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日本舞踊「銀河鉄道999」音楽制作裏話②

こんにちは!
作曲家の麻です。
日本舞踊「銀河鉄道999」の制作秘話第二弾です。

「銀河鉄道999」では筑前琵琶の田原順子先生と音楽をご一緒させて頂きました。
田原先生は藤高理恵子さんを筆頭に門下生の方々と「琵琶 聚の会」を主宰し活動をされている、琵琶の第一人者でいらっしゃいます。
今回はそんな田原先生達琵琶チームさんとのお話をご紹介します。


さて、琵琶ってどういう楽器なのかな?
先生とお会いする前にネットで下調べしてみました。
Wikipediaによると

インドの琵琶
中国の琵琶
ベトナムの琵琶
日本の琵琶

とあり、日本の琵琶だけでも

五弦琵琶
楽琵琶
平家琵琶
盲僧琵琶
薩摩琵琶
唐琵琶
筑前琵琶

がある、と書いてありました・・・・・。
そんなに種類・・・あるのか!?!?!?

よし、あとで田原先生に聞こう。

琵琶といえば、小学校で習った小泉八雲の怪談「耳なし芳一」を思い出します。
「琵琶法師芳一の『壇ノ浦』は鬼神も涙を流すほどであった」
なんて一節ありましたね。

と言いますか、正直知識的にはその程度しかありませんでした。
ですが、なぜか我が家にシタールがあったので楽器の構造や演奏法はなんとなくですがイメージ出来ました。
音色似てるし。
同じように開放弦と演奏用の弦があるのかしら?みたいな。

やっぱり詳しい事は田原先生に教えてもらおう。


田原先生藤高さん、お二人とは打ち合わせの時に初めてお会いしました。
その時の様子は一つ前の記事
日本舞踊「銀河鉄道999」音楽制作裏話①
にも書きましたが、ご挨拶も早々にそのまま台本の読み合わせに入ったので、中身の詰めの相談までには至りませんでした。
その席で田原先生が僕に

「出来る事出来ない事で言えば、出来ない事の方が多い不便な楽器なんですがよろしくお願いします」

とご謙遜を仰られて、いえいえそれならばこちらからも色々とやり方を提案させて頂きますのでその都度模索しながら進めさせて下さいね、とだけお答えしました。

初顔合わせですし、お互いどう運べば良いかまだ全く分かっておりません。

さて。
キーは固定だろうな・・・。
音量はどんなもんなんだろう?
あと先生はチームで演奏されるって仰ってたけど、どんなアンサンブルになるのかな??
それに、僕が作曲したフレーズを演奏していただくことにもなりそうだけど、楽譜はどうしよ???

持ち帰って一息つきまして。
作業に取り掛かろうにも沢山クエスチョンを残したままです。
僕は基本何でもござれの打ち込み屋ではありますが、
伝統ある古典楽器の中でも特殊な位置付けにあると言っていい琵琶。
そして伝統があるということは確固たる型があるということです。
その型に合わせるのか、それとも無謀を承知で崩していいものか!?
色んなアプローチを試せそうだけど、純粋に伝統への尊敬の念もあり、色々考えすぎて最初の一歩をなかなか踏み出せません。

これは琵琶に限らずどなたとコラボレーションする場合でも同じです。
何でも屋ですが実はこう見えて気を遣うのです、ワタシ。

とにかく、コロナ禍での制作進行であることや曲数が多いこと、またスケジュールも限られてますので、まずは踏みとどまっておらずに外枠から一つずつ進めていくことにしました。

田原先生と藤高さんと僕との三者でクラウド上に
「打ち込み-琵琶共作準備室」
を設け、琵琶チームと麻の打ち込み音源とで互いにデモを共有していくことにしました。

「まず僕が先にボール投げますので、それに琵琶を合わせて頂けますか?」
「譜面はこちらで用意しますね。五線譜でも問題ありませんか?」

やりとりを進める内に琵琶のキーはCmかDm、Gmが演奏しやすいこと、こちらからはチューニングはA=440Hzでお願いします〜のように申し出たりと、少しずつルールが作られていきました。

そんな感じで何曲かデモ作業を重ねていると、あるタイミングで田原先生から

「どちらかに寄せるということでなく新しいものを一緒に作りましょ」
「私は古典至上主義ではありません」
「麻さんのベースに我々琵琶達も、楽器を抱えて999に乗り込んじゃおうと思います」


とお言葉を頂きました。
もう、女神さまかと・・・。

急に肩が軽くなって、その後の作業がとても楽になりました。
僕の中の999号がエネルギー充填され加速モードに突入した瞬間でした!
こうして琵琶チームの録音と麻制作の音源と、お互い刺激されあってまるで糸を撚るようにドンドン曲が産まれていきました。

そしてレコーディング当日を迎えました。
実はそれまでの間は田原先生とも藤高さんとも一度もお会いしなかったんです。
メール上で侃侃諤諤し合ってましたが、実は会うのは二度目という。
その代わり頻繁に、場合によっては一日に何度もやり取りはしていましたが。
不思議な感覚でした😁。

藤高さん、田原先生と
「聚の会」の皆さんと


レコーディングの時のお話は別の機会にご紹介しようかなぁ?
それでは長くなりましたのでこの辺で。

今回も読んで頂いてありがとうございました!


続く


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