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289. インターセックスは「第三の性」なんですか?

いいえ、そうではありません。インターセックスは現在は性分化疾患、DSD (Disorders of sex development もしくは Differences of sex development、性に関する様々な発達状態)と言う言い方がなされています。1つ前の記事(288. よく「性の多様性」を図式するときにスペクトラムが使われます。‥‥)で書きましたが、性をスペクトラムでとらえるという考え方があります。次のスペクトラム図を見てください:

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左端の赤から次第に色が変化していき、右端になると紫色になっています。このようにあるものを2項対立(白か黒か、陰か陽か、など)という「どちらか一方」というものではなく、連続体として捉える考え方がスペクトラムの考え方です。性に関することで言えば、私がこれまで取り上げてきた体の性、性的指向(どの性を性愛の対象とするか)、性自認(自分の性は何か)、性の表現(服装や言葉遣いなど)を表現する際にこのスペクトラム図が用いられ、特に「体の性」についてはDSDは男性と女性という両端の真ん中あたりに位置するとして「男でも女でもない」とか「男でも女でもある」などとされてきました。しかし、DSD(性分化疾患)は体の様々なあり方を示すものであり、第三の性というものではありません。1つ前の記事でも書きましたが、ネクスDSDではDSDについてはこのスペクトラム図はDSDに対する偏見を助長するものであるとしてこの図を使わないようにとしています:

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DSDは体の状態の多様性を表すものであって、当事者の方々の多数は男性または女性という性自認を持っています。ですから、DSD当事者の方々を「第三の性」と呼ぶことも、そう考えることも私たちの偏見だということになります。以前に私の記事でアメリカではパスポートの性別欄に「X」という記載が認められたということをお話しましたが、ネクスDSDジャパンでは「私たちは「男女以外の第三の性別」を求めていません」という声明文を出しています。


参考資料

ネクスDSDジャパン「LGBTQの皆さんがDSDsを持つ子どもたち・人・家族のアライになるためには

ネクスDSDジャパン 「私たちは「男女以外の第三の性別」を求めていません。(声明文)

画像:Photo by Jose Vazquez on Unsplash