見出し画像

おれは5部まで読んだぞ!ジョジョをーッ!


「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズを読み始めた。
国民的アニメとなった「鬼滅の刃」の吾峠呼世晴先生をはじめ多くの漫画家、クリエイターが多大な影響を受けていると公言する本作。
国内はもちろん海外にも熱心なファンが多く、グッズ、TVゲーム、アニメ、映画どころかサブキャラを主役にしたスピンオフドラマまで大ヒット。
もうジョジョって冠付ければ誰が買ってんのか見た事ない竿竹屋とか英会話教材の飛び込み営業なんかも飛ぶように売れるんじゃなかろうか。
知らない人はいない、日本のマンガ史における金字塔的存在と言って過言ではないだろう。

……だというのに。

yoshihitさんはこの作品を読んだ事がなかった。
正確には「読んだ瞬間絵と内容が嫌い」になって読まなかった。

子供の頃、ジャンプを読み始めた頃に好きだったのは「るろうに剣心」「地獄先生ぬ〜べ〜」「封神演義」のように線が綺麗でキャラがどいつもコイツもイケメン美女、内容もわかりやすい作品ばかり。今でも飛天御剣流の技は全て覚えているし、白衣観音経も空で言える。変な言い方、さっぱりした絵柄で必殺技の物真似をしやすいマンガを好んでいた。クソガキ!
ジョジョの作風はその好みとは対極に位置する。
読まない決定打になった件は後述するが、とにかく小学生のyoshihitさんには難しく、刺激が強過ぎた。
それで友人の話について行けないとかハブられたとかはなかったが、気にならなかった訳ではなく「今週のジョジョ」の話が出る度に少し疎外感を覚えていたのは事実だったり……

そんなジョジョを今頃になって読み始めたのは、自分が不定期で発信していたスペースがきっかけ。
いつもスピーカー、リスナーになって下さる方々が熱心なジョジョファンであり、何も知らない自分に熱く語るのを聞いて少し興味を抱いたのが始まりだ。
「岸辺露伴のドラマは楽しかったし、折角だからちょっと読んでみようかな。合わなかったらそれはそれでいいや」
そんな軽い気持ちで読み始めたyoshihitさん。

ハマった。

バチクソ嵌った。

なにコレ超面白くねーかオイ!?
何で今まで読まなかった!?
……なんでオレにもっと熱心に勧めなかったんだよ!(逆ギレ)

読み始めてから第5部終了までの63冊を1ヶ月ちょいで読破。恐らく、こんなペースで漫画を読んだのは初めてだろう。
初期の絵柄は大好きな「北斗の拳」や「魁!男塾」に近い劇画調だったからか、懸念していた拒否反応も無くすんなりスタート。読まないきっかけになった回に到達するまで絵柄はだいぶ変わったが、何の問題もなくそこを通過して楽しめる事が出来た。
それは単に話が面白いだけでなく、魅力的でツッコミどころの多いキャラクターたちのおかげかもしれない。個人的に印象に残った人物を何人か紹介する。

ジョナサン・ジョースター

スウィンギーン!ニッポーン!

第1部主人公。全てはここから始まった……
週刊少年ジャンプ連載でバトル物の主人公といえば、「努力・友情・勝利」を体現するヒーロー的存在。異論を挟む者は恐らくいないだろう。
ジョナサン・ジョースターはもちろんそのテンプレに当て嵌まるスーパーヒーローだ。
人気、実力共に申し分なし。仮に集英社アベンジャーズを作るとして、まず間違いなくメンバーにエントリーされるはず。ジャンプ史に永遠に語り継がれるヒーローの1人だ。
だがしかし。

yoshihitさんはコイツが苦手だ。


一人称が「ぼく」の熱血漢、成績優秀でスポーツ万能、誰とでも平等に接するポジティブ思考のジェントルマン……
対してこちらは暗い部屋でメタルと変なラジオ聴いてる根暗ムッツリ男で頭の出来もよろしいとは言えないFラン大卒、人付き合いの悪い陰キャ……よく結婚できたなコイツ

光と影、陰と陽、水と油、きのこ派とたけのこ派……
対極、相反する存在を表す言葉や事柄は数多くあれど、ここまで自分と真逆の存在はリアル、創作問わず1人も会った事ない。
身近にいたら確実に距離を置くのだが、彼はそんなこちらの気持ちなどお構い無しにせっかく離した距離を詰めて踏み込んで来るだろう。
朝学校で会った瞬間「yoshihitくん、おはよう!」と元気よくデカい声で挨拶してくるタイプだ。うるせえ。
根暗なyoshihitさんを勝手に具合が悪いと判断して気遣い、隣の席に座って話しかけて来るのは容易に想像がつく……放っておいてくれや!あっちの陽キャ共とキャッキャしてろ!あとお前の席そこじゃねーから!

……そんな彼の生き様が眩しい。
恵まれた環境で生まれ育ってもそれに驕らず、子供の頃は苦手だった勉学や作法も努力でモノにし、家族の仇であるDIOを討った時でさえも、仲間も看取る者もいない彼の為に涙を流す……
自らを律し戒めるだけでなく、他人の事を心から思う事が出来るジョナサン、自分の事で精一杯なyoshihitさん。
如何に自分が矮小で器の小さい人間なのか再認識させられた。

だから、コイツは嫌い!自分を全否定された様な気分になる!どっか行っておしまい!いつまでもみんなに愛されやがれ!
ケッ、バーカ!ゴリラ!はい次行くよ!

東方仗助

え、お正月って新しいパンツおろすの?

第4部主人公。ジョセフと承太郎はどうした
この男はyoshihitさんの1番推しである。
情に厚く正義感に溢れた性格、父譲りの頭の回転の速さ、そして仲間のためなら危険を顧みず命を投げ出せる漢気!
これだけなら完全にジョナサン2号機、yoshihitさんが嫌いなタイプだが、仗助は彼と決定的に違う点がある。
超人&人外バトルで忘れがちだが、彼は10代の、等身大の高校生である事だ。
4部はそれまでと違い、群像劇で日常生活に潜む闇との戦いがメイン。その為登場人物の人となりが分かりやすく、1部〜3部に比べてキャラクターに感情移入しやすい。
故に彼の高校生らしい、人間くさい一面がストレートに刺さる。
康一や億泰と他愛もない話をしたり、髪型とオシャレに拘ったり、母親に頭が上がらなかったり、イカサマチンチロで某漫画家をカモろうとしたり……
普段は年相応のおバカで憎めない奴だが、やる時はやる男。
人外と変態だらけの本作、4部まで読んでようやく人間に逢えた気がした(荒木先生ごめんなさい)。

それからジョナサンの項を読んだ方は分かってくれると思うが、yoshihitさんは才能に恵まれた完璧キャラではなく、気合が入った不器用な奴が大好きだ!
キャプテン翼の石崎了、幽遊白書の桑原和馬、刃牙シリーズの柴千春のような「仲間も敵も超人だらけで彼らに一歩も二歩も劣る」キャラが気合と根性で遥か格上の敵に立ち向かう姿にいつも感動してしまう。
上記3名よりは才に恵まれてるし割と器用な仗助だが、ハイスペックゴリラ紳士な曽祖父、頭脳戦と悪運が異様に強い父、洋ランを纏ったチンピラ甥っ子with愉快な仲間たちに比べると、少々見劣りする部分が散見される。
しかし。
彼らが潜り抜けた修羅場の数や経験の差を発想力、スタンドの応用で仲間と乗り越えて行く姿は流石ジャンプ主人公。
白帯のまま黒帯を倒し続け、辿り着いた4部ラスボス戦は5部まで読んだ中での個人的ベストバウトだ。未読の方は是非読んで頂きたい。彼の成長、そして漢気に間違いなくヤられると断言する。

そうだ、NHKさん。
イカサマチンチロリンを実写で見たいので岸辺露伴シリーズの続編制作を何卒よろしくお願いします。


ブローノ・ブチャラティと組員たち

何人か背伸びしてない?

この男たちに触れないわけにはいかない。
第5部のもうひとりの主人公と言っても差し支えない男、ブチャラティとその一家について語らせてもらう。

なんと職業はマフィア。弱冠20歳にして自らのファミリーを持つ事を許されている優秀なギャングだ。
薬には手を出さず、縄張りを守り、近隣住民からの信頼も厚い。「現代に生きる古き良きヤクザ者」と言うのが正しいだろうか。
しかし、その若さでボスに認められるブチャラティ一家はどんなシノギで上納金を納めてるんだろう?おしぼりのみかじめとかテキ屋じゃないよね?
知ってる方は後で教えて下さい。
「書いてあっただろうが、バカ!」って方は何処だったか優しく教えて下さい。

それは置いといて本題。
ブチャラティ初登場は驚かされた。
しっかりセットされたボブカット、変な柄とジッパーがいっぱい入った上下白のスーツ、よく見りゃ上半身は裸にジャケット。
この時点で「あっ…(察し)」だが、本当に驚かされたのはその直後だ。

効果音www

何やってんだコイツ!?
「クソっ!早速変態かよ!」と思っていたのも束の間、

トラウマ。

このシーン。顔面にジッパー取付。
ここが冒頭で話した「ジョジョを読まないと決めた」瞬間だ。
一発で思い出した恐怖の一コマ。き、気持ち悪い!怖すぎる!こんなんジャンプでやるなよ!
そう、yoshihitさんの「ジョジョ読まず嫌い」は
ブチャラティ
のせいから来ている。ファーストコンタクトから20数年目の真実……
「貴様のせいか、このロクデナシ!」などと憤慨したが、読み進めて行くうちにただの変態ではない、ブチャラティの真の姿を目の当たりにする事になった。

第5部の内容はざっくり言うと組織の内ゲバ。同じファミリーであるはずのマフィアに序盤から終盤までカチ込まれる仁義なき戦いバイオレンスアクションである。
追手のマフィア連中はもちろん全員がスタンド使い。ある者は欲望の為、またある者はボスへの忠誠を示す為に主役チームをあの手この手で襲って来る。
そしてどいつもコイツも目的の為なら手段を選ばない……無関係な市民を巻き込んでも心が痛まないド畜生だから始末に負えない。
もちろんブチャラティたちは同じヤクザ者でもカタギに手を出す、巻き込むなど以ての外。
この時点で大きなハンデを背負っているため、5部は防戦を強いられるシーンが多く、今まで以上に手に汗握るバトルが展開される。
5部の面白さはここにあると言っていいかもしれない。

さて主役チームだが、先述の通りブチャラティは自分の組を持っているギャング。メンバーはブチャラティ本人を含めた6名。全員がスタンド使いで役割もそれぞれ違う。戦闘、偵察、解析、治癒とバランスに優れ局面によってメンバー1人ひとりがイニシアチブを取れるため、もしかすると歴代最強チームなのでは?と個人的には思う。
ただし揃いも揃って我が強いチンピラの集まりのため、チームワークが少々悪いのが玉に瑕。
そんな一癖も二癖もあるメンバーをまとめ上げるブチャラティのカリスマ、冷静な判断力、観察眼、そして時に見せる大胆さには驚かされた。
どれだけ劣勢でも、半殺しにされても、ジジイにされても反撃の機会を窺う1ミリも怯まない胆力。主役のお株を奪うシーンは数知れない。
本当はもっと「ここが凄い!」を書きたいのだが、自分の文章力では未読の方へのネタバレにしかならないので、もっと知りたい方は是非ご一読を。血で血を洗うマフィアたちの駆け引き、常に死と隣り合わせの緊迫感を味わってほしい。

ずいぶん長くなった……
本当は書きたいキャラはもっと大勢いるけど、多分2万字くらいになってしまうのでこの辺で。
今まで読んで来なかったジョジョ、5部まで本当に面白かった。まだまだ楽しめるなんて幸せだ…
ジョジョをオススメして下さったスペースの皆さん、この場を借りてお礼させて頂きます。本当にありがとうございました。
それから、まだ未読のあなたへ。
累計100巻超え、現在も連載中の超大作に挑むのは勇気と時間が必要かもですが、それでも敢えて言います。
絶対に後悔しないから、読んでみて!
そしてジョジョビギナー同士、yoshihitさんと語り合おう!(ベテランの方も歓迎です)

……最後に、近所のコミックレンタルで第6部の1〜4巻借りてるお前。
オレが読めないだろうがオラァァァア!明日までに返却しておけよオイィィィイ!

じゃあな!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?