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ヨンゴトナキオク46 2021.10.24

『燃えよ』が燃えている

皆さん、ご覧になりましたか。藤井風くんの『燃えよ』MV。10月24日18時に解禁されましたよね。その2分前にはグーグルピクセルの民放5局横断「STEP CM」という前代未聞のオンエアがありました。私は関西在住ですから、リアルには観られませんでしたが、お友達のお友達が送ってくれたという画像を拝見しました。つまり、8ch→7ch→6ch→5ch→4chと映るCMをそれこそスマホで録画していったという努力の結晶です。そもそもこのCMにどれだけの効果が期待できるのかわかりませんし、本来のTVの観方としてはあり得ない設定なので、いくら頻繁にチャンネル(この言い方が古い笑)を変えるイラチな人でも、偶然全部を観るなんてことはほぼほぼないわけで、しかし、今話題沸騰の藤井風ファンならやってくれるとグーグルは踏んだんでしょうね。それだけ訴求効果が期待できる媒体に、藤井風というアーティストはなっているということ。いや、凄い試みです。関東エリアにお住まいで、まんまと引っかかった方ってどれだけいるんだろう。その効果をどう測定するんだろう。昔、コピーライターになりたくて、実際少しかじりましたけど、考えた人凄い。そして何よりこの企画に乗り、タイアップに耐えうる曲を作り、歌った藤井風の付加価値は、いまや測定不能なほど凄いことになっていますね。それもこれも9月4日のライブの成功があってのことでしょう。先日のNHKの『MUSIC SPECIAL』で、リハーサルや体力づくりのジョギングを黙々とやる風くんやスタッフの熱量の多さに感動すら覚えた私ですが、それもこれもすべて、10月24日の18時のMV解禁につながっていたんですね。コメントにロシア語が散見されました。もはや勝手にワールドワイド。恐るべし、河津マネージャー。

『燃えよ』はフリーライブ以来、だいぶ聴きなじみのある曲になっていましたけど、正直MVにはぶっ飛びました。そもそもこの曲には洗練された都会的シャープさと、プリミティブな衝動が同居しているような印象は持っていました。ご本人のどこかのインタビューでも「アレンジにはサンバのようなイメージがほしい」とアレンジャーのYaffleさんにオーダーしていたそうなので、お祭り騒ぎ的なストーリーは十分想像できました。しかしですよ、何ですかあの奈良の「せんとくん」もまっつぁおなコスチューム!! 正直、最初笑ってしまいました。しかしその2秒後にはその姿にもうドはまりしていました。誰があの衣装を考えたんでしょうね。冒頭の赤いロングジャケットのカッコよさとの対比がすごすぎました。意表をついていました。しかし、アマゾンのジャングルで踊りまくる風くんはもはやかっこよかった。アスファルトの底に飛び込み、泳ぐと、そこはうっそうとしたジャングルで。「燃えよ」と言いつつ、水の柔らかな動きもあって。かたや、ビルの上は真っ青の空。森羅万象どこまでも無限なエネルギー全開。この突き抜け感がたまらない。

こんな映像を最初にイメージし、演出した人のクリエイティビティにも脱帽ですが、それより何より、風くん自身の場面場面での表情や佇まいがあまりにも凄すぎて、最後には拍手していました。アーティストとしての存在感はただいま最強だと断言できます。奇をてらったわけではないと思うのです。彼を見ていて、自然発生的にああなったとしか言いようがない。なんという人なんでしょう。そして最後の振り返りざまの目くばせっていうのか、あの表情に心臓を射抜かれない人はいないのではないでしょうか。男女を問わず。

メロディもいいけど、歌詞も最高です。べたべたな応援歌なのに、押しつけがましくもなく、歌声は圧倒するけど威圧的でなく、まさに自由な感じ。もうすぐ羽が生えて飛んでいくんじゃないの? なんて想像もきっとやってくれそうな気がする。嗚呼、どんな形容詞も陳腐だ。ただ、そこに風という人がいて。純朴な田舎の青年がここまで到達するとは、恐れ入り谷の鬼子母神。だからあんなせんとくんコスチュームでさえカッコイイわけで。

さらにこの曲の真骨頂は、「燃えよ」と迷っている人に背中を押しながら、疲れている人には「もうええよ」と、背中をトントン叩いてくれるような、相反する作用を伴っていること。普通どっちかでしょう。正直それで精一杯ですよ。それなのに、聴く者によって受け止め方をも自由に選択できる。そんな曲はなかったと思います。それをデビューわずか2年かそこらの若者がやってのけているのです。でも、彼はここまで来るのに10年かけてコツコツと努力を重ねてきた。知らなんだなぁ。世に言うyoutuberとは次元のちがう高みに既に到達しているんです。だから、新人的な不安定さ、危なっかしさが全くないんですよ。すべてお見通しの、もはやマエストロ級。

11月のコンサート、チケット当たりました。今から体調を整えて、その日を心待ちにします。そしてこれは私の単なる規模的予測ですが、来年のNコン中学校の部の課題曲、もうきっと依頼されていますね(ほんまか笑) 紅白も決まりでしょうね。でも、彼自身は何も変わらないでしょう。ただ、音楽のためにこれからも生きていくでしょう。そのためのMVなんでしょうね。いやはや、天晴。この時代に一緒に生きていて幸せです。そして何といっても、節目節目に必ず「4」という数字があてがわれています。それはきっと、6月14日生まれという誕生日も関係していると思います。4という数字の神秘性を彼の内側にもきっと持っているはず。だから、吉祥吉祥で4という日付が登場するんだと踏んでいます。



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