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第58回「知ってみよう、聞いてみよう」 PFAS、農薬など化学物質に有害なものが多いのはなぜ?

人工的に作られた化学物質に有害なものが多いのはなぜで しょうか。それは私たち自身が、化学物質で成り立っているからで、最も有害に働く物質は、なかなか分解しないで、体の中で起きている反応を狂わせ続けるものです。似て非なる物質が最も影響します。まったくの異物は、むしろ体が排除してしまいます。

その有害な化学物質を代表するのが、環境ホルモンです。1990年代に世界中で大きな問題となりました。とくにショックだったのは、男性の精子数の減少でした。環境ホルモンというのはNHKが作った造語で、本来は内分泌かく乱化学物質といいます。 内分泌とはホルモンの分泌のことで、ホルモンと似た働きをして、体の反応をかく乱する物質です。一部のプラスチックやその 添加剤、合成洗剤、農薬などがそれにあたります。 農薬で多いのが、神経かく乱物質です。神経の情報伝達物質に似ており、その情報をブロックしたりかく乱して、自律神経系を冒し虫を殺します。医薬品の場合、あえてこのかく乱を利用しているものが多いのです。例えば痛み止めは、神経の情報伝達をブロックして痛みを感じなくさせます。毒と薬は紙一重なのです。

人工的に合成された化学物質で有害なものが多いのは、私たちの体を構成する化学物質と似て非なものが多いからです。なかなか分解せず、体の中に長くとどまり、かく乱し続けるものほど有害性が強いといえます。その代表が、PFASや環境ホルモン、ダイオキシンといったものです。

※PFAS...人工的に作られた有機フッ素化合物の仲間で4700種類以上ある。

<プロフィール> 天笠 啓祐氏
日本消費者連盟顧問。食の安全、遺伝子組み換え食品に精通するフリー・ジャーナリスト。


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