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京急1500形の歴史⑴ (鋼製車:1501F~1517F)

⑴ 1500形の簡単なおさらい
京急で現在、運用されている車両の中で、最も古い車両は1500形です。今回は、1500形の初期に製造された20両(所謂、鋼製車)について説明していきたいと思います。

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http://railsound.sakura.ne.jp/sndhtm/east/kq/kq1500.htmlより引用   1500形鋼製車の登場時の写真です。京急川崎で撮影されたと思われます。黒幕で、スカートがついていませんね。

⑵ 1500形鋼製車の外観の特徴
1500形は大半の車両は、アルミ合金製車体(以下、アルミ車)を採用しています。しかし、初期に製造された編成に関しては、鋼鉄製の車体を採用されています。材質の違いのせいか、車体が全体的に丸み帯びているのが特徴的です。特に、車両の天井部分に設置されている雨樋の部分をみて頂ければわかると思います。
また、雨樋の形状も、後に製造されるアルミ車と異なっています。

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1500形鋼製車(左)と1500形アルミ車(右)。鋼製車は、アルミ車と比較して屋根が若干丸くなっているのが特徴的。神奈川新町にて。

(3) 1500形(鋼製車)の歩み                       1500形鋼製車は、1985年に老朽化した旧1000形を置き換える目的で登場しました。京急では、初めて両開き3扉の車両として登場しました。車体は、普通鋼製車体、加速度は3.5Km/s、減速度は4.0Km/sです。

1985年3月に、1501編成~1509編成が落成しました。1501編成と1505編成の1505号車と1506号車が東急車輌で製造、1507号車と1508号車と1509編成が川崎重工で製造されました。

翌年の1986年7月に、1513編成と1517編成が落成しました。両編成共に川崎重工で製造されています。

8両編成が登場するまでは、4両編成の普通列車を中心に活躍していましたが、1986年秋からは4両編成を2本繋げた快特列車や急行列車にも充当されました。

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https://www.kqtrain.net/page/keikyu/siryou/20010621/index.htmlより引用
品川駅で撮影されたと思われる、1500形鋼製車による快特。このころが、1500形鋼製車にとって黄金時代であった。

順調な車生を歩んでいた1500形鋼製車ですが、転機が訪れます。それが、1997年のダイヤ改正でした。このダイヤ改正から、京急の快特列車の運転速度が105Km/hから120Km/hに引き上げられる事になりました。従って、京急で運用されている車両に関しても、この120Km/h運転に対応できる様に、既存の京急の電車に対して改造工事が行われることになりました。しかし、1500形鋼製車に関しては120Km/h運転対応工事が施工されませんでした。

これにより、1500形鋼製車は快特や特急の運用で120Km/h運転を行う運用に入ることが出来なくなり、活躍の幅が狭まってしまいました。1500形鋼製車は、朝と夜のラッシュ時は120Km運転しない特急の増結車両として運用され、日中は本線の普通列車の運用に就くようになりました。

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https://www.kqtrain.net/page/keikyu/k1500/k-15xx-1.htmより引用
日中の普通運用に就く1500形鋼製車。金沢文庫にて

しかし、これはあくまでも列車の遅延や運休などの輸送障害が生じていなかった時の話です。輸送障害が生じると、性能上120Km/h運転できない1500形鋼製車は邪魔な存在になってしまいました。遅延が生じた際、120Km/h運転できない1500形鋼製車は、遅延を埋める事が難しいのです。       従って、後述する新1000形の増備が進むと1500形鋼製車は、京急本線での活躍が更に減り、最終的には大師線を中心に運用される様になりました。

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http://netrain.makibisi.net/trainphoto/keikyu/1500.htmより引用
大師線の運用に就く1500形鋼製車。京急川崎にて

2001年から、1500形鋼製車に対して更新工事が行われました。具体的には、車体の外装に対しては、戸袋窓の閉鎖や妻面窓の閉鎖が行われ仕様をアルミ車と同じにしました。内装に対しては、座席間の袖仕切りを新1000形アルミ車と同様の物にしました。機器類(制御装置など)に変化は、有りませんでした。                                その後は、新型の無線装置(SR無線)の設置による前面行先表示がLEDになるなど変化は有りました。しかし大師線での運用を淡々とこなしており、1500形鋼製車も安泰かと思われました。そんな1500形鋼製車にも転機が訪れます。京急では2021年から臨時列車、Wing号での使用を想定して作られた新1000形1890番台(以下1890番台)が登場し、金沢検車区に配属されました。これにより、同じ金沢検車区所属の600形の4両編成が新町検車区へ転属されました。新町検車区には、1500形鋼製車が所属している検車区です。

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新しく京急に導入された新1000形1890番台。1890番台の増備が進むにつれて、1500形鋼製車の引退が進んでいる。雑色にて

そう、勘が良い方はお気づきでしょう。とうとう、1500形鋼製車が1890番台の導入により玉突き転属してきた600形によって、置き換えられることになったのです。気づけば、1500形鋼製車もこの時点で登場から35年が経過し機器類の故障も起こるようになり、いつ置き換えられてもおかしくない状況になっていました。最初が1513編成、次に1509編成が廃車されました。2022年現在、1500形鋼製車は1501編成と1520編成の2編成のみになってしまいました。今後、いつ形式消滅されてもおかしくは無いので撮影して記録に残すことをお勧めします。

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