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ヨンゴトナキオク31 2021.5.24

『メリーさんの羊』にまつわるエトセトラ

5月24日は、『メリーさんの羊』が出版された日なのだそうです。時は1830年。アメリカで最初の女性小説家といわれているサラ・ジョセファ・ヘイルが、メリー・エリザベス・ソーヤーという少女がペットとして飼っていた羊を学校に連れて行って大騒ぎになったという実話を元にオリジナルの詩としてボストンの出版社から発表したといわれています。ただし、メリー自身の述懐によると、その騒ぎを見て喜んだジョン・ルールストンという学生からこの詩の原型になるものを書いた紙を手渡されたとも言われていますが、ともあれ世に出たのが5月24日なのですね。ヘイルさんの誕生日は1788年10月24日。ま、いずれにしてもヨンゴトにふさわしいネタかなと思い(笑)、取り上げました。

それでyoutubeでいろいろと聴いてみたのですが、むむむ、どれも私が記憶していたものと歌詞が違うのです。私が覚えているのは

「メーリさんの羊、羊、羊。メーリさんの羊、かわいいな」でした。

でも、ほぼすべての動画では

「メーリさんの羊、メェメェ羊。メーリさんの羊、真っ白ね」

これは、高田三九三さんの訳詞によるもので、今はこうなっているんですね。日本では、1937年9月にレコード化されています。1952年頃にはNHKの『うたのおばさん』という未就学児をターゲットにした歌番組で紹介されたことから全国的に知られるようになったそうです。それで、詞も何人かが訳詞されているのですが、近年は高田氏の訳詞で落ち着いているようです。なんか違和感あるけど、仕方ないですね。アレンジはちょっとイメージと違いますが、テンポ感やキーはこんなものかなという動画をご紹介いたしますと…ちなみに、作曲者も諸説ありますが、一応ヘイルとなっています。この動画ではアメリカ民謡となっておりますね。原詩では8番まで歌詞があります。

ところで、ポール・マッカトニーがウィングス時代に『メリーさんの羊』の替え歌のような『メアリーの子羊』という作品を1972年に発表しています。なんでも次女メアリーのために作ったそうで、コーラスには娘2人の声も入っています。私はジョンよりもポール派なので、当時この曲も大好きでした。メアリーさんは現在、世界的な写真家なんだそうです。

さて、最初の曲に戻りますが、こんな動画を見つけました。ピアニスト、くっしーさんの『メリーさんの羊』。私は今人気のはらみちゃんのピアノはあまり好きではないのですが、この方の胸キュンなアレンジはなかなかカッコいいのです。

2030年には出版から200年になるこの曲。シンプルなメロディだからこそ、今もアーティストの創作意欲を刺激するのでしょう。200年近く前のアメリカ民謡が21世紀の日本でこんな風に料理され、演奏されているとはヘイルさんも草場の陰でお喜びかと思います。ヘイルさんは25歳で結婚し、5人の子どもに恵まれたものの、夫とはわずか9年間の結婚生活で死別。その後は喪に服す意味で黒い服を着て過ごしたといいますが、奴隷制度の解放や感謝祭をアメリカの祝日にするための運動にも貢献したそうで、詩や小説など生涯で50冊以上の作品を残し、89歳まで現役の編集者としても活躍。90歳で大往生されました。今はフィラデルフィアの墓地に眠っています。昔からスーパーおばあちゃんはいたんですね。



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