めんどくさがり賛歌

できれば髪は2秒で乾いて欲しい。
できれば毎日充電するのは面倒だから、充電が必要な機器は増やしたくない。
（“部屋に入った瞬間にBluetooth対応機器がすべて充電される壁紙”などは一刻も早く発明されて欲しい。）
できれば洗濯機に入れた衣類は乾いた後には自ら身を畳みタンスの中に整然と並ぶだけの自主性を持って欲しい。

そう、わたしは「めんどくさがり」です。
一応言い訳をすると、面倒だからと言ってやらない訳じゃない。
やらなければ仕方のないことならば、やるしかないという覚悟を決めるだけの生活力は一応あると信じたい。

しかし、人類には知恵がある。人類に知識がある。

パスカルは言った。人間は考える葦であると。思考が人間の偉大さを成すと。

わたしたちには考える頭がある。
工夫ができる。
面倒くささと真正面から対峙して戦う義理なんて無いではないのか。

古代においても、戦争を制するのは何も兵器の強さや戦力の大きさだけでは無かった。オデュッセウスは知略によって逆境を切り抜けた。面倒くささに真正面から挑むなんて、力技すぎやしないか。ましては時は平成。ローマの時代にもうそういう人がいたんだから、もう良いでしょう。

どうにかして楽をしよう。
楽をするために頭を使おう。
その方が楽しい。わたしはそれを強く主張したい。
わたしから言わせてみれば、その方が勤勉だし、クリエイティブだ。

その思いがわたしにExcelを学ばせました。(ちなみに一時期、結婚するならExcelだなと思ってた時期があります。)その内、グラフを大量に生産するのが面倒になってVBAを学びました。
文字列の置換が面倒くさくなって正規表現を学びました。調べ物のために何ページもWebサイトを見るのが面倒になのでGoogle検索では最短で必要な情報が取り出せるような単語の配列を考えるのが好きです。ちなみに、カレー好きだけど洗い物が面倒という理由で、小麦粉を使わないスパイスカレーを作るようになりました。

めんどくさがりは、生産性を上げます。そして生活を豊かにします。

先人たちは想像以上に沢山の「めんどくさい」を解決する技術を残していると思います。大体少しでも面倒だなと思ったことは、少し探せば解決策が見つかったりする。既存のそんな技術を見つけるとお宝を見つけたような気持ちになるし、無いものは、あるものを組み合わせて作ると大変な満足感を得られます。めんどくさがりは、人一倍めんどくさがりますから、自分たちより面倒臭がらない人々が「めんどくさいな」と無意識に思いながら処理しているものも、気づいちゃいますからね。そんな「隠れめんどくささ」を解決できる技術を提供できたら、それは価値になるじゃないですか。「めんどくさい」は発明を生みますよ。すごいよ。

すごい、めんどくさがり最高！
よかったー、めんどくさがりに生まれて。
めんどくさがり、ばんざーい。

ひょっとしたら、パスカルも面倒臭がりだったんじゃないか。そうだとしたら、ちょっと親近感湧くなあ。

ちなみに「髪を2秒で乾かしたい問題」に対し、丸坊主にしてウィッグで生活することも一時期検討しましたが、ほんとにちょっとした理由で諦めました。恥ずかしいから、ここには書かないけれど。

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