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食材の個性を味わう|冬瓜

フットボールのような大きな冬瓜(トウガン)を380円で丸ごと手に入れました。10日前の事です。日頃の高いエンゲル係数をなだめてくれるのは、こういう旬の野菜。身体も喜んでいるはずです。

冬瓜と言えば定番は煮物ですが、ぬか漬け、豚バラとの炒め物、和牛との炒め物と調べればそれ以外の調理法も出てきます。知ったものは全て試しても、まだあと8分の1ほど新鮮なまま冷蔵庫で待機しています。

これは豚バラとピーマンの炒め物です。黒胡椒をたっぷりかけると一段と美味しいものでした。

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この料理のコツは、一つだけでした。それは豚バラを先に炒めること。その豚バラを一旦取り出して、肉汁が残ったフライパンで冬瓜を炒め、肉の旨味を吸わせます。水分が多いためペタペタとまとまってしまう冬瓜の両面に火を均等に入れるには、一度炒めた豚バラを取り出した方がいいそうです。

まだ冷蔵庫で待機している8分の1の冬瓜をもう一度ぬか漬けにしようか、いま迷っているところです。

野菜はぬか漬けにすると美味しさの日延べができるのです。フットボール分食べていくと、いくらなんでも飽きてしまう。けれど、気温が上がれば上がるほど冬瓜の滋養が体に沁みます。人によっては「味がない」食材といわれるだけあって、ヘッダーの写真のようなシンプルな煮物にすると出し汁を食べているような気分になります。が、やっぱり「味がない」わけじゃないです。冬瓜にしかない旨さがありました。

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左から冬瓜、蕪、茗荷。全てぬか漬け。


だから冬瓜を煮ながら想ったのは、

「こうゆう人っているよな」

です。

姿は、スイカみたいに固い皮に覆われていて、それは包丁をあてると勢いで向う側の指を切ってしまいそうになる程。この固さのおかげで、夏に収穫しても冬まで貯蔵できるそうで、それが名前の由来。保存食ですね。

その皮の内側は、水気を多く含んだ瓜の、白く透き通った繊維質。それを鰹出汁で煮るとすぐに黄金色に染まり、姿を消してしまいそうになるのです。味も、その背景に溶け込んでしまいそうになるのです。なのに、なぜか夏になると冬瓜が食べたくなるのです。真夏のトロトロの冷やし鉢には、助かったような気にさえさせられるのです。

もしも会社経営をしていたら、まず、固い皮に惑わされてはいけないのでしょう。印象とは違って、内側に入れば、透明感のある真っ白な気持ちであっという間に社風に溶け込んでしまうのですから。主張していないのに必要になれば思い出してしまうような魅力が備わっています。その戦力は滋養のようなもの。だから、ほかの社員は気づかないかもしません。が、経営者ならそのタイプも見抜くべきです。そして、その戦力に気づく社員と一緒に重用するのがお勧めです。繊細さが手荒で過剰な情熱で崩れないように理解者が必要なのです。そうすれば、ムードメーカーたちとは違う実働となってくれるでしょう。

一両日、鍋に入れたままにしていたら、梅雨の湿気のせいなのか表面にうっすら白い幕ができてました。腐敗のはじまりです。ちょっといけ好かない匂いもしています。捨てるというよりも、もう一度沸騰させればまだ食べられそう。だけれど、慌てて火を入れる前に立ち止まりました。表面の幕を、幕なりに取り除こう。そうすれば腐敗の濃度が全体として下がるかも。そう思って、灰汁とりで白い幕の粘り気のあるものを先に掬い取ってから熱を入れました。

冬瓜は、いちど皮を剥いたら日持ちしないそうです。

特に煮物にすると、煮崩れしやすいので炊きなおしをしないつもりで炊いては食べきるのがいいようです。または、粗熱がとれたものをガラスの保存容器に入れて、冷蔵庫で保管するといいです。

たまたま3日ほど冷やし、今朝の食事に加えました。まったく味が落ちていなくて大丈夫でした。というよりも、腐敗しかかったのも含めて、煮たり冷やしたりした後の成熟した味わいが絶品でした。暑い日でも、冷やし鉢にすれば咽喉越しよく食べられます。

ヘッダー写真の左側が熱々の煮物、右側がそれを冷やした冷やし鉢です。



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