「ヒコロヒーさんの小説がとても良い」と誰かがどこかで言っていたので
どこかで誰かが「ヒコロヒーさんの小説がとても良い」と言っていた。
どこで誰が言っていたのか思い出せないけど、その言葉は私の頭の隅に残っていて、ある日本屋でヒコロヒーさんの「黙って喋って」を見たときに、「あ、そうだ、読んでみたかったんだ」と手にとった。
読み始めてすぐ、「うわぁ」と思った。「うわぁ、おもしろい」「なんか文章、すごくうまいなぁ」と唸った。
今までにあまり読んだ経験のない、印象的な文体だった。主人公の心情ひとつひとつを丁寧に掬い取り、言葉を紡ぐ。そのために、一文が