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小劇場で公演を打つことにした普通の人の話

記念すべき初の投稿だというのに、いきなりタイトルを盛ってしまいました…。
私は肩書き的には「ふつうの人」ではなく、(意地でそう主張しますけど)「3年目の舞台役者」、です。
舞台役者として、舞台に立って、お芝居をして、お金を貰うようになったのが3年前で、
「舞台に立って、お芝居をする」というところまでは、高校一年生の時からやっています。かなりのラブをもってこう言いますが、「変人達の巣窟」である演劇部に、きっちり3年間、所属していました。何なら、部長を務めていました。

あまりこういう言い方をするのは、私の性分に合わないのですが、「仕事として、芝居をする」ようになってからの3年間、私はそれでも(ふたつ)アルバイトをしていたのと、その上での舞台の稽古とで、毎日忙しくしていました。アルバイトもきついし、東京のはじっちょに住んでいるので稽古場や劇場に行くまで毎日2時間くらいかかるし、と、そういうライトな愚痴に出来るみたいなちょっとした重たさはいつでもありましたが、
本当におかしな話、舞台に立って、芝居をすると、それが全部霧散してしまうというか…
アルバイトがつらいなら、ただでさえ交通費や交友費(演劇人はたぶん、皆飲み会が好きです。私も好きです)がかさむような演劇なんてやめちまえ、という話はたぶん、恐らく、もっともなんですけど、
そして今の私にはまだ「演劇をやめる」という選択肢は無いのですが、
とにかく、舞台に立つ度に、「もっと、もっとやりたい」と思ってしまうんですよね。ほんとに例外なく…。
いい意味でも、悪い意味でも、「これで終わりには出来ない、やめられない」という気にさせられます。

私には、祖母と、母と、二人の妹がいますが、とても有難いことに、みんな私の出演する舞台を観に来てくれ、正直な感想を伝えてくれさえします。
私は今年で23になりました。
だからこれからも、ずっと、でもきっと、アルバイトをしながら、演劇を続けていくものだと思っていました。

それが約1年前、急〜に家庭の事情が変わってしまい、一時期は「演劇をやめる」のを考えたこともありました。私にはまだ、「演劇の仕事だけで生活する」力が無かった為です。
私一人が勝手に生きていくならそれでもいいかもしれない、でも、そういう訳にもいかない。

という事で、すぐ、就職しよう、と思いました。何ならその日中に、面接の約束を取り付けにかかりました。オタクは行動力が凄いです。私はオタクです。


結果的に、私は社員にはならず、アルバイトとしてそこに入社をして、スチールカメラマンとして働いています。ちょっとその辺の葛藤については書けません。ちょっと…。
そこの社員さんは勿論ですが、パートも、アルバイトも、毎日のように激務をこなしています。撮影、とひとくちに言っても、動き回りながら人間を撮ることの難しさと、その後に自分で撮ったものを「なんとか、作品にする」ことの労力については、一晩では語り尽くせません。入社して1年も経っていない人が何を…と言われそうだし、私もそう思うのですが、私はこの約1年間、いつも真面目に働いているつもりです。出来ることは全部、出し惜しまずにやっている自信はあります。

ですが、もう早い話が、
その仕事がとても忙しく、
家庭の事情が改善されるようなことも無く、
その他諸々、出てこなくてもいいような問題がそういう時に限って出てきたりなんかして、
しばらくメンタルクリニックに通っていた時期がありました。通いながら薬を飲んで働いていたので、きっとそんなに大変なことでは無いのだろう…とぼんやり言い聞かせていました。でも、私の周りにそういう人がいたら、いや大変だよ休んでよと言うと思います。
朝早く、出勤前にとぼとぼ歩いていたところを後ろから声をかけてくださった先輩に本気で心配された時、そんなにやばいのかなあ、と思ったのをよく覚えています。

誰かに相談するのって、物凄いパワーが要るんだなと、思いました。
メンタルクリニックの先生はとても優しい、穏やかなおばあちゃん先生だったのですが、
その方に今までのこと、どうして「しんどい」のかをひとつひとつ話すのですが、それでまたぐったりしてしまうというか。辛かったことが思い出されるから、とかは勿論ですけど、それをちゃんと整理して話すって難しいわ〜といつも思いながら、カウンセリングに臨んでいました。その帰り道はいつも、寧ろなんだか体が重たくて、自分の輪郭以外ぜんぶが無くなってしまったような感覚に陥ることもありました。ていうかほぼそうでした。
クリニックで貰った薬も上手く飲めず、悪夢を見るから助けてくれ〜と訴えて貰った薬の副作用の欄に「悪夢を見る」と書いてあったり(普通の睡眠薬なんですけど)。病院を変えるとか、もっと色んな人を頼ってみるという選択肢を思い浮かべる力も無く、毎日バイト先と家の間をぽや〜んとしたまま、あるいは理由もなく大号泣しながら往復していました。

仕事の合間に、先輩の舞台をふらふらと観に行って、涙がまた止まらなくなったりしました。怖いよね。終演後にまだ泣いてるお客さんなんていないのに、いつまでもびょおびょお泣いてる女が客席に座り込んでるという……。
因みに、この時、泣きながら楽屋にて正式にオファーをさせて頂いたのが、今回の公演の主演、いせひなたさんです。
驚かれていましたが、とても優しく話を聞いて下さいました。
いせさんとの思い出は、この薄暗い私の記事で語るのは忍びないくらいかわいらしくて、大切なものたちなので、ちょっとまた後ほど語らせてください!


演劇が出来なくなって爆発した私の負のオーラ、というのか、全体的なバグみたいなものの本当の根源は、実は私と父との関係にあります。
理不尽な目にばかり遭わされてきました。もう二度と会うことも無い筈ですし、そうであって欲しいと思います。
しんどい時にどうしても、もう過ぎたことである筈の父との話が浮かんできてしまって、逃げ場がなくて、どうしようもなくなってしまうことが沢山ありました。今でも無いとは言い切れません。
きっと許すとか許せないとかの問題にも辿り着けていなくて、深い怪我とか、しつこい痣みたいなもので、もしかしたら私はそれと一生付き合っていくことになるのかもしれないなとも思います。

なんとその父に、仕返しをしようという気になりました。
本当はそんな気力も無いのに、急にそう思い立ちました。
今までもそういう考えを持ったことは何度かあるのですが、何というのか、自分自身の傷とか痣とかを見ないようにするのに必死過ぎて。意味わからん喩えになりますが、超狭い箱に、変な体制のままギュッと収まって、苦しくて身動きの取れないまま、でも動くと余計に苦しいから、仕方なくそういうふうに落ち着いてた、みたいなところがありました。

仕返しって何だ、と中央線に乗りながら真剣に考え続けた結果、
「父に嫌われ続けている私が、幸せであること」だなと、
私の幸せって何だ、とまた真剣に考え続けた結果、

私は今年12月に、初プロデュース公演を打つ運びとなりました。


ここまで長かったなあーー!(;▽;)笑
文章が…
悩みながら書きまくって、消しまくって、書いてると落ち込むし、でまた消して、の繰り返しでした。
よかったよかった。ここからは明るい話しかしないので、(私は)気が楽です。


仕事が忙しい、忙しすぎてメンタルがやられちまった、メンタルがやられちまって過去の辛いことばかり思い出す、ついでに不眠症になる、それでも朝早くから始まる仕事は忙しく、大好きな演劇は出来ない…
という日々の中で、私にとっての救いは「公演を打つということ」でした。

毎日そのことばかり考えていました。

まだまだ公演まで先だ、それまでは何とか生きて、劇場を予約してしまったからちゃんと頑張らねば、脚本のテーマはもう決まっているから書かなきゃ、稽古場を予約して、何とか、何とか…………

とやっているうちに、先日やっとキャスティングが終わり、全員でのビジュアル撮影が行われました。

知り合いの、大勢のカメラマンに参加して貰い、3日間かけて写真を撮りました。私も、撮りました。めちゃめちゃ体が痛くなりましたが、死ぬほど楽しかったです。


後に退くつもりは元からありませんでしたが、いよいよ、退けなくなりました。
公演のために使った気力や、勿論金銭的なところは、振り返ってみると今までにないものばかりで、こりゃ大変なことをやってるぞと毎度思うのですが、
何よりも、集まって下さったキャストの皆さん、スタッフの方々、お力を貸してくださっている全ての方に感謝しています。シフトの件ではバイト先にも迷惑をかけてばかりなのですが、優しい先輩達に恵まれているなとつくづく感じています。


私のバイト先には、毎日たくさんの家族が来ます。お父さん、お母さん、こども。殆ど必ず、皆で来てくれます。そして私はその写真を撮ります。
ほんとにたくさんの家族が来て、だからたくさんの家族とお話するのですが、皆似ているようで、全く違う背景を持った方々ばかりです(当たり前だけど…)。

私の家族は、その構成的にも、バックボーンみたいなところでも、一般的なそれとはちょっと違うかもしれませんが、
私にとってはいちばん大切な集団です。

「ハルタシキ!」に登場する「家族」もやはり、一般的な「家族」とはちょっと違うものだし、「仕事仲間」とか「恋人」もそうかもしれません。いびつで、かわいそうで、ヘンテコだけど、「おもしろい繋がり」の人達の集まりの話になって、いると思います。

一遍の脚本ひとつでは完成できないのが舞台なので、この作品に関わってくれる全ての方の力によって立体になっていくのがとても楽しみです。

私のいかれた負のパワーによって生み出された思いつき、から始まったものではあるものの、いざ始まってみるとそのきっかけなんて正直どうでもよくなってしまっていて…それが前述の通り、「演劇のいいところ」と、私がそれをやめられない理由なのですが、
今はただ、観て頂けた人がちょっとでも楽しんでくださることを祈っています。やっぱりそれが「幸せ」というか、冥利に尽きるみたいなところだと思うので…。

親子割引(親子で観劇される場合はおひとりにつき500円引き)なんてのもあるくらいなので、
老若男女問わず、皆にやさしくて、ちょっと笑える作品にしたいです。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。


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大橋頼企画12月公演
「ハルタシキ!」
@高田馬場ラビネスト
2019年12月20〜22日


・あらすじ
東京都のはずれの商店街にひっそりと佇む写真館「ハルタ」。
二十年前、亡き春田夫婦が経営をしていた頃はとても賑やかだったものの、
その娘・春子と夫、繁が経営を再開させてからは、商店街自体に活気もなく、閑古鳥の鳴く日々が続いていた。
再開から1ヶ月。
町おこしならぬ「商店街おこし」に挑むべく、
春子の親友・紀子や、叔母である朱里、
スナック「マッピルマ」を営む健二らが集結する。
商店街おこしに頭を悩ませている中、
幽霊になった春子の両親がやって来る。
どうやら「謎の組織」に追われているらしい「幽霊の」二人の願いは、
「家族写真を撮ってほしい」というものだった。
優しい人たちの、優しくておかしみのある一日の物語。

・出演
いせひなた
宇敷浩志
内田直輝
大橋頼(LIVEDOG株式会社)

原彩弓(メロトゲニ)

伊織ジュンヤ(劇団回転磁石/演団♤四輪季動)
谷茉衣子

宮岡志衣
キムラエンタツヤ

・日時
2019年12月
20(金) 19:00〜
21(土) 13:30〜/18:30〜
22(日) 13:00〜/16:00〜
(※開場は開演時間の30分前)

・チケット
前売り 4000円
特典付きチケット 5000円(※前売りのみ)
当日 4500円
親子割引 3500円(1名につき)
リピーター割引 3500円
予約はこちらまで▶️ https://ticket.corich.jp/apply/103937/

・脚本
大橋頼(LIVEDOG株式会社)

・演出
伊織ジュンヤ(劇団回転磁石/演団♤四輪季動)

・舞台監督
吉川尚志(劇団SURF SHOP)

・音響
ゆとり企画

・照明
杉山桜子

・制作
積希莉世(株式会社VARIAL/劇団おひさま冒険団)

・スチール
SHIMA
ニワノタカフミ
ふじはら
積希莉世(株式会社VARIAL/劇団おひさま冒険団)
大橋頼(LIVEDOG株式会社)


\宜しければこちらも…/

#ハルタシキ ! 展覧会のお知らせ📸

「写真館『ハルタ』、大橋頼企画12月公演に向けて」

・日時
11月10日 (日)
12:00~17:00
・場所
mayabell(渋谷駅から約5分)
mayabell.net
・入場料
500円

・展示内容
キャストのポートレート写真、メインビジュアル、上演台本一部公開等

・スチール
SHIMA @shima_est
ニワノタカフミ @takafuminiwano
ふじはら
積希莉世(株式会社VARIAL/劇団おひさま冒険団) @rise456tumiki
大橋頼(LIVEDOG株式会社) @yori_mgmg_18

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