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形象と言語 『図の体系』読書メモ

視覚的思考に関係する『図』について調査していたところ出会った書籍です。3章は図表現の方法と形式。その中に紹介されている「形象と言語」についてご紹介します。

『図の体系』 出原栄一,1986

人の思考の過程では、言語の操作とともに、対象から抽出された形象、もしくはイメージ(心像)の操作があり、双方は適宜対応づけられる。外部への視覚表現にも、形象を直裁に映し出す絵画の類と、文や式のように、概念を表す純粋シンボルによる表明の両極がある。図はこの間に拡がる表現とみてよい。

『図の体系』P63,出原栄一,1986
書籍掲載図を井上がトレース

命題型と相似型

デザイナーは新しいアイデアを検討する際に「スケッチ」を使って頭に浮かぶイメージを外在化させています。
人の思考の過程では、概念の操作とともに、外界にとらえた形象や頭に浮かぶイメージの操作があり、双方は共に想起、確認づけられる不可分な関係だとされています。
絵画は形象の方を、文や式は概念の方を外部に表現する形式の代表です。
これに対して、図は絵画と文・式の間に拡がる表現で、形象の操作と概念の操作の双方に対応するような表現形式になっています。

命題型
言語による表明を命題型と呼ぶ。
相似型
わたしたちが事象の具体的な側面を理解する場合、概念の操作とともに、同型性によって他と類別された形の単位が抽出され、特定の意味内容を担うとして扱われる。
このように対象に即した姿の記号と記号間の関係の側を表す表現形式は、相似型もしくは直接型と呼ばれる。

私たちは事象の具体的側面を理解する場合、言語を用いた概念操作と同時に、同型性によって他の形と区別することで特定の意味内容を担うものとして図を活用している。

図の形式 「状態的関係」と「過程的関係」

図にはさまざまなものがあり、事象にさまざまな関係を捉えた場合を大別すると、
1)静的な状態として捉えられる関係・・・状態的関係、空間的関係
2)変化や手続きなどの動的な関係・・・過程的関係、時間的関係
がある。

作図:井上

対話の記録が固定されない
変化する対話では、「A」や「B」の位置や関係性が変化する場合があり、関係性の変化を書き換えるためには「A」や「B」をオブジェクトとして動かせる模型の利用は便利である。
これらのことから、コンセプトを検討する段階で模型を活用すると、対話の変化を記録し、表現された模型を見てさらに対話するというスパイラルが描きやすい。概念を可視化し、可視化されたモデルを見て、さらに概念が変化させるプロセスを支援するために模型の利用が効果的です。

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