大学職員として働き始め2週間、感じたこと・変えたいこと

学部事務室で職員としてのキャリアをスタートさせてはや2週間と少し。
民間企業出身者が現時点で感じたことを忘備も含めて記載していきたい。

決して大学職員というフィールドを批判するものではなく、「大学における教育・研究をより良いものに進化させるため、職員が変えるべきこと」という切り口で書いていきたい。


1.役割認識・使命感
まず、「学部に所属する職員はどういう役割・使命を果たすべきか」という認識を全員で統一すべきであると考える。

現時点ではこの認識は一人ひとり異なっている印象で、おそらくそうした役割認識や使命感を持ち切れていない。
そのため、多くの職員は「目の前の業務をこなしていくこと=職員の役割を果たしている」と感じており、能力を活かし切れていないように見受けられる。

私見ではあるものの、職員は「教員」「学生」という2つの大きなステークホルダーに対する提供価値の最大化が大きな使命であり、それが間接的に教育・研究力を生み出す力になると考える。

より詳細を詰めてみると、
①対 教員:
教員の懐刀としての参謀役を担う。教員が教育や研究に集中しやすい環境づくりのため、彼らの時間創出やアウトプット最大化のためのサポートを行うこと。
具体的には、組織内の様々な委員会では彼らが意思決定するための材料集めや判断軸、必要に応じて素案を提供するなどが必要。より踏み込んだ貢献が求められると考える。(委員会の取り回しだけはNG)

②対 学生:
学生生活に寄り添うサポーター役を担う。学生が良い大学生活を送る環境づくりのため、履修や成績に限らず個別の相談に乗ったり、必要に応じて教員や他部門との橋渡しを行うこと。
具体的には、履修登録や定期試験といった全体ルーチン業務だけでなく、彼らの話を聞きながら学部全体の改善につなげていくなど、ミクロな取り組みとの両立が求められると考える。

以上は私見だが、こうした職員の求められる役割や持つべき使命感というものを各ステークホルダーの意見も踏まえつつ、具体化し共有していくことが改革の第一歩と考えている。


2.働き方
前述の役割認識や使命感とつながってくるものだが、見ている限り職員一人ひとりは目の前の業務に忙殺されがちである。決してさぼっているわけではない。

ただ、令和の時代にはそぐわない「生産性の低い仕事の進め方」からの脱却が遅れ、高付加価値業務へのシフトがなされていないことがボトルネックであると考える。

いくつか例を挙げる。
①「やること」が目的化された仕事
全学生の時間割表や成績表を数時間かけて印刷しファイリングしている等、「これをやる目的は何ですか?」に対してストレートな回答ができない業務が多く存在する。
全職員がPCを使っていなかった時代ならまだしも、今やPC検索ですぐにデータが取り出せてしまう。こうした過去の延長線上で残り続ける(前例踏襲型)業務が、次第に「やること」が目的化された仕事になっている。

②紙資料ベースでの仕事
説明を受ける際は、必ず紙資料が出てくる。確かに紙の方が便利なシーン(例:文章をチェックする時は、脳の特性から紙の方が精度が高い、らしい等)もあるものの、全て紙面というのは印刷時間やコスト、保存面でも効率が悪くなる。

③ ハンド作業が多く残る仕事
ハンド入力したデータの読み合わせや、証明書発行のための確認作業など、「人の手」で行う作業が多く残っている。今やプログラミングを少しかじれば、ちょっとした資料やデータ作成の多くはオートメーション化が可能ではあるが、そうした発想がどうしても生まれてこない。

このように挙げた事例が散在する根っこには、
「物事をディフェンシブに考えすぎるが故に、カイゼン(変えること)への躊躇が生まれる風土」があると考えている。
こうした風土が生まれるのは、大量のセンシティブな情報を扱う業種柄仕方ないところは十分理解できる。
しかしながら、「テクノロジーの進化によって効率化と品質は両立できるものになった」という認識を持ち、積極的に変えていくマインドセットへの切り替えが必要だと思う。


3.まとめ
これまで述べてきた「1.役割認識・使命感」と「2.働き方」は表裏一体のものであると考え、これらを同時並行で変えていく必要がある。
1.だけでは掛け声倒れになって職場は白けてしまうし、2.だけでは創出した時間の使い方が定まらない。

幸いなことに、私が仕事をしている職場は、「何か変えたい・変えないとまずい」という健全な危機感を持った職員が多く在籍しており、こうした流れを作っていくことは十分可能だと考えている。
民間企業出身者として、静かな湖面に石をひとつ投げ入れることができれば、そこから生まれる小波を全員で大波に変えることもできると信じている。

まずは大風呂敷ではなく、学部という単位で大波が起きれば、それを大学全体に広げていくことも十分可能なのではないだろうか。
これからも精進していきたい。





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