2話

ウユジーン街、正午、とある喫茶店

女は待ちぼうけを食っていた。そもそも昨日夜合流するはずだったのである。今日すでにキューブの捜索及び聞き込みを進めているはずだったのである

?「遅い」

女の怒りはひたすら高まり続けていた



ンジコ川上流

ウノとイーモはひたすら走っていた。彼らは反省していた。さすがに無駄に時間を使いすぎたと思っていた

ウノ「そもそもお前がちゃんと集中してればこんなことにはなってなかったんだよ」
イーモ「いやいやウノさんが地図を渡すことがなければこんなことにはなってないんですよ」
ウノ「それでその地図だとあとどれぐらいで着くんだ」
イーモ「もう少しですほら人の声が増えてきた」
ウノ「ほんとにそうかお前の人の声前科あるからなぁ」
イーモ「そもそも最初の段階で道間違えたのそっちですからね。まぁこの話を一旦置いといて先を急ぎましょう」

彼らが密入国して入ってきたポイントはインディバ国の南西端にあたる部分である。そこから伸びるンジコ川を北上していくことでウユジーン街に着くことができるのだ。

ウユジーン街、ここは商人の街といってもいい。主にキューブの販売加工展開が行われる。今年のキューブのトレンドを知るならうってつけの街である

店員A「やすいようやすいよう、今年のトレンドはなんといってもビジュアル。目で見たことを体験したことをビジュアルに記録できるんだ」

定員B「いやいや今年のトレンドはコーディネート。全身を美しくコーディネートすることができるんだ。美しさって記録するためにあるもんじゃないだろ。自分でなるためにあるんだ」
店員A、B「何を何を」
店員たちは睨み合っている

商人の街と言うからにはキューブだけではない。武器食品衣服技術その他様々な日用雑貨、生活雑貨、そして生き残るために必要なものがここで揃い、知の巨人ソロンもここで様々な人の流れを見、知識や経験を深めたとされている

数刻後

ウノ「着いたぞぉぉぉ」
歓喜の声を上げるウノ
イーモ「絶対めちゃくちゃ怒ってますよ。っていうかすごい待たせているはずです」
ウノ「そうだ早く見つけてやろう」
イーモ「これは確実に3オコをいってるの間違いないですね」
ウノ「ああ。待ち合わせ場所に向かってみよう。あーでもその前にお腹すいた」
そう言ってウノは食べ物を探しに行ってしまった

イーモ「僕先に行ってますよー」
そう言ってイーモは待ち合わせ場所へと向かった

家電量販店の前、テレビ

アナウンサー「速報です。先程の地震の詳細が届きました。ここから南数十キロのところにあるオリン村の近くで謎の地震波のようなものが発生。ンジコ川からリケイン湾沿岸部にかけて多大な被害が出ており、オリン村は忽然と姿を消してしまった模様です。」

ウノ「すごいことになってんな」

噴水

待ち合わせ場所に着いたイーモだったが、この先には誰もいない。早く着きすぎたと言う事はないだろう。半日以上遠回りをしてきたのだ。

すると背中側斜め後ろから強烈な殺意の声が聞こえる。

?「コロスコロスコロスコロス」

ひどく怯えるイーモ。向けられた殺意の先には女がいた。この女チノムと言う。ウノのもう1人の同行者である

喫茶店から出て合流するチノム

チ「おいウノはどうした」
イ「お腹がすいたって言ってどこかへ行っちゃいました」
チ「おいそれはお前が監督しなきゃいけないことじゃ無いのか」
イ「はい間違いないです」
チ「おいそしたらお前が一目散に探しに行かないといけないんじゃないのか」
イ「はいその通りだと思います」
チ「おいじゃあお前は今何をしているんだ」

イーモは一目散にウノを探しに行き、1分もたたずに戻ってきた。イーモはウノを抱えて爆走している。ウノは肉まんとハンバーガーを抱えてモグモグしている

チ「おいお前らなんで今着いたんだ」
ウ「それがよ、めちゃくちゃ面白いことあってな...」

間髪入れずに話し出すウノ、とても楽しそうである
ウ「強そうなやつにあったんだ。信じられねーぜ、この国にあんな強そうな奴がいるとはな。それにあいつらと飲んだ酒もうまかったなぁ。めちゃくちゃ盛り上がったんだよ。お前もいればよかったのに、何してたんだよ

ゴクリと唾を飲み、いまにも気を失いそうなイーモ
ハッとするウノ。反省するとともに震えが止まらない

チ「へえ、楽しそうで何よりだよ」

ア「緊急地震速報緊急地震速報」

町中にアナウンスが鳴り響く

ア「こちらウユジーン街を震源地とする地震が発生します。発生します。マグニチュードは不明」

恐おののくウノとイーモ。二人は思った

ウ、イ「(4オコだった)」


ウノとイーモはチノムの怒りレベルを数値化していた。1オコ、2オコというのはチノムが怒っているときに使う。今の所マックスは5まで観測されている。まさにマグニチュードのようなものである



しばらくして地震はおさまった

「皆様緊急地震速報が誤報であったことをお知らせいたします」



チノム「お前ら遅れた分取り戻すぞ」

イーモ「はい」
ウノ「イェッサー」

そこからのウノとイーモは馬車馬のように働いた


チノムの口調もいつも通りに戻った

チ「最近のキューブのトレンドさらには最新の研究次来そうなもの、発見発明過去流行ったものに至るまで、”それとなく”聞き出すことが目的よ」
3倍うなずくウノとイーモ

チ「そもそもキューブは技術、技術は便利よ。そして便利が暇を生むの。暇の使い方で国力が左右されるわけだけど、使う暇がなかったら戦いようがないわ。私たちのミッションの重要性分かってる?」
5倍うなずくウノとイーモ

チ「私たちは人が多いところに行って聞き込みよ」
ウ「分かった」
チ「それであんたはその頭が目立つ。だからまず帽子をかぶって、その上で目立たない場所で聞き込みをするように。村の周りを散策してキューブを探すってのでも良いわ」
イ「分りました」

そう言ってウノ、イーモ、チノム、別れて調査を開始した


ウ「おっちゃん、この店かなり良い商品揃ってねーか」
店員A「そうなんだよ、わかってくれるじゃないか兄ちゃん」

チ「お姉さんここの製品とても素晴らしいものが多いですね」
店員C「あらそうなのよ、わかってくれる」

イ「ちょっと帽子返してよ」
子供たち「うわー、変な頭ー」

三者三様である


店員Aの店付近、ウノ班
街の巨大モニターに1人の男が写っていた

ソ「やあどうも、みなさんこんにちはソパーンだ
・夜とんでもなく腹が減ってカレーを煮込んでしまった。
・朝急に知的好奇心が湧いてゆで卵焼いてしまった。
・寝ているはずが寝相が悪くてロイヤルミルクティーを入れてしまった

そんなことってあるよね

こういった食べ物飲み物は歯を黄色くする

その時に白い歯を取り戻すのがこのスノーウォーター

これさえ飲めばはツルツルピカピカ間違いなし。白い歯を手に入れて自信を取り戻そう」

ウ「なんか変なCMだな」
店員A「あんちゃん、あいつ知らねえのか」
ウ「うん、そんなに有名な男なのか」
店員A「この街で1番の商人だ」
ウ「へー、ならあいつに聞けばこの街のことがわかるのか」
店員A「何を知りたいかによるけど、あいつ以上にこの街の商売に詳しいやつはいないな」

街の外れ、イーモ班

イ「ちょっと返してよ」
街のはずれの目立たないところではあるが大人たちに頭を見られると少々困ったことになる

しかし子供に手を出す事はできない。はてさてどうしたものか

店員Cの店付近、チノム班

チ「こんなにセンスの良いお店を見たのは久しぶりですわ」
店員C「わたくしもこんなにお目が高いお客さんに出会えるとは。光栄ですわ」
チ、店員C「オホホホホホ」

噴水付近

集まり、情報を照らし合わせる三人

イーモ「街の人の声を聞いた感じ、ソパーン男の力がここでは特に強いみたいです。そしてその男はこの街の市長なんだと」
ウノ「そいつの話、俺も聞いたぞ。何か一風変わったCMに出ていてな。俺が聞いた所ではそのソパーンがこの街一番の商人って話だ」
チノム「街で市長で大商人なのね(分かりにくいわね)。そのソパーンって人に会ってみる価値はありそう」

チノム「私もキューブのトレンドや最新商品の知識、最近の生産量の変化や需要供給のバランスあたりはつかめたわ。どうやってソパーンに会うか考えましょう」


するとチノムに電話がかかってきた

チ「はい、はい、どういうことですか」

チノムの語気が急激に強まる。いったんお前ら地べたに正座で待てのジェスチャー。深くため息をつくチノム。ただならぬ空気を感じる2人

チ「あんたら入港許可証渡したよね。なんで密入国者として入ってるわけ」

ウ、イ「面目ない」
首を垂れる二人

回想、リケイン湾入港前

ウ「それでよ今までにない位信じられないほどキレたね。その時はさすがの俺の親父もビビリにビビりまくってて、向こうの親父もあたふたしてるわけよ。こりゃやばいって子供ながらに本能的に感じたね」
イ「そんなにすごかったんですか」
ウ「ああそうだ。だからあいつ本気で怒らせちゃいけない。その時は俺たちで周りの人間なり動物を助けてやんないといけないんだ。忘れるなよ」
イ「へー、怖いけどめちゃくちゃ面白いすね」
ウ「そうなんだあれはもう天変地異とかのレベルじゃないw」

海上に何かを発見するイーモ
イ「何かあそこに紙みたいなの浮いてません」
ウ「あれ、入構許可証がないんだけど」
イ「え」

これもしかしてものすごいピンチなのでは、そう思って急いで取りに行ったんだが

ウ「あーだめだ。判別できない」
イ「戻りますか」
ウ「とりあえず端の方に船置けば大丈夫じゃないか」
回想終


ウ「そんなことがありまして」
チ「そんなことがありましてじゃねーよ」

チ「お前らバカ二人のせいで早期帰国を余儀なくされそうです。」
ウ、イ「面目ない」
チ「ソパーンに会うための作戦を悠長に立てる時間もなくなりました。」
ウ、イ「はい」
チ「一時間後決行です」
ウ、イ「えっ」

どうやってとは聞けない二人であった。果たしてチノムの作戦とは


最後まで読んでくれてありがとうございます 1000年後くらいまでには誰かに届くといいな