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NEXTアトランタ Lil Keed & Lil Gotit 〜ZONE3ってどこ?

次々と若い世代とバトンが受け継がれていくアトランタのHIP HOP。2019年に出てくるスターはこの2人との声が多い。同じ母、同じ父から生まれた正真正銘の兄弟、Lil Keed & Lil Gotit。アトランタの南側、Young Thugと近所のZONE 3で育った彼らのリアルな音楽を今のうちにチェックしよう。

その前に! せっかくなのでアトランタを少し紹介させてください。

ZONE X

アトランタ出身のラッパーからZONE X(1〜6)という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 簡単にいうとアトランタ警察の管轄区のようなもので1〜6で分割され、ラッパーはそれぞれこのエリアを基準に自分たちのフッドを認識しています。中でも有名なのはZONE 6で、FutureやChildish Gambino、Young ScooterにGucci Maneなど相当数のアーティストがここ出身。East Atlanta、Kirkwood、Edgewood、Lil mexicoなどの固有名詞は全部ここに含まれています。ちなみにNorthを「Nawf」と発するMigosは文字通りZONE 2出身。

Lil KeedとLil Gotitが現れたのはその南側の、ZONE 3。具体的にいうとZONE 3の中心あたりから、少ししたを東西に横切っているCleveland Aveが彼らの出身です。ZONE 3はHIP HOPのシリコンバレーとも呼ばれるように、DIYで作られたオリジナルのスタジオで曲を作ります、ビデオも撮ります。自分たちで全て行うのが彼らのスタイル。Freebandzも1017もそうなので、これはZONE 3だけに限ったことではないようですけども...

地下鉄

アトランタの地下鉄は十字架に4路線とかなりシンプルな作り。真ん中のFive Points駅の周辺には、CNNの本社やNBAの会場、少し北に行くと水族館やコカコーラミュージアム。少し南に行くとあの有名なMagic City(ストリップクラブ)が存在します。しかしそこから少し離れると、もう木がすごいこと本当。少し高いところから見下ろすと、家やストリートが緑で覆いかぶさってるに違いないです。そんな環境がTrap Houseを作り出したんでしょうか。

特に驚いたのは、道を一本挟んだだけで明らかに生活している層が急に変わるところです。30mほどの木々が生活する人々を分断しているようにも感じました。

ここからは2人について

2人の関係

Lil GotitはLil KeedについてFaderのインタビューで「偽りの競争心」と言っているところからも、切磋琢磨しながらも助け合っているのが伝わります。アトランタのラッパー通し協力するコミュニティが、若い世代にもしっかりと受け継がれているんですね。それに付け加えてLil Gotitは「Lil Keedはデタラメばっか言ってやがる、UFC(格闘ゲーム)でぶっ潰してやる」と言っていますが、Lil KeedはHOT 107,9でゲームはほとんどやらないって言っているので、弟を揶揄っているんですかね? 仲良しなのが伝わります。

また彼らのスタイルもぐっとくるものがあります。Lil KeedはYoung Thugのコーラスでよく使われるハイトーン時のスタイルに似ていて、Lil GotitはYoung Thugが普通にラップしている時にフロウが似ています。まるでYoung Thugが2人に分裂してそれぞれが成長しているかのような感覚。ハマってしまうのもわけないです。

それではLil Keedから⬇︎

Lil Keed

Cleveland Ave出身と前述しましたが、実際は突き当たりのJonesboro Roadが地元のようです。Cleveland Aveまでは歩いていけるそう。少しRaloっぽいフロウも感じられますが、とにかく癖になる声を持っていますね。シグネーチャーの「Keed talk to! 」から始まるラップはどれもキャッチーで耳に残るものばかりです。Young ThugやRich Kidzを聞いて育ったということで(T.I.はハマらなかったそう)、キャッチーさはRich Kidzから、フロウはYoung Thugからきてるのかな? なんて思ったり。

彼がラップを真剣に始めたのには親友の死が大きかったようです。どの話にもRudyという名前が出てきます。常に一緒にいたようで彼自身もラップもしていたそうです。Lil Keedとタッグを組んでいるプロデューサー、Mooktovenとの出会いもRudyのおかげと話しています。イースターの日にLil KeedをMooktovenのいるところへ連れて行き、フリースタイルを披露したのが始まりでした。

Young Thugとの出会いはCleveland Aveの駐車場らしいです。Goatが登場しその場にいた人がみんな1度は彼と話そうとしていた異様な状況(なんとなく想像つきます)で、Lil Keedの曲をいくつか聞いたThuggerは、「そのまま続けてろ」と言い残したそうな。その何日か後に届いた連絡がLil Keedの生活を変えていくなんて、マジThuggerです。

最初のテープは地元の人にしか聴いてもらえなかったため、次作ではもっと多方面にむけて作ったという『Trapped On Cleveland 2』は、文字通り世界中に広まっていっています。

そんなLil Keedの最新作は12/12リリース

Lil Gotit

そして弟、Lil Gotit。Lil Keedより早くラップを始めたそうで若干20歳ながらラッパー歴は4〜5年と言っています。Lil Keedの特徴が超ロングドレッドヘアーなら、Lil Gotitはフェイスタトゥー。誕生日プレゼントでこのタトゥーはもらったようです(イカれてます)。2つあるうちの1つは自分自身、もう1つは2年前になくなったブラザーに向けてとのこと。

彼に最初の注目が集まったのはLil Keedとともに参加した、Lil Uzi VertのHeavy Metal。ロックは聞かなかったということなのでUziのアイデアなのは間違い無いですね。

数曲しかリリースしていないにも関わらず、03 GreedoやSmokepurpp、Comethazineも所属するAlamo Recordsと契約したLil Gotitは、デビューミクステ『Hood Baby』を先日リリース。GunnaやHoodrich Pablo Juan、Lil Duke、Lil Keedとアトランタ500%で客演が構成され、GOITI旋風が今巻き起こっています。キャリアがほぼ0でここまで取り上げられるのは、かなり異常にも思えますが、それに応えるだけの内容がここにはあるのです。個人的にはGuap TarantinoをftしたLet's Goと、先行のDrip Severeがお気に入り。

Hood Babyの由来はつるんでいた人たちがみんな自分より年上だったため「Hoodで1番Baby」をとってこうなったよう。Lil Babyの名前の由来と全く同じことを言っていてインタビューを読みながら感動すら覚えました。Lil Gotitは間違いないですね。


以上がKeedとGotitでした。Young Thugの巻いたタネが2つ大きく実った2018年でしたが、2019年は新たなスターが2つ咲くでしょうか? 期待しかないですね

written by Yoshi


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