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予備試験口述試験について(①口述模試編)

 こんにちは!よんです。

 第1弾として、予備試験口述試験の模試である「口述模試」について述べたいと思います。

口述模試概要

 口述模試は予備試験口述試験のための模擬試験です。本番は主査(質問してくる方)副査(サブ的な方)のふたりと、自分ひとりで対面形式で行われます。口述模試もその点を踏襲して行っています。

 まず、口述模試を行っている予備校を列挙すると、①伊藤塾②LEC、③スクール東京(※リンクは2020年)、④資格スクエア(※リンクは2019年)、⑤辰巳法律研究所(※以下「辰巳」とします。リンクはpdfなので注意)の5つの予備校が口述模試を公式で行っています(令和2年司法試験予備試験実施時点)。

   ※アガルートについても口述模試を行っているとの情報がTwitter上にありましたが、どうやら専らアガルートマネオプ生向けに石橋侑大先生(ぎゃる男先生)が個人的に行っているもののようです。そのため、ここには含めていません。アガルートも口述模試やって欲しいですね…笑
 ※辰巳については令和3年口述模試の案内を読む限り、辰巳予備試験講座受講生or辰巳答練or模試受験生限定で行われるようです。私が受験した令和2年の予備試験においても、辰巳講座受験生限定での開催でしたので、私は受験することができませんでした。

 このうち私が実際に受験した口述模試は①伊藤塾②LEC③スクール東京の3校です。資格スクエアでも対象者全員の口述模試を実施していたようですが、私は時間の関係で受けませんでした(資格スクエア口述模試の令和2年度実施実績について、公式HPに記載がないので、ざっくばれん。さんのTwitterを引用します)。

 以下ではこの3校の口述模試についての雑感を述べたいと思いますが、時間のない方向けに各校の比較を端的にまとめてみました。実際の受験経験を踏まえ、できる限り忖度なく評価することを心掛けたつもりですので、参考にしていただければと思います。

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なお、予備よび太さんのnote司法陣グルグルさんのnoteにおいて、令和元年予備試験の口述模試(コロナ前)について書かれているので、こちらもご覧いただければと思います(というか私が二番煎じです笑)。

①伊藤塾(おすすめ度★★★★★)

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●口述再現について

 令和2年の伊藤塾の口述模試はオンライン(Zoom)のみで行われました。私も口述試験当日の10日前に本校の口述模試をオンラインで受験しました。

 伊藤塾の口述模試の最大の特徴は、

(ⅰ)2011年から現在までの口述試験の再現をもらえること

(ⅱ)口述再現を伊藤塾に提出すれば受験料が安価になること

の2点にあると思います。

 まず(ⅰ)について、口述試験の過去の出題歴は法務省ページに記載がありますが、ざっくりすぎて全然役に立ちません。

 本校の口述再現は、「主査の発言」「受験生の発言」「内心の動き」の3項目に分けて詳しく再現されており、その他当日に思ったこと等も書かれていて非常に有用なので必ずもらった方がよいです。

(作ってみるとわかるんですけど、これを書くのは非常に大変なんですよね…私も先輩方に感謝して使っていました。)

 令和2年度は予備試験論文式試験受験生向けの伊藤塾の特別奨学生講座に応募すると、過去3年分だけ論文式試験の合格発表より先行して入手することが可能でしたが、本年は2020年(令和2年)の口述再現1年分のみプレゼントされるようです。

 伊藤塾の場合は模試そのものより再現を入手できることのメリットが大きいと思います。

 そして(ⅱ)についてですが、ご面倒でも口述再現は作成しておくことをお勧めしたいのでWin-Winだと思います。模試を普通に受けると1万円~1万5千円ほど飛びますし、そもそも私のような地方受験生の場合、口述試験を受けにいくだけで5~6万ほど飛ぶので、安くしてもらえるのはかなり助かりました。

●模試そのものについて

 オンラインにもかかわらず入退室から行ってくれます。「ノックをする→主査がベルを鳴らす→入室し『〇室△番です。よろしくお願いします』と述べる」という口述お決まりのお作法があるのですが、この点も本校の模試で練習することは可能です。パネルについてはPDFファイルで事前に共有されます。

 ただし、やはり対面とは勝手が異なると思います。まず試験官が主査1名しかおらず副査がいません。本番は無言の副査から圧を感じることもあるので、この点を再現できていないのはマイナスポイントです。

    (後日追記:令和元年の口述模試では副査がいたようですので、情勢によっては本年は副査が復活するかもしれません。というのも、令和2年の予備口述期間は修習生が存在せず、司法試験合格発表から時間がなかったからです。情報提供していただいた司法陣グルグルさんのツイートを掲載します。)

 また、入室後どう振舞ったらよいのかや、ドアの開け閉めの仕方、座るタイミングなど、オンラインでは再現できない部分も多いように思いました。口述試験の形式面については特にアドバイスをもらえなかったですし、正直流れ作業感は否めません。

 模試の問題についてですが、口述本番に近い非常に良質な出題であったと思います。模試を受験すると参考問答(解答)を頂けるのもよい点です。参考問答は口述再現と一緒に届くので、模試を受ける前にカンニングすることも可能です笑

 ただし、多数の受験生がいる関係なのかわかりませんが、試験時間が非常に短く、最後の問題まで到達できずに終わるということもあります。

 私は民事の請求原因で詰まってしまって時間が足りず、主査の方に「時間の関係で途中ですが終わりです」と言われてしまいました。時間にして約15分程度だったと記憶しています。本番の口述試験は20~25分くらい時間があることが通常なので、これは本番に比して著しく短いです。

 受験する際は司法試験予備試験用法文を手元に用意して受験しますが、法文を見てたら時間が足りないと思われます…。

   時々メル○リ等で法文を売却する方がいらっしゃいますが、口述模試で使ったりするので、口述試験終了までは売らない方がいいですよ!無論、法文は試験終了後持ち帰ってくださいね。

    時間が短いのとオンライン受験であるということも相まって、「模試を受けた」という感覚は正直あまりなかったです。

 フィードバックもそれほど丁寧になされるわけではないですが、こちらからの質問は受け付けてもらえるので、質問したいことがある方は事前に用意しておくことをおすすめします。

●総評

 問題の質も申し分なく、何より口述再現をもらえるかどうかで合格可能性が著しく変化すると思いますので、個人的に伊藤塾の口述模試を受験することは必須に近いと思っています。

 みんな持っているものを自分だけ持っていないというだけでメンタル面に悪影響を及ぼします。そして、口述試験でメンタルを崩すことは悪い結果をもたらしかねません。

 言うまでもなく、口述試験を受験できるのは論文式試験を突破した猛者たちばかりですから、「口述記念受験組」はまずおらず、実力差はそれほどないといえます。それゆえに、短答論文口述の中で一番メンタル面の影響が結果に直結しやすいのが口述試験だと個人的に思っています。

 そのため、論文式試験の合格が判明したら速やかに本校の模試の申し込みをするようにして頂きたいです。上記の奨学生に応募すると口述模試優先枠がございますので、そちらもあわせてご検討ください。奨学生の料金については、伊藤塾有料講座受講生は無料、そうでない方は5000円です。

②LEC(おすすめ度★★★★☆)

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●概要 

 LECの模試は対面とオンラインで行われます。私は対面模試を選択し受験しました。令和2年のLEC口述模試の対面模試はLEC中野本校で行われました。中野本校はJR中野駅から徒歩10分ほどです。

 疑問に思われる方もおられるかもしれないので一応書くと、私は地方受験生にもかかわらず対面受験を選択していますが、LECと後述するスクール東京の口述模試を受けるために、口述試験本番の1週間前から東京入りしていました。大学の授業がオンラインだからこそ成せる業ですね笑

 その間の滞在については、家族が関東にいるので泊めてもらっていたんですよね。地方受験生の方で都内近郊に身寄りのない方は対面にこだわって無理をする必要はないと思います…ホテル代が大変なことになります。

 LECの口述模試の枠は非常に少なく、対面の模試は申込開始後まもなく埋まってしまいました。熾烈な競争なので受験を考えている方は申込開始時刻にLECのホームページで待機していた方がよいです。その際は論文式試験の受験番号の入力を要求されるので、あらかじめ手元に用意しておきましょう。

    ●内容面について

 中野本校1階の教室で受付を済ませると自分の試験順がわかります。その後、係の方に3階へ誘導され、前の人から順番に試験を受けていきます。順番は本番同様「民事→刑事」あるいは「刑事→民事」です。自分がどちらかは行ってみないとわかりません。

 民事刑事いずれも主査が1名、副査はいませんでした。パネルと法文は机上に用意されており、本番さながらの環境で試験がスタートします。

 私の場合、民事の主査はご高齢の女性、刑事の主査は中年の男性でしたが、刑事の主査の雰囲気がかなり怖かったことも含めて本番を再現することを意識して作られていたと感じます。副査はいませんが、私が受けた中でもっとも本番に近かった模試だと思います。

 試験問題についてもよく考えられています。民事についてはかなりマニアックな訴訟物(保証委託契約に基づく事後求償権(大島発展編p82))も問われていましたが概ね傾向に沿っており、刑事については近年の実体法重視の傾向を汲んだ素晴らしい出題だったと思います。模範解答例も頂けるので、持ち帰ってしっかり復習をすることができました。

●総評

 LECの模試は本番と非常に雰囲気が近く、問題の質も申し分ないので、対面式の口述模試を受験したい方はLECの模試を検討するとよいでしょう。私はLEC中野校で受験しましたが、令和2年度はLEC大阪梅田駅前本校でも実施があったので、関西方面の受験生はそちらを検討なさるとよいと思います。

 おすすめ度が★★★★☆なのは、LECの口述模試を受ける受験生がそれほど多くないと思われるためです。

 口述試験は相対評価の試験ですので、みんな答えられるものだけ答えておけば合格できる試験です。その意味で、ほとんどの口述受験生が受験すると思われる伊藤塾の模試と違い、LECの模試の優先度は低いと思います。

 とはいえ、LECの模試は問題の出来や雰囲気が非常に本番に近かったので、本番の雰囲気を疑似体験できるという点から★4つにしています。

 ※コロナ禍の口述模試がテーマなのに対面で受験してすみません。オンラインで受けるにしても、伊藤塾とほぼ同様なのではないかと思います。

③スクール東京(おすすめ度★★★☆☆)

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 画像は私の手書きメモです(汚くてすみません)。後述するように、スクール東京の口述模試では参考問答や模範解答の類はもらえないので、これで勘弁してください笑。

●概要

 「スクール東京」という名前に聞き覚えがない方もいらっしゃるかもしれませんが、いわゆる少人数制の司法試験予備校です。個別指導の形式をとっておられるようですね。

 スクール東京はJR四ツ谷駅から徒歩10分~15分くらいで着きます。裏路地の雑居ビルの2階にあるので少々見つけにくいかもしれません。私が行ったときは窓ガラスに「スクール東京」と書かれていました。

 スクール東京の口述模試もLECと同様、対面とオンラインでの実施です。私は対面で受験しました。

 申し込みの競争率もわりと高く、すぐに埋まってしまうと思います。私は申込開始時刻の30分後に申し込みをしましたが、ご希望の日程は既に埋まっていますと言われてしまいまして、不本意ながら本番の2日前の木曜日に受験することとなりました(案内して頂いた日曜日はLECの口述模試と被っていました)。

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●模試の内容について

 校舎に入室すると説明があり、それを終えると別の部屋に案内されます。机上に法文とパネルは用意されています。私の場合、民事からスタートだったのですが、民事が終わった後かなり長めのフィードバックがありました(30分程度)。主査と副査が1名ずつおり、その点は本番さながらでした。

 スクール東京の口述模試は「形式面」を非常に重視しておられるようです。「形式面」とは、法律論レベルの話ではなく、受け答えの仕方や立ち振る舞いの作法、主査や副査に対する礼儀の尽くし方などを指します(上のメモで「15度→30度」と書かれているのはお辞儀の角度です笑)。ここで7割(8割?)決まるからと何度も何度も念押しされたことを覚えています。

 問題については一問一答形式で聞かれるもので、正直に申し上げて口述試験とは傾向が異なるように思いました。一応事例やパネルはありますが、その事例から離れた一問一答という感じですね。

 たとえば、「合有って何?」「組合の財産は共有?合有?総有?」「民事訴訟法29条にいう『社団』とはどのような要件のもとで認められますか?」のような感じで質問され、誘導も全くありませんでした。専ら要件事実や執行保全について勉強していた私は受け答えがままならず、本番直前にして自信を喪失してしまいました…笑

 刑事についてはよく覚えていないのですが、こちらは本番の傾向と同じく実体法重視の質問であったと記憶しています。

 本校の模試で一番引っかかったのは、模範解答や参考問答が配布されなかったことです。復習用教材として期待していたのでこの点は非常に残念に思ってしまいました。是非とも改善を求めたいところです。

●総評

 スクール東京の模試は形式面についてびっちり指導していただける唯一の模試だと思いますので、その点に不安がある方は受験してもよいと思います。形式面の不安を払拭することは、本番で本来の実力を発揮できることにつながります。その意味で、本校の口述模試は、非常に熱意のこもったご指導を頂けます。

 ただ、これは私の主観ですが、口述試験では形式面がそれほど重視されている感覚はありませんでした。普通に社会生活を送れる程度の受け答えができれば大丈夫じゃないのかな…?と思っています。試験である以上、いくら礼儀正しくても聞かれたことに答えられなければ不合格になってしまうと思います。

 あくまで口述試験は「面接」ではなくて「試験」ですので、形式面について過度に神経質にならなくても大丈夫だと思います!

 形式面についてはよいのですが、問題の傾向が本番と少々異なるように見受けられたこと、模範解答や参考問答が頂けなかったこと(加えて結構営業されたこと笑)が理由で、おすすめ度は★★★☆☆としています。

まとめ

 以上3校について紹介させて頂きましたが、私としては、「伊藤塾の口述模試の受験は必須、その他はお好みで」というのが正直な意見です。口述模試を全く受けないのは危険ですし、口述再現を持っていないのも危険ですので、合格発表後、最低限伊藤塾の口述模試は申し込んだ方がよいと思います。

 私は論文式試験に合格していると思っていなかったので、合格発表前に口述模試について全く下調べをしていませんでした(何なら勉強すらしていなかったです笑)。

 同じような方がいらっしゃると思うので、口述模試のまとまった情報を残しておくことは有益なのではないかと思い、このnoteを執筆させていただいた次第です。何かのお役に立てればうれしいです。

 ここまで来れば、あと少しで夢の最終合格です!すべての口述受験生の方が実力を発揮されますよう、心よりお祈り申し上げます。


よん

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