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仕事に楽しみを見つける

最近、どうも仕事が楽しくない。課長の数字の追求は相変わらず厳しい。それが原因か?
「どうした? 元気ないな」
「仕事が面白くないんですよ」
「それは、仕事を〝have to〟(~ねばならない)でやっているからや」
「〝have to〟で仕事をしている?」
「そう、〝have to〟で仕事をしてんねん。〝have to〟で仕事をしていると仕事が面白くなくなるんや。好きこそ物の……」
「上手なれ」
「そう。分かってるやんけ。だから、〝want to〟(~したい)で仕事をするんや」
「〝want to〟?」
「分かりやすく言うとやな、仕事に楽しみを見つけることやな。仕事はやらんとあかんことが多いけど、その中に、もしくは仕事に付随していることに楽しみを見つけるんや」
「例えば?」
「例えば、今、メインで宣伝しているデータのひとつを説明するのが楽しいとか、この宣伝フレーズが楽しいとか、仕事に付随しているものとしては、あそこの病院の受付の女の子が可愛いとか、あそこの病院に行くと他社の美人MRに会えるとか」
「そんなことでいいんですか?」
「このデータを紹介したいとか、あの子に会いたいから病院を訪問する、とかは 〝want to〟やろ」
「データを紹介したいは仕事と直接関係してますけど、女の子に会いたいからってのはどうなんですかねえ」
「こういう小さな、もしくはしょうもないことから始めていくことが大事なんや。だって、病院に行かなくちゃ仕事にならへんやろう! 沈んだ気分で行くより、よっぽどええと思うけどなあ」
 太郎さんがウエットティッシュでテレビの画面を拭いている。
「ありがとうございます。綺麗にしてくれて」
「こうして綺麗にしておくと、まさみちゃんが出て来た時、綺麗に見えるやろう」
「そんな理由で綺麗にしてたんですか!」
「〝have to〟じゃなくて、〝want to〟でしてるから楽しい」
 そう言いながら、今度はティッシュで乾拭きを始めた。

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