見出し画像

しばられたキューピッド

「ダナエ」 1636-1640年頃 185×203cm
油彩・画布 エルミタージュ美術館収蔵


今回はレンブラントの「ダナエ」

西洋美術、古典美術は神話、宗教を主題としたものが、多く、ぼくらにはなんとも馴染みがない。
ダナエと言われて「ああアレね」と言える方は、よっぽどの勉強家か、ギリシャ人。

ダナエとはギリシャ神話に登場する娘。
アルゴス王アクリシオスの一人娘。

王はある日神託を受ける。
「お前の娘が男の子を産む。ほんでもって、そいつがお前を殺す」

親兄弟親族といえども、権力、政治、ビジネスの世界では敵になりうる。
孫に殺されちゃたまらんと考えた王は、ダナエを塔に閉じ込める。
男に触れさせなければ、子供は産めない。そうすりゃ自分を殺すやつも生まれてこない。

純潔をすごく強制的に行ったわけだね。

そんなダナエの右にへんてこな金ピカがいる。

クピド(キューピッド)

キューピッドといえば、恋の矢を放つことでおなじみの神。
それなのに、この金ピカは両手をしばられている。とくいの矢が射られない。

お年頃なのに、人を愛することができないダナエの苦しみ、かなわぬエロスをあらわしています。

彩美画廊 大北良彦

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?