオマエその言い方なんとかならねえのかよ──あるのであれば、遊ぶにやぶさかではない。あーあー分かったともッ! 「激打」のタイピング北斗神拳に続き、こうなったらこの「フィットボクシング北斗の拳」で身体創りとやらもしてやろうじゃあないかッ! と、思った以上にスルリとキモチが向いた。ガキかな?
 こいつ本当に「北斗の拳」から色んなものを受け取って生きてるよな。そのうち私が指圧師さんとかに転職しだしたらその時はケンシロウによろしくって感じだ。

 大体既に仕事しながら「こんな時にケンさえ居てくれれば……!」とか定期的に思ってるから実質的に「北斗の軍」構成員だもんな私なんてな。


 まずは無料で体験版を遊んで、いい感じだったし、3月末まで30%オフだとかで5,000円で買えるとの事なので購入。
 早かった。12時前に軽く呟いたと思ったら1時半くらいに既に購入していた。神速を尊び過ぎだろツワモノ


 そこからはまぁ北斗神拳よ。
 38歳の私からすれば「少し上の年代の兄ちゃんたちが読んでた、暴力表現とかで親が顔をしかめる硬派なバトル漫画」って感じだ。
 タイムリーな読者層はもう4~50代の方も多いんだろうけれど、前日譚……と呼ぶには長すぎるが……にあたる「蒼天の拳」だってあるし、パチンコでも人気の作品だし、定期的にこうしてゲームになったり、スピンオフ作品だってたくさんあったりするし、実はミュージカルにだってなった。
 
国民的バトル漫画と呼んでも差し支えないよな「北斗の拳」。

 世代的に、思い出すのはアーケードで稼働していた「パンチマニア 北斗の拳」。
 ご存知の方も居るだろうか? 六枚の競り上がるパッドを叩いて強敵ともとの戦いを体感できる、ゲーセン限定の大型筐体ゲームだ。
 私はこれを高校生の頃によく遊んでいて、友達と、やれ拳王まで倒した、やれ南斗紅鶴拳 奥義 血粧嘴は敗北演出っぽいから一瞬誤認する、やれ修羅に勝てない、やれカイオウには第二形態があって……とか、色々、色々と思い出のあるゲームだ。
 あれはあれで面白かったんだよな。
 死兆星が輝いたレイ編では体力ゲージが回復しない、とか、北斗七死星点を突かれて破れたデビルリバース戦ではパッドが北斗七星を描くように起き上がるのでタイミング良くそれを叩く……とか、キャラゲーとしての愛が感じられた記憶がある。

 まぁ、厳密なゲーム性は当たり前に違うんだろうけれどね。
 そもそも当時……00年代中盤くらいはSwitchのような精度の高いセンサーを備えたゲーム機なんてなかったし(このSwitchのセンサーだってWiiで培った技術が応用されているんだろうな、というのは想像に難くない)。

 あちらは実物のパッドを叩いて北斗の拳の世界観を体感するゲームだったけれど、こちらはケンシロウたちインストラクターに師事してSwitchのコントローラーを使ってフィットボクシングを学ぶゲームだ。
 あまり混同し過ぎるのも失礼にあたるような気がしなくもない、ので……まぁでも……ちょっと同じ作品を題材にした共通項のあるゲームとして、少しくらい昔を懐かしんだって、おじさんバチは当たらないとも思うんだよな~~~(自分に甘い)。

 パンチの種類も豊富。
 コントローラーのジャイロセンサーを使うんだろう。ジャブ、ストレート、フック、アッパーなどの代表的な動きに、膝を使って上下するダッキングやウィービングもある。
 Switchのコントローラ2つで動きを判断しているのでちょっとそこは甘めなのかな。まぁでも大袈裟に動いて……身体を動かすのが目的な訳だし。ズルする事だけを考えればこのコントローラーをいい感じにそれっぽく前後上下するだけでSwitchは騙せるんだろうが、自身についた贅肉までは騙せん。


 私はボクシングは門外漢で、漫画で読むくらい? が主な親しみ方だ。
 知っている選手だって、那須川天心さん……くらいだろうか? いや、那須川天心さんがボクサーなのか、それとも別の競技の格闘家なのかも分かっていないレベルだ。それすらも「刃牙」シリーズがお好きな方という程度の認識で、トリケラトプス拳! みたいな……その……とにかく、現実の競技であるボクシングの事は本当に殆ど知らない。

 それこそ漫画なら「はじめの一歩」とかね。
 でも「修羅の門」のボクシング編は超好き。
 なんならボクシング漫画としては「修羅の門」のボクシング編が一番好きで、千年続く最強の格闘術を修めた主人公が海の向こう・アメリカのボクシング界でも最強を目指す! 全てのベルト総取りで最強バトルだ!! みたいなストーリーラインは実にワクワクするし、描かれた年代が90年代前半だからか普通に偏見を持った観衆から「キルジャップ!」「モンキーを生かして返すな!」とか、現代ではまず間違いなくNGが出るような過激な台詞が飛び出してくる点なんかも最高にトばしてて好きだ。

 国際的、人種的に偏見が今なんかよりもずっと強い時代背景。
 だからこそ「ニンジャボーイはおバァさんを突き飛ばしてなんかないよ」って主人公を擁護してくれた黒人の少年が映えるんだ。
 名前は覚えてないよ。
 主人公は一生忘れないって言ってたからそれで良いと思うけど。



 ──「修羅の門」の話はその内、気が向いたら書いても良いかも知れない。「第弐門」やフッチボウサッカーのスピンオフは読めてないけど。
 


 話を戻そうぜ。
 で、やってみた感想。


もう既に字面の時点でちょっと面白い。


 インストラクターのケンシロウ…………?????
 い、いや、まぁ……そういうゲームだし、と、とりあえず教えを乞おう。ケンシロウ、いや、ケン! ケンは俺に北斗神拳とかそういうのを教えてくれたりす──

 ────の前に、まず「北斗神拳は一子相伝の技ゆえにお前に教えてやる事はできぬ」という一言よ。



 まぁそりゃそうか────!
 というキモチと、それはそれで「北斗神拳を伝授する」って言われてたとしたら「北斗神拳は一子相伝の暗殺拳だからオレ如きに修める資格はない……拳を奪われ修練場を去る……!」とか思い始めそうだからこれはこれで良い。
 世界観を大切にしてくれている証拠だからな。
 そこから更に「しかしフィットボクシングなら、エクササイズの極意を授ける事ができるだろう」と続く。

 そうくるか────!
 つまりあくまでも「北斗神拳伝承者によるフィットボクシング指導」という体裁で進むゲームなのか、とそこで腹落ちする。何を言っているかちょっと分からない方もいらっしゃるかも知れないが、安心して欲しい。私にもちょっとよく分かっていない。
 世界観はどうなってんだ世界観は!
 が、まぁとにかくケンシロウをはじめとし、ゲームモードを遊び進めるとシン、レイ、ジャギ、サウザー、ラオウと言った強敵ともをインストラクターとして迎えて教えを乞えるという訳だ。

 個人的にはケンシロウらの師・リュウケンや聖帝サウザーのお師さま・オウガイらからの指導モードがあるとアツかったんだが、当然ながらそういう事はない。いや、一応ロード画面に挟まれるTips担当はリュウケンなのだけれども。



ケンシロウが「せーの」って言ってるだけで既に面白い


 遊ぶぞ。
 ゲーム自体はフィットボクシング……というだけあり、リズムゲームに近い感覚で遊べる。まぁ、比較的、新興ジャンルではあるだろうから、厳密な定義とかがあるのかもよく分からないんだけれどもね。
 ボクササイズみたいなもんなんじゃねーの、くらいの雑な臨み方。

 リズムゲームと評した理由は単純。
 左右を流れるジャブやストレートといったアイコンに合わせてパンチを放ち、JUSTとかGOODとかMISSとかが出る、アレだ。そういうことだ。そこに両足でリズムを取りながら、リズミカルにパンチを繰り出して楽しく身体を動かそう、という仕組みだ。
 実際には足の動きまではコントローラーでは感知できないんだろうが、例えば左手でジャブを放った後に左手を引き寄せる勢いで右手でストレート……といった連動した動きをする際にはこの足のリズムが重要になってくる。
 
そういう意味では足運びは基本でもあるし、効果的に身体を動かすためには切っても切れない要素という事なのだろう。

 それでまぁ、そういう訳で。これが意外と、というか想定通りなのかな。
 まぁ、キツい。


憐れむなよケン……。


 


 購入してワクワクしながら遊んだ翌日は一番筋肉痛が酷かった。
 普段動かしていない筋肉を動かしているんだから、固着したネジみたいに回りは良くないよね、と。さりとてこのネジ、入れ換える事はできないものの使い続けていれば油を注さずとも動きは良くなってくるので、やはりヒトも機械も適度にブン回さなければならないのだろう。

 遊び始めたのが38歳を迎える数日前の週末……だから、もう始めて三週間目くらいだろうか? 一応、週末はサボって良い事にしたり、日課モード以外のバトルモード(後述)も遊んでみたいのでそういうのに宛てたりしながら、それでも今のところは週5~6日くらいのペースで、3~400kalほどを消費している事になっているらしい。

 今やっている日課モードの普通、ダイエット目的……で38分とかのコース。最初と最後に3~4分くらいのストレッチを挟んで、6~12分くらいのプログラムを3、4本。
 それでもプログラムを構成するコンビネーションを組み立てるために少しずつパーツになるパンチを追加していくので、完成形の……例えばジャブ・ジャブ・ストレート・ジャブ・フック……みたいなコンビネーションは最後に8回繰り返すだけ、みたいな事が多い。

 遊んでいるとケンシロウが「せーのっ」とか「リズムを作るぞ、前、後ろ、前、後ろ……」とかまぁまぁシュールな台詞を吐いたりするのが地味に楽しかったりするし、それでも「複雑なコンビネーションでも混乱するな」「お前なら出来る」と励ましてくれるのも地味に嬉しかったりする。

 で、それを軸足の入れ替えスイッチして左右で繰り返す、と。

 だから実質的にフルで身体を使っている時間はそこまで長くないのかも知れないけれど、まぁ、その組み立て途中の部分でも結構しっかりやるので、終わった頃には中々に疲れている。

 普通に肩で息をするし、タオルで拭かないと汗が目に入った画面を見るどころじゃなくなったり、なんて事もしばしばある。
 幸いプレイ中でも右コントローラーの+ボタンを押せば一時停止が可能なので、タオルで汗を拭いたりはできるんだけれど、何より数十分の全身運動で自分はこれだけ疲れて汗をかくものなんだなと新鮮な気分になってしまう。



ザコ戦を経て強敵ともとのバトルへ。

 後はバトルモード。

 今度はプレーヤーがケンシロウを操作して、お馴染みの強敵ともや雑魚のモヒカンどもを薙ぎ倒していくモードだ。
 プレーヤー自身はあくまで北斗神拳伝承者ではないので、強敵ともとのバトルではケンシロウとして遊ばせて貰えるらしい。バット、リン、それに何故かトキらが応援、助言してくれる中でゲームが進む。
 彼らに加えてモヒカンや強敵ともらまでも私のダイエットを介助してくれていると思うと異常に優しい世紀末な気がせんでもないが、まぁ、まぁ、そこに関しては一旦置いておこうよ。


 日課モードと違って最初からコンビネーションを組み立てられた状態で、それを成立させる事でザコのモヒカンを倒せたり、ボスへの与ダメージやボスからの攻撃回避が成立する……という仕組み。
 だから日課と違って最初から身体をガシガシ動かす事になるので、例えば同じ10分のコースでも日課モードよりは多めの運動量という事になる。
 
 あとは地味に画面に居るのはケンシロウじゃなくって敵対する相手なので、インストラクターの動きを参考にできない点も少しゲームの難易度を上げている部分ではあるのかな。

 まぁ、本来なら指先一つでダウンさせられるモヒカンにも、キチッと全てのコンビネーションを叩き込まないと倒せないというのは不思議といえば不思議……というか不自然? だったりはする。
 ここ、ゲーム的なテンポの問題とも言えるんだろうかな……? 「時間内にモヒカンを何人以上倒せばクリア!」というのが対ザコ戦のルールなので、それならそれこそ先述の「パンチマニア」みたいに次々と現れるモヒカンたちを一発で一人ずつ倒して行って~、って流れの方がケンシロウっぽい無双感、爽快感が味わえたのかも知れない。



強敵ともとの一騎打ちの前はコミック演出もあるらしい


 モヒカンたちを薙ぎ倒すコースを終えるといよいよ強敵ともとの一騎打ちのバトルに移行する。
 移行する、と言ってもシームレスに繋がる訳ではなく、キチンとコースを選ぶ形式なんだけれど。

 それにやる事自体はゲーム上では自分と強敵とものターン制に分かれているものの、同じく最初から組み立てられているコンビネーションをしっかり決める事で相手にダメージを与えたり、相手からの攻撃を防いだり……って意味合いに変わるだけ。


でも個人的にシンって南斗獄屠拳のイメージが一番強い。


 ここも少しもったいないんだよな。
 まだ最初のステージのシン戦までしか遊んでいないので今後はどうなるかわからないんだけれど、せっかくなら強敵ともからの攻撃のターンではダッキングやウィービングと行った回避用の動きを織り交ぜて相手の攻撃を捌いている感じが演出できていればもっと面白かったと思う。この辺りはフィットボクシングとしての運動推奨ゲームと、北斗の拳のバトルゲームとしての落とし込み方として、少しもったいない気がしなくもない。


そもそもKINGのアジトの最上階で戦ってないよなこれ。


 因みに強敵ともとのバトルを終えた際に奥義ゲージが溜まっていると最後に締めの奥義が炸裂するんだけれど、これはもしかしたら北斗百裂拳限定なのだろうか……?
 例えばレイ相手なら北斗龍撃虎、サウザー相手なら北斗有情猛翔破になったりしたら面白いんだけれど、シンを北斗百裂拳で倒している時点でそこに関してはあんまり期待しない方が精神衛生上良いのかも知れない。

 「パンチマニア」でいう奥義発動時の「100発叩き込め!」みたいにクリア条件に関わる部分ではなく、あくまで優秀な成績でクリアできたご褒美的な感じでケンシロウ気分を味わわせてくれている……と考えれば好意的に受け止められるだろうかな。いや、でもだってシンは「俺はお前の拳では死なぬ!」なのが……いやほら……まぁ……。

 つまりゲーム的には蛇足な部分である気がするのだけれど、とはいえなぁ……自分で身体を動かす「北斗の拳」ゲーである以上、「パンチマニア」がそうだったように「北斗百裂拳を体感できる!」っていうのは外せない部分ではあるってのも分からなくはないし……。


別に100発叩き込めなかろうと勝てる事は勝てる。


 そんな感じで。
 バトルモードに関しては妙なアヤをつけてしまった点に関してはさておき、人生初のフィットボクシングゲーとして満喫してはいる。
 Switchは去年にモンハン遊びたくて買ったし何本か記事も書いたけれど、大好きなSaGaシリーズの最新作サガエメの体験版も遊んだり、他にも安価で遊べるゲームもたくさんあるみたいだし、後継ハードが出るみたいだけれど今後も楽しんでいたいハードではあったりする。
 これからも色々と遊んでいこう。

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