3点透視法の縦の消失点の位置
はじめに
まずはこちらの3点透視法で描かれた画像をご覧ください。
なんだか右に傾いて見えませんか?
パースにある程度詳しい人なら『アイレベルが傾いた構図かな?』と思うかもしれません。しかしこの絵のパースのアイレベルは下の画像からわかるように傾いておらず水平です。
次に、この画像のアイレベルと左右の消失点の位置は変えずに縦の消失点の位置だけを右にずらした画像がこちらです。
1枚目より箱がまっすぐ立って自然になったと思います。
このように、3点透視法においては縦の消失点の位置を誤ると地面やオブジェクトが傾いて不自然な見栄えになってしまいます。
では、どうやって正しい縦の消失点の位置を決めればよいでしょうか?
縦の消失点の決め方には法則がある
3点透視法における縦の消失点の位置は『なんとなく、感覚で』で決めるのではなくちゃんとした法則があります。
私が今まで読んだ本やネット上の講座ではこれについて詳しく書いてあるものはありませんでしたが、パースの勉強で3Dソフトをいじっていた時に偶然発見しました。
答えから先に書くと3点透視法における縦の消失点の位置は、
アイレベルに対して垂直であり、レンズの中心(画像の中心)を通る線の上にあります。
先ほどの正しい3点透視法のパースは下の画像のようになります。
この法則は望遠レンズで撮っても広角レンズで撮っても魚眼レンズで撮ってもすべて同じです。また、下の画像のようにアイレベルが傾いた斜め構図でも変わりません。
写真を使って検証
ここまで読んで『ほんとにござるかぁ?』と思った方。
安心してください。写真を使って検証します。
まずはレンズの中心をわかりやすくするために、100均のスマホ用クリップレンズの中心に油性マジックでバツ印を付けます。
このレンズで撮影した画像がこちら。
中央のボヤっとした黒い十字がレンズの中心です。
クリップレンズの長さが足りなくて画像の中心からは少し上になっていますが、クリップレンズを使わなければ画像の中心=レンズの中心になります。
縦の消失点のラインを知るためにはアイレベルの角度とレンズの中心を知る必要があるので、左右の消失点からアイレベルを割り出します。
スマホを手持ちで撮影したので少し傾いていますね。
アイレベルの角度がわかったので、アイレベルに対して垂直でレンズの中心を通るラインを引きます。
あとは、このライン上に縦の消失点ができれば検証完了です。
無事に縦の消失点がラインの上に来ました。
縦のアイレベル
私はこのラインを『縦のアイレベル』と呼んでいます。
地面と垂直な物=縦に平行な物の消失点はすべてこのライン上に収束するからです。
通常我々がアイレベルと呼んでいるラインは上下移動と回転ができますが、縦のアイレベルは左右の移動はせずに、レンズの中心を回転軸として横のアイレベルの角度にあわせて回転します。
以上が3点透視法における縦の消失点の位置の決め方になります。
なぜそうなるかという仕組みについてはまず『なぜ消失点ができるのか』を理解しないといけないので、今回は割愛しました。
仕組みがわからなくてもやり方を知っていれば描けるというのは算数や数学の公式に近いかなと。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?