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樋口麗子 / fish or meat? (2001)

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女性SSWによるファースト・アルバム。バイオグラフィーは一切不明である。
グランジを通過したオルタナな音に、メンヘラ系の歌詞が乗る90年代後半〜00年代前半のJ-POPでもよく見られたタイプの音である。アコースティックなものから打ち込みバックのものまで多彩。Coccoにエレクトロ要素を付加したような感じだろうか。

このアルバムでは1曲を除き全て樋口自身による作曲なのであるが、その除く1曲が出色。なんと唐突にSadeの「Like a Tatoo」のカバーが入る。出だしはSadeの歌詞を邦訳しているものの、途中から暴走しメンヘラなポエトリーリーディングによってSadeの美しい歌詞が上書きされていく。しかし終始バックトラックはSade。これSadeでやる必要あったのか…? こういうトンデモ要素が珍盤の魅力だと再確認。

帯に「協賛 日本電子専門学校」とあるが、どこに協賛要素があったのか不明。この学校は新宿にあるデザイナーやアニメーターを育成しているようであるが、音楽関係は特にはなさそう。当時はJ-POPも隆盛期であり、そのような学科があったのだろうか。

またこのアルバムのプロデューサーは秋元カヲルという方で、公式サイトによれば「初めて耳を傾けた「音楽」は短波ラジオを通して聞こえて来たノイズの波。」,「気がつけば「アラブ古典音楽とその楽器ウード研鑽の為」と称して1989年チュニジアに降り立ち」と、いきなり中二病炸裂しているが、かなり錚々たるメンツのデコーディングに関与しているようで、それなりの実績を残してきた方なのだろうと思われる。楽器アレンジも全てこの人によるもので、確かに曲自体は悪くない。とにかく流通した形跡が全く見られないので、うまく押し出すことができていたらスマッシュヒットくらいは狙えたのかもしれない。この時代はまだネットが未発達なので、マーケティングも難しかっただろうと想像する。

①このうたをうたおう
②虫
③花
④in this room
⑤ドコカトオクヘ
⑥like a tatoo (Sade Cover)
⑦何にもない
⑧ITAIYO
⑨迷宮
⑩in your arms
⑪FLIGHTLESS
(KAIBA MUSIC / KMCD-RH001)

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