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米国発前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
今週の写真は目黒川沿いの桜並木です。五反田から目黒に向かって
歩いたときのものです。すっかり桜の花が散り、葉桜となった並木ですが、
都心とは思えないような風情がありました。
6月10日のニュースレターをお送りします。

目黒川沿いの桜並木

【株式・為替市場の動き】
今日のダウ工業株は朝方は101.34ドル安から始まりましたが、昼過ぎから上昇に転じて69.05ドル高で引けました。
S&P500はほぼ横ばいの+13.08ドル、ナスダックは59.53ドル高となりました。市場は様子見状態ですね。金曜日の雇用統計で以外に強いデータが示されたので、FRBの利下げ観測がまた後退し、株価に影響したようです。この所、FRBの利下げ観測が盛り上がっては、悪いデータで出てきて後退を繰り返しています。今週水曜日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果と同日発表される消費者物価指数(CPI=Consumer price Index)次第でまた市場が大きく動きそうです。今のところは強い雇用統計と賃金の伸びが示された為に、インフレが引き続き続くとの観測から、米国債の金利が上昇。ドルが強く円が弱い動きがまた戻ってきて円はドルに対して155円台から157円台に逆戻りです。しかし、水曜日のCPIとFOMCの結果発表次第でまた大きく動きそうです。
  
【不動産・住宅ローン金利動向】     
ローン金利の動向次第で不動産の在庫数や購入希望者が増減します。ローン金利は長期金利ですから、FRBの利上げ、利下げには直接連動しませんが、大きな影響はあります。インフレが落ち着いてくると雇用と景気に影響を与える高金利をFRBが利下げをして落ち着かせる様に動きます。また低インフレになれば、米国債が買われて、利回りが下がり、長期金利が下がって、住宅ローン金利が下がります。また、国債の利回りが下がるという事は国債の価格が上昇しているのです。国債が沢山買われると金利が下がります。インフレが落ち着き、例えば不景気(雇用統計が弱く失業率が高くなる)に入って行くと安全資産の国債に投資資金が流れ、国債の利回りが下がります。(国債はインフレ連動ではないので、インフレ時には価格が下がります。価格が下がると利回りが上がります。) 
米国政府の発表ではインフレ率が目標まではさがっておらず、雇用は底固いとなっていますので、大きく金利が下がるのはもう少し先になりそうです。
つい先週までは、インフレデータも下がり、雇用も弱くなっており、不景気が迫ってきていると思わせるデータだ出ていたのですが、現実と政府発表のデータの間には乖離、或いは時間差があるようですが、大統領選挙にかかわる思惑もあると思われます。そう考えれば、大統領選挙後が大きなターニングポイントなりそうです。インフレが収まり、雇用が弱含みになってきたとのデータが出ると、決まってその後インフレ率がまた上がって来た、雇用が強いと言うデータが出てきます。その後いつも弱含みの修正が入ります。なにか恣意的なものを感じてしまいます。このデータを信じるとすると、インフレで雇用が強く、賃金が伸びていれば、不動産価格は上がりますね。確かに全米を見ればそのような場所もありますが、物件供給が多い場所、あまりの不動産価格の上昇で購入を諦め、価格の低い田舎に引っ越す人が多い街、治安の悪化、政治の左翼化を嫌って引っ越す人が多い場所などは家賃や物件価格が下がっています。投資不動産の購入を検討する場合はその町の状況、将来的どうなりそうかを確認することも大事ですね。
以下が最新発表の参考都市の値上がり率と中間価格です。
1.    Hartford, Con            9.1%  $249,900
2.    Los Angeles, CA         2.5 %    $1.2million
3.    Miami, FL                  8.8%     $575,859
4.    New Haven, Con        9.6%     $295,201
5.    New York, NY           FLAT       $800,000
6.    Santa Barbara, CA     7.5%      $1.83million   
物件価格が下がっている都市では平均2.7%の下落、上がっている都市は平均3.8%上昇しています。
 
この様な状況で不動産ローン会社や不動産ローンを収入源にしていた銀行は苦境に立たされています。ローン申請件数が減っており、またローン金利に敏感になっている顧客の取り合いによる収益低下が起こっているからです。
中小金融機関は生き残りをかけてローンが借りやすいプログラムを出し始めました。サブプライムローンの時と同じような状況になり始めています。
自宅のみですが、収入を問わないローンプログラムです。所謂No Income / No Ratioのプログラムです。要は、収入は自己申告、頭金があって、クレジットが良ければローンが通るのです。 自営業で税申告を実際より少なく申告している方にはうれしいプログラムですが、物件の値上がりを期待して収入が少ないのに無理やり購入するガッツのある人たちが米国には一定数いますので、不景気が来て、収入が減り、物件価格が下がれば一巻の終わりです。住宅ローンは債権化されて、金融市場に出回ります。ローンの支払いが滞り、物件が差し押さえされると、ローン債権が紙くずになりますので、金融危機の引き金になりかねません。 今後の状況をよく見ておく必要がありそうです。
 
Good Newsは悪名高いカリフォルニアのProposition 47(950ドル以下の窃盗や特定薬物の所持などは軽犯罪扱いになる)がやっと修正されそうです。大統領選挙と同時に11月投票されます。修正案が通れば治安の悪化が少しは止まりそうですので、カリフォルニアの治安悪化による人口流出は止まってくれることが期待できます。実際カリフォルニアの人口流出は治安悪化だけでなく、生活コストの高騰が大きな要因です。カリフォルニアにも日本と同じ増税好きの政治家が沢山います。
 
【経済の動き】
6月5日、ADP雇用統計では求人件数が4月に減少して、3年ぶりの低水準のなったと発表されました。これまで発表されてきた労働市場の緩やかな減速と整合する動きだとニュース発表でコメントされています。また、医療や政府を中心に幅広く減少。宿泊、飲食サービスでも雇用が減少。とのことでした。この発表に先立ち、米ISM米製造業活況指数が3.7ポイント低下し45.4となり、22年6月以来の大幅な落ち込みとなりました。
これらのデータから景気が後退、失業率も増加、インフレ率低下のトレンドがはっきりしてきたと誰もが考えました。その為、米国債の利回りが低下して、長期金利がさがり、ローン金利が低下、円高に振れて行きました。
雇用の弱さが目立ち始め、消費も減退していることが示されました。今後の流れはインフレ低下、雇用の縮小。金利低下、円高へと向かうと考えられました。非製造業景況感指数が9か月ぶりの高水準と発表されましたが、労働省労働統計局が5日に昨年の雇用者数の伸びは月間雇用統計に基づくランレートの約25万人よりも、毎月平均で約6万人少なかった可能性があると発表。雇用が減退してきていることを裏付ける結果となりました。 
しかし、7日の雇用統計の発表ですは、雇用者が大幅に増加、賃金の伸びも加速となりました。全く逆のデータが発表されたのです。
金融市場では労働市場の強さが示されたと受け取られ、国債の利回り急上昇=ローン金利上昇、円が急落しました。
 雇用統計は2つの調査から構成されています。1つは雇用者数と賃金のデータを作成するための事業所を対象とした調査。もう一つは失業率を算出するための家計を対象とした調査です。家計調査では雇用者数は5月に40万人余り減少し、減少幅は今年最大となっています。事業所調査との乖離があまりに大きい為どちらが本当か?とエコノミストの間では論争が起きています。バイデン大統領は選挙キャンペーンで労働市場の強さを繰り返しアピールしており、失業率が4%を下回って来たと言って来たこともあり、労働市場の弱さを示すデータの発表には消極的だと考えられます。 
さて、現実には雇用は強く、賃金の伸びも加速して、景気は後退していないのでしょうか? そうであれば利下げは先延ばしされ、高金利が続き、クレジットカード、車のローン、住宅ローン金利が高止まり、庶民の生活は苦しくなるのでしょうが、それは政府の関心事の外という事になるのでしょうか? 大統領選挙後、本当のことがわかってくる可能性が高いですね。これからの5カ月間、大きな金利下落、円高は望めそうにありません。
  
【今週の???な国際ニュース】
6月3日に中国訪問中のトルコのフィダン外相が、BRICSに加盟したいと表明しました。6月10日にロシアのニジンノブゴロドで開かれるBRICSの外相会談に参加することも明らかにしました。
BRICSは米国を敵視していませんが、米国は基軸通貨の立場を危うくするようなBRICS共通通貨の構築の動きを見せるBRICSを脅威とみなす傾向を強めています。米国に敵視され、制裁され、ドル使用を制限されるBRICS側はドルに頼らない決済システムを作る動きを見せているので、そのことが更に米国がBRICS敵視を強める結果になっています。今や、BRICSはG7より人口も多く、GDPも大きい一大勢力になっていることは確かで、その勢力を急速に拡大させています。NATO加盟国のトルコ、アラブの盟主であっるサウジアラビアもBRICSの加盟国です。BRICS共通通貨構想は、EUのEUROのようなものではなく、CBDC(セントラル・バンク・デジタル・カレンシー)政府発行デジタル通貨を使った決済システム構築で、BRICS各国の通貨を統合するような通貨統合ではないとのことです。あくまで貿易決済用デジタル通貨という事です。加盟国の為替レートをどのように決めるのかなど問題があるにせよ、確実に進んで行っている様です。 
バイデン政権は、米国および、西側諸国からウクライナに送った兵器でロシア本土を攻撃しても良いと言い出しており、そうなれば、ロシアはウクライナだけでなくNATO諸国も攻撃の対象にすると宣言しています。そうなれば、欧州が新たな戦場になるかもしれません。欧州の安全のための組織であるNATOが逆に欧州を危険に陥れていることになりはしないか? どうして急にバイデン政権がロシア本土攻撃に積極的になったのか?
実質的にBRICSのボスであるロシアの力を弱める為なのか? どうもバイデン政権の政策には世界平和の考え方が無いように思えます。
世界はG7諸国とBRICS諸国に分裂してゆく様に見えます。EU議会選挙でも右派が勢力を拡大しています。EUも政治不安が進んでいます。
アフリカ諸国や他の小国はどちらについて行くでしょうか? これまでさんざん資源や領土を搾取された旧宗主国にはもうついて行きたくないでしょう。世界の国々は恐らく、どちら側が正義かと言う話ではなくて、どちら側に付いてゆくのが得かで態度を決めるのだと思います。
世界が大きく動いてゆこうとしている様に見えます。
 
【豆知識】
人口の減っている都市トップ5
Detroit, MI                 7.83%
Birmingham, AL         7.70%
St. Louis, MO             7.14%
Baltimore, ML            6.82%
Cleveland, OH            6.20%
 
これらの都市は、嘗ての工業都市ですね。 

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