好きなレンズ
前回の記事で、質問形式で書くのが自分には合っていることに気づきました。今回も、そんなスタイルで大好きなレンズについて掘り下げてみたいと思います。
Q.良く使うレンズは何?
これはもう断トツでPC-E NIKKOR 24mm f/3.5D ED(以下、PC-E 24mm)です。私のFlickrや1Xのギャラリーの作品の半分以上を占めていると言っても過言ではありません。特にPC-E 24mmは、シフトパノラマ撮影において、その真価を発揮してくれます。また縦横どちらのパノラマ撮影でも、レンズの歪みがほとんどないため、スティッチ作業が非常にスムーズに進みます。
最近では、PC NIKKOR 19mm f/4E EDも愛用していますが、使いやすさや周辺の歪みの少なさから、24mmは私にとってまさに手放せない一本です。建築物を撮影する際、このレンズを通して捉えた歪みのない美しい線や、奥行きのある空間表現は、何度見ても感動します。
残念ながら、既に生産終了となってしまいましたが、中古市場での人気は根強く、価格も上昇傾向にあります。建築写真、特にパノラマ撮影に本格的に取り組みたいと考えている方は、ぜひ一度、このレンズを手にとってその魅力を体験してみてください。きっと、あなたも虜になるはずです。
Q.逆に使わないレンズは?
最近は、シフトレンズにすっかり魅了されてしまい、標準ズームレンズを使う機会がほとんどなくなりました。特に、建築物を撮影する際は、シフトレンズの自由度の高さに驚かされます。建物の歪みを補正しながら、思い通りの構図で撮影できるのは、まさに撮影の醍醐味と言えるでしょう。
例えば、高層ビルの撮影では、シフトレンズを使ってパースを調整することで、よりダイナミックな表現が可能です。また、歴史的建造物を撮影する際には、建物の細部を克明に捉え、その美しさを最大限に引き出すことができます。
超広角レンズも魅力的ですが、シフトレンズと組み合わせることで、さらに表現の幅が広がります。PC-E 19mmのシフトパノラマ機能は、特に気に入っていて大空間の撮影や、建物の全景を捉える際に重宝しています。
シフトレンズでの撮影は、私にとって、建築物との対話のようなものです。レンズを通して、建築物の新たな魅力を発見できることが、このレンズの魅力の一つと言えるでしょう。
Q.「一本しかレンズを持っていけない!」場合何を持っていく?
一本しかレンズを持っていけないなんて、考えただけでもゾッとしますが、あえて選ぶなら今のところPC19mmですね。広大な風景をダイナミックに捉えたい時や、建築物のディテールを際立たせたい時など、このレンズの表現力は本当に魅力的です。
ただ、重量制限がある場合は、PC-E24mmも候補に入ります。建築物のパノラマ撮影や、近接撮影など、PC19mmとはまた違った楽しみ方ができるレンズです。
どちらのレンズを選ぶにしても、NDフィルターは必須です。特に、長時間露光による表現や、明るい光をコントロールする上で、NDフィルターは欠かせません。PC19mmは出目金レンズのため、150mm角型フィルターが必要になり、どうしても荷物が増えてしまうのが難点です。PC-E24mmであれば、円形フィルターも使用できますし、角型フィルターも100mmで済むので、少しコンパクトに持ち運べます。
レンズを選ぶだけでなく、フィルターの選択も撮影の成否を左右する重要な要素です。皆さんも、ぜひ自分にとって最適な組み合わせを見つけてみてください。
Q.今欲しいレンズは?
現行のPC-E 24mmは素晴らしいレンズですが、周辺部の解像度がやや不足している点が気になります。特に、シフト量を最大にすると、収差が目立つため、後処理に時間がかかってしまいます。Zマウント版であれば、ニコンZシステムの高画素センサーとの組み合わせにより、より高画質な画像が期待できます。PC-Z 24mmやPC-Z 45mmのようなZマウントのシフトレンズが発売されたら、ぜひ購入したいと考えています。40万円を超える価格であっても、その性能と機能を考えれば十分に価値があると考えられます。50万円を超えると少し躊躇しますが、60万円となると、既存のPC-Eレンズで十分間に合うかもしれません。
ニコンには、プロのフォトグラファーのニーズに応える高性能なシフトレンズを開発・製造してほしいです。富士フイルムのGF30mmF5.6 T/Sのような完全受注生産でも構いませんので、ぜひ実現してほしいと願っています。
そういえば先日、Fマウントの14-24mm F2.8Gを再び手に入れました。あの独特の周辺減光と歪みは、独特な表現を生み出してくれます。最近では専用のフィルターホルダーの入手も様々なメーカーから出ているので出目金レンズならではの「フィルターが使えない」という不安要素がなくなりました。
Z14-24mmも素晴らしいレンズですが、Fマウント14-24mmには、デジタル処理では再現できないような、どこか温かみのある描写が魅力です。久しぶりにこのレンズを手にして、昔の作品作りへの情熱が蘇ってきたような気がします。
とはいえ、実際に現場で使うのは、高画質で扱いやすいZ14-24mmになるでしょう。しかし、Fマウント14-24mmは、防湿庫の中で大切に保管しておくことで、いつでも特別な撮影に使える備えとして、心の支えとなっています。