そもそも東京は若い女性が住める街ではないのではないか

いわゆる若年女性支援にまつわるアレコレを見ていて思ったのが、

・困窮する若年女性をどうやって救えば良いんだ?

という部分であります。

暇空茜さんについては「行動力ハンパねえな」と思ってますけども、いかんせんネットで確認出来る情報だけではまだグレーな部分も多いですし、公金の使い方が適切であったのかどうか、公金を投入するに値する団体であり活動であるのかどうか、監査を経て白黒はっきりつけば良いなぁ、くらいに思っております。

そんなわけで当事者の方々に経緯を表しつつも、僕があれこれ述べる立場には無いなあと思っているのでちょっと置いておきます。

でもってその先の部分というか、いわゆる「困窮する若年女性をどうやって救うか」という部分なのですが、個人的には「なんで女性に限定すんだよ。性搾取される若年男性だっているじゃねーか」くらいに思っているとはいえ、今回の趣旨からちょっとズレるのでいったんこの部分についても書かないでおきます。

その上で「なんで困窮するんだ?」という根本的な部分から考えていきたい。

最初に言っておきたいのは上京してきた若年層の女性が従事しがちな業種には待遇が劣悪な所が少なくないことです。

例えば美容師やネイリスト、エステティシャンなどなど、これらの仕事に従事する方々に待遇の悪さについて聞くと「時給にしたら数百円ですよ~w」みたいな事を笑いながら言ってたりもしますが、東京都の最低賃金は1,072円なのでゴリゴリの法律違反だし笑いごとではないのではないかと思っています。

偏見が混ざってる事は認めますし、ちゃんとした待遇を用意している会社もあるだろうとは思うのですが、前述の業種については「業界全体の待遇が悪い」「業界全体が遵法意識に欠けてる」くらいの事は言っても良いんじゃないかと思っています。

皆さんの周りにこういう職業の方が居たらぜひ聞いてみてください。「時給にしたら600円だわ~」みたいな人が高確率で見つかるのではないかと思います。そりゃあ生活だって困窮する。

なので本件については「労基署もっと仕事しろ」ですし、「まともに給料が払えないような会社は潰れた方が良い」くらいに思っています。この辺にきっちりメスを入れていく事が困窮する人々を救う結果に繋がるのではないでしょうか。

次に東京の家賃の高さです。都市部でも首都圏以外なら月4万円でそこそこ綺麗な1Kアパートに住む事も出来るでしょうが、都下においては女子大学生ですら家賃+管理費の平均で約6万5,000円というデータがあります。23区内に限定すればもっと高くなるでしょう。

これが、そこそこ良い会社に入ってそれなりの給料をもらっている方(各種手当も入れて手取り25万くらい?)なら何の問題もありませんが、会社や親の仕送り、大学の奨学金といった後ろ盾の無い女性、例えばフリーターであったり派遣社員であったり激務薄給の労働環境だったり、月収が手取りで18万円みたいな人だとたんに東京で暮らすのが難しくなります。こういう人は相当居るはず。

家賃が7万円として光熱費や通信費を入れて10万円、残り8万円の内食費・日用品が3万円、美容院や被服費やお化粧品で2万円としたら残りは3万円で既にカツカツです。風邪ひいて3日休んだら赤字ですね。

これが男なら、セキュリティを無視してもっとボロくて安い家に住むか、服はヨレヨレでもいいか、みたいな選択肢もあるのですが、女性だとなかなか難しいでしょう。なので「東京の家賃(特に23区や人気のある場所)は死ぬほど高いので、考え無しに上京してきたら詰むぞ」みたいな事はもう少し周知する必要があるんじゃないかと思っています。

就学・(まともな会社への)就職以外で上京する方々はちょっと考え直して、東京じゃなくて近場の中核都市くらいで経験を積んでお金や経験、自信が溜まってから上京、くらいの方が良いんじゃないかなー-。

次に依存です。前述の「激務薄給」に加えて家賃も高い、となると当然困窮するわけですが、その困窮にブーストをかけてしまうのが何かしらに対する依存で、これが恐らく体を売らなくてはいけなくなるまで困窮してしまう、最大の要因じゃないかと思っています。

ホスト、薬物、ギャンブル、買い物、整形などなど。

前述の通り激務薄給の環境の元、東京で暮らしていると、「やっぱ生活がしんどい」「好きな服くらい買いたい」ってなって、キャバクラなど高時給の水商売で週に2回くらい働いて生活費の足しにするかーってなりがちなんですよね。今だとパパ活とかなのかもしれないけど。

これは本当によくある話なんですけど、「カリスマ美容師になるぞ!」みたいなテンションで東京の専門学校卒業して、美容院で働き始めたけど長時間拘束&激務なのに手取りは15万円とかでね。それだとやっていけないから週に2回キャバクラで働くようになって、キャバクラで働いてるうちに段々美容師の仕事がバカ臭くなってきてキャバクラ1本になって。

そんでそこそこ稼いで東京を満喫して、若い内は良いんだけど20代後半くらいになってから「あれ?私は何しに東京に来たんだっけ?」ってなって地元に帰る、みたいな。

まあ別に夜のお仕事をはじめる事については本人の選択だし生き方だし、この辺についてまで「なんとかしなきゃ!」とは思いませんけども、問題なのはこの過程で何かしらに依存しはじめる人が一定数居る事です。

水商売を始めるくらいであれば別にそこまで追い込まれる事もないかなと思うのですが(嫌なら辞めれば良いし)、水商売をしているとどうしてもそういう知り合いが増えますし、そのうちホスト、薬物、ギャンブルその他に誘われて、そのうちにどっぷりハマる、みたいな。

ホストの話をします。

これは業界の方に聞いた話なのですが、歌舞伎町を歩いてると「売上1億達成!」とか「No1ホスト!」みたいな看板がギラギラ立っていて、アレを見ると我々一般人は「あそこに載ってるのは売れている、凄腕のホストなんだな」って思ってしまいがちですが、実際はそうではなく、結局のところ「どれだけ女性を追い込んだか」のランキングだそうです。なのでめちゃめちゃ入れ替わりが激しいらしい。

あのランキングに載るくらい女性に無理をさせると、悪評が立ったり周囲の女性が軒並みパンクしてお店に来なくなるからもって2年くらいのものだと。だからお客に無理をさせず、細く長く良い接客をするホストはあのランキングには乗って来ないらしい。

月に何千万も売上があるということはつまり、それだけ女性にお金を使わせている、ということです。そして普通の女性が1本ン十万とかのお酒をポンポン開けられるわけがありません。ン十万のお酒、数百万のシャンパンタワーなんて、どう考えたって「無理しないと」払えない金額なんですよ。数万円のお会計だって厳しいじゃないですか。

結局、カケと言って借金を背負わせる代わりに言葉巧みに高いお酒を開けさせて、それが払えないとなると夜のお仕事に斡旋する、みたいな仕組みになってるんですよね。

つまり、自分に依存させて、仕事を斡旋して夜のお店でせっせと稼がせつつ、そのお金をギリギリまで吸い取る事によってあの売上が成り立つわけです。

我々おっさんがキャバクラでシャンパンねだられても「今日お金無いわ~」って言ったらそこで終わりですけど、ホストだと「カケでもいいよ~」って感じになるんですよね。

悲しいかな、我々オッサンは手元にお金が無いと逆立ちしたってキャバクラで豪遊なんて出来ませんが、若い女性は手元にお金がなくたって豪遊出来ちゃうんですよね。若い女性は換金出来る仕組みがあるから。おっさんは売ってもお金にならないけど、若い女性は換金出来てしまうという。すごく怖い話だと思うんですけど。

そしてこれは余談なのですが、こうやって若い女性からお金を収奪しまくるホストの方々はさぞかしリッチな暮らしをしてるんだろうな、って思うじゃないですか。でも実際のところホストも一部を除いてはカツカツの生活してるんですよね。

仮に月収100万のホストが居たとして、ホストの中ではそこそこ、くらいのポジションだと思うんですけど、このホストが東新宿1LDK月15万の家に住んでて生活費が50万くらいだとするじゃないですか。

でも、それくらいになると周囲から「もっとランクにあった良い服着ろ」とか「時計はこれくらいのものを身につけろ」とかなんとか、「お金を使え」的な圧力が来るらしいんですよ。お店側からしたら月収100万のホストが月50万でのほほんと暮らすより、月収100万のホストに月150万使わせて「もっと稼がなきゃ!」って状況に追い込んで200万稼がせる方が結果的に儲かりますもんね。もっと悪いのになると非合法のギャンブルにハマらせて借金背負わせたり。あとはさっき言った「カケ」のお金は女性客が逃げたらホスト本人が背負う慣習があるのでその借金を背負う事もザラにある。ホストも水商売の女性と同じく、キャバクラ、薬物、酒、ギャンブル、買い物なんかに依存してる人がすごく多い。

なのでおっさんからお金を巻き上げた女性のお金を巻き上げたホストのところにも結局あんまりお金が残ってなかったりするので、あのン百万するシャンパンタワーのお金ってどこに消えてるんですかね。余談ですけど。

この、ホストについてはTwitterで指摘している人もいましたが、そもそも「カケ」という仕組みを法律で禁止しちゃえば良いんじゃないかと思っています。カケのお金を請求する事自体を法律で禁止しちゃえば手持ちの現金以上に飲ませるような事はなくなるでしょうし、それによって追い込まれる人は減るはずです。

あとは薬物やギャンブル、お酒に買い物に整形にっていう依存についてなんですが、これも似たような流れで困窮する→夜のお店で働く→環境のせいで何かに依存する、みたいなパターンです。

ギャンブルは合法ならまだしも非合法なお店にお金持ちのお客さんのアフターで連れていかれてハマった、とか、整形はお店の他のお姉さま方見てて「私もやるぞ!」ってなったりとか、とにかく夜のお仕事と何かしらの依存っていうのはかなり密接な関係にあるんじゃないかなと思っております。

昼間働いてる限りは薬物に依存してるとかホストにハマってるとかそういう人に出くわす事ってあんまり無いのに、夜のお店だと相当高い確率で出現しますからね。

というわけで全体的な流れとしては(もちろん例外のパターンもあるけど)、

・安い賃金と高い家賃によって生活が困窮気味になる
・生活が苦しいので女性性を売りはじめる
・何かしらに依存するようになる

というループをどうやって崩すか、というのが根本的な問題じゃないかと思っています。

対策としては、

・劣悪な労働環境にメスを入れる
・そもそも東京という街の怖さについて周知する
・依存のループを断ち切る法整備・支援をする

この辺かなーと思ってるんですが、全部ひっくるめると「東京は、若い女性が暮らすような街ではない」っていう結論になっちゃうなって思っています。

前述の通り、親の仕送りがあるとか、仕送りは無いにしろ大学の奨学金借りてるとか、ちゃんとした会社で働いてるとか、何かしらの後ろ盾があるならまだしも、裸一貫で何の後ろ盾もなく東京砂漠に飛び込むと、まあまあの確率でさっき言った困窮するルートに乗ってしまうんじゃないかと思っております。

そして普通なら困窮した結果夢破れて地元に帰って終わり、ってなるパターンなのに、いかんせん東京では若い女性が女性性を換金する事が可能で、それによって東京にしがみつく事が出来ちゃうから良くないんじゃないかなぁ。もちろん大阪名古屋などの大都市にも似たような構図はあると思うんですけど、東京ほど酷くはないのではないかしら。

※追記

件の団体が支援してるもっと若年層、中高生層だとまた実情が違うんじゃないか、みたいな指摘を頂いて「たしかに」と思ったのですが、構造としてはかなり似てるんじゃないかと思っています。親という後ろ盾がない状態で自立した生活を画策するも、前述の通りのルートで困窮して女性性を換金せざるをなくなってその過程で何かに依存しちゃう、みたいな。

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