【寄せ場交流会2020第二部:単身高齢者を支える山谷の取り組み】~大学生実行委員感想レポート~
早いもので、もう3月に入って1週間たちました・・・
早い・・・と思うのは私だけなのでしょうか・・・
お待たせいたしました。前回に引き続き、大学生実行委員(前回レポートを書いた実行委員とは別の実行委員です。大学生実行委員が数名います)による感想レポートと第二部にご登壇いただいた方々の資料を下記にアップさせていただきます。
お読みいただければ、幸いです。
またご参加されたみなさま、資料を下記よりダウンロードお願いいたします。
第二部「単身高齢者を支える山谷の取り組み」
寄せ場交流会第二部は、「単身高齢者を支える山谷の取り組み」というテーマのもと、東京・山谷から5名の登壇者を迎え、それぞれの視点からお話をしてくださいました。この課題は山谷地域にとどまらず、これからの社会全体がぶつかるものでもあると思います。寄せ場はそういった意味で日本の縮図であり未来であると言えます。
登壇者:油井和徳さん(三友会)、鵜澤喜恵子さん(訪問看護ステーションコスモス)、吐師秀典さん、(友愛会)、尾方欣也さん(三井記念病院)、吉水岳彦さん(光照院/ひとさじの会)
はじめに油井さんは、山谷という地域の特性と現状について話されました。
高度経済成長期に多くの日雇い労働者がやってきた山谷は、寄せ場として発展してきた町ですが現在は高齢化が進み、単身高齢者をどう支えるかということが課題になっています。
路上生活を経る中で生活困窮に陥り、依存症など疾患を抱える高齢者も多い中、単身だとなかなか気づかれず、孤独死や自死につながるケースも少なくありません。「このような問題はあくまで表面的な問題であり、その背景には社会的に孤立した状態とそれに伴う深い孤独感がある。」と油井さんは言います。
訪問看護ステーションコスモスの鵜沢さんは、看取りの時までかかわった実際の事例を紹介しながら居住支援の必要性について話してくださいました。「安心することができる場所がどこであろうと認めていく姿勢が大切だ。」と話し、一人一人が生き方を最期まで選択でき、それをサポートしていく支援の在り方が必要だと感じられました。それは、一緒に過ごす仲間として、たわいもない話をしたり、笑い合える関係でいることでもあるのです。
吐師さんのお話の中でもこれと通ずる印象的な言葉がでてきました。それは、「ストーリーを共有できる関係」です。吐師さんが活動をするNPO法人友愛会は、「ドヤ生活支援事業」を行っており、ドヤ確保から食事、金銭管理など生活全般を支援しています。その中で、制度を使える部分もあれば、それだけでは補えない部分も多くあります。例えばそれは、個人の事情に深く関わったうえでしかわからないような生活の困難だったりします。「ストーリーを共有できる関係」とは、支援者よりももっと身近な存在で、気軽に頼れる友人のような存在なのかもしれません。
尾方さんの話された、「地域ケア連携をすすめる会」は、山谷で活動するあらゆる団体や資源を巻き込んで、地域ネットワークを構築しているというものです。その中には、今回登壇してくださった方々も含まれており、日頃から顔の見える関係を大切にしていることが、オンライン上でも和気あいあいとしたみなさんの様子から感じられました。
光照院のお坊さんである吉水さんが活動する、ひとさじの会は、山谷で生活困窮者の共同墓をつくったり、配食活動を続ける団体だ。路上生活であっても、いろいろなつながりを持っていて、家族・血族ではなかったとしても大切な存在があるということを実感した吉水さんは、同じ思いを共有する仲間とともにひとさじの会を立ち上げました。「自分が死んだときに誰にも気づいてもらえない、手を合わせてくれないということを考えたときに、自分の存在意義を見出せなくなり、人生を諦めてしまう。」と言い、葬送支援の必要性をお話しされました。
オーディエンスからは、「コロナ禍における孤独感への対応」や、「外国人への対応はどうしていますか」など多くの質問が出ました。
第二部を通し、山谷地域で活動される方々が、「孤立無縁」にさせないという共通の信念をもって日々連携しながら単身高齢者を支えているのではないかと感じました。他の地域に先駆けた山谷の取り組みは、これからの高齢者社会を支える大きな指標になるのではないでしょうか。
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