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百年芸能祭イベント イ・サンウンliveは最高でした!

百年芸能祭イベント イ・サンウンliveは最高でした!

6月10日、11日の両日、京都、奈良の会場で開催されました。

僕は当然、2days参加。家族の支えがあってできたことでした。ありがとう。

メインはイ・サンウンliveですが、彼女の公演前には、初日京都ではピヨピヨ団と伴戸千雅子&yangjahのパフォーマンスが、2日目奈良はアカリトバリの演奏がありました。

ピヨピヨ団

ピヨピヨ団、そしてアカリトバリでも歌われた「調律」とてもよかったです。「今何かが間違っている。本当に大切なことは何だろうか」と、軽妙なリズムの中に、怒りと自問が込められた歌です。

アカリトバリのライブでは、アカリさんの故郷福島を思う気持ちが表現され、ラストにうたった「ひかり」からは、本質に向き合いながら、前進しようという熱いメッセージが伝わってきました。

アカリトバリ

伴戸千雅子&yangjahのパフォーマンスはなんとも不思議な演舞でした。
真っ暗の中、ピエロのような、ドラクエの「遊び人」のような姿に扮した人が、だんじりの大工方の踊りのようなことをしながらカラフルに光るミラーボール?丸いルービックキューブみたいなものを回し、そこから発せられていると思われるファミコンのスーパーマリオで聞いた感じの音が、不協和音として鳴り響き、その音を背景にして、二人のパフォーマーが身体表現を行うというものでした。
僕の勝手な解釈ですが、不協和音は荒れ狂う玄界灘の波の音で、荒波と漂流をパフォーマー二人がダンスで同時に表現することで、苦難と再生・解放がメッセージとして伝わってきました。

さて、メインのイ・サンウンlive。

京都、奈良、どちらもアンコールのラスト曲を除き、同じセットリストが組まれていました。

セットリスト

1.비밀의 화원(秘密の花園)
2.벽(壁)
3.길(道)
4.넌 아름다워(あなたは美しい)
5.삶은 여행(人生は旅)
6.언젠가는(いつかは)
7.어기여 디어라(オギヨディオラ)
アンコール
1.파라다이스(パラダイス)
2.둥글게(round)@京都  / 새(鳥)@奈良

1曲目はアルバム「신비체험(神秘体験)」にも収録されたヒット曲「비밀에 화원」。この度、イ・サンウンが来日するという驚きのニュースを機に、YouTubeで検索すると、数々の若手アーティストにカバーされている曲ということが分かり、世代を超えて愛されていることを実感。この曲からスタートしてくれたことは何よりもうれしかったです。


京都と奈良で唯一違う曲目となったのはアンコールラストで歌われたものでした。初日京都では、「새」を歌ってほしいというリクエストが会場からありましたが、舞台から「準備していないので難しい」みたいな答えがあったような気がします。でも翌日の奈良では「새」を歌ってくれました。歌う前のMCにて「難しいので間違うかも。でも、難しいから間違ってもみんな気づかないかな」と言いながら歌い始めました。僕からしたら演奏もばっちり、完璧に歌いきっていました。


イ・サンウンの代表曲と言ってもいい「언젠가는」と「어기여디어라」サビは会場みんなで歌いました。「언젠가는」では 舞台に会場のファンを上がらせ、대창(対唱)をされました。これだけお近づきになれれば、生涯忘れることないこと間違いなし!


京都と奈良、アンコール曲を除き一緒でしたが、京都では、日本語訳付きの歌詞資料が配られ、奈良ではそれが配られず、1曲1曲について、イ・サンウン本人もしくは、主催の姜信子さんからの解説というなんとも贅沢なおもてなし。京都は100名くらい収容のライブハウス、奈良は30名規模の古民家カフェで、音の響きがそれぞれ違い、曲目は同じでも味わいは異なりました。


イ・サンウンさんと姜信子さん

MCも独特の間を入れながら話をするので面白かったです。「オランダの王立音楽学校の~」、「東京大学出身の~」など、メンバー紹介の際、わざわざ学歴紹介する下世話な感じがまた、距離がぐっと近づく感じがして面白かったです。

さて、僕からしたら、日本でいうとユーミンや中島みゆき級のアーティストが、こんなに身近に会えて、歌が聞けるなんて、はじめは大変驚きました。

しかし、少し前にCHEKCCORI(ちぇっこり)主催のオンラインイベント「K-POPの歴史がわかる!歌手イ・サンウンのすべてがわかる!イ・サンウンヒットパレード!」に参加し、その疑問が解かれました。

このイベントで、イ・サンウンの代表的作品「공무도하가(公無渡河歌)」の誕生秘話を初めて知り、大変驚きました。僕はこれまで活動史や作品のエピソードを全く知らず、作品、活動を純粋に楽しんでいるだけでした。なんと、この「공무도하가」は姜信子さんとのコンセプト会議を経て誕生したということでした。「近代国家が誕生する以前、良い関係を気づいていた東アジア。近代国家が誕生して以降関係が悪化した。音楽は国境をまだ超えていない。それはまだ近代国家の矛盾を人類は乗り越えていないということで、音楽で越えてほしい。アジアの中にある共通項や記憶を探ってみてはどうか。一緒に作ろう。」と姜さんから提起され、その結晶が「공무도하가」であったとは!

イ・サンウンの音楽の素晴らしさは芸術性と大衆性の間を追求しているところと、なんといっても声です。特に彼女の声をどう表現すればよいか、これまでしっくりする言葉が見つかりませんでしたが、このエピソードを聞いて分かりました。「時空を超えて人々の心の奥に届く声」だと!

イ・サンウンは90年代、まだK-POPという定義がなかった時代に、日本でライブをしたり、5年ほど生活しながら活動しました。それらを陰で支えていたのは姜信子さんほか、日韓の架け橋を担う在日コリアンがいたということをこの間初めて知りました。驚くとともに、同胞として、テレビを見ながら「あの人在日やで」と言うがごとく、誇らしい気持ちにもなりました。

普通であれば、「イ・サンウンさん」と呼ぶべきですが、僕にとっては遠く離れたスターであり、そのリスペクトの意味から「イ・サンウン」と呼び捨てしてきました。が、この間で、一気に距離が近づき、「イ・サンウン」さんと呼んでしまいそうになります。しかし、そうしてしまうとスターではなくなるようでで少し寂しい気持ちにもなります。かといってアイドル時代に商品として扱われることに苦しんでいたという話を聞くと、商品として見ているようでダメなのかと。この短期間でこういう距離感を考えることにもなりました。

次また会える日も期待したいです。


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