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第51回「知ってみよう、聞いてみよう」 フッ素汚染

フッ素汚染が大きな社会問題になっています。ひとつはPFASによる人体汚染が顕在化したことです。米軍基地や半導体工場などでの洗浄や消火などに用いられたPFASが、地下水を汚染し、それが井戸水や水道水を汚染し、魚介類を汚染し、人体汚染をもたらしているのです。中国産アサリから検出されたこともあり、予想以上に広がっていると見られています。

PFASとは、有機フッ素化合物の中で、合成洗剤や消火剤などに用いられてきた仲間の総称です。撥水性、耐油性や耐薬品性、安定性に優れていることから、多くの工業用や家庭用の製品にも使われてきました。いったん人体を汚染するとなかなか分解されず体からも排出されず、影響が大きいのです。腎臓がんや精巣がん、生殖能力の低下などの影響が示されています。

フッ素は多くの分野で使用されています。子どもたちのフッ素洗口、フッ素入り歯磨きも気になります。フッ素が虫歯予防によいという根拠はないことが分かりました。逆に一生治らない歯の変色である斑状歯をもたらすだけでなく、骨肉腫などの影響も危惧されており、百害あって一利なしです。テフロンの商標で有名なフッ素樹脂は、通常は安定しており問題がないのですが、空焚きなどで異常に高温になった際に猛毒ガスを発生します。それは防水スプレーにも言えることで、火のあるところでの使用はとても危険です。ハンバーガー店などで用いる耐油紙の多くがフッ素樹脂加工されています。体内汚染の原因にならないか懸念されます。フッ素は、意外とさまざまなところで使用されているのです。

<プロフィール> 天笠 啓祐氏
日本消費者連盟顧問。食の安全、遺伝子組み換え食品に精通するフリー・ジャーナリスト。

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