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万代橋のエトセトラ

 新潟市の中心部は繁華街がいくつか点在していて、1つ目は新潟駅の万代口、2つ目はそこから1.5キロほど行ったところにある万代、それから3つ目が信濃川を越えてまた1.5キロほど行くと古町という昔ながらの繁華街がある。大まかにこの3つ。 

 この万代から古町へ行く際、信濃川を越えるために渡る橋が万代橋である。石でできた橋で新潟のご当地ナンバープレートにもうっすら描かれている。石の橋ということで、なにやら新潟のシンボルらしいのだが、まー珍しいような珍しくないような扱いに困る橋なのである(一応重要文化財ではあるみたい)。 

 それで信濃川にこの橋が架かっているわけだが、橋の下を流れるこの信濃川が河口ということもあってとにかくデカくて深い。深さといえば深淵を覗いているようで、橋の幅が約300mほどで両手なんぞ広げてもまだまだ足りないくらいなのだが、そんなにデカい川にも関わらず、肝心の橋の両端の手すりというか柵が腰くらいの低さで、高所恐怖症の私としては「落ちるんじゃないか」と思って思わず腰がすくむ。冬の強風の日はなおさらで吹き飛ばされて落ちるんじゃないかと恐る恐るわたる(まさに「石橋を叩いて渡る」←思いついちゃった)。 

 それで最近読んだ坂口安吾の本で、「昔は川幅が今の2倍あったのに、狭くなって寂しい」というくだりがあって、これには思わず「寂しくないだろ、恐いだけだわ」と言いたくなった。 

 しかし、川こそデカいのだが飛び降りるにこんなに簡単な橋はなくて、ほんとによく飛び降りる人がいないなと常々思う。ただ、大阪の道頓堀の感覚で飛び降りたが最期もう帰ってこれないな、という雰囲気は満載である(スリリング)。上司に散々説教された帰りにこの橋を通ったら、、気持ちわからんでもない。 

 とは言いつつ私も怖くて腰がすくむ反面、逆にヤケクソにこの河を挑発したくなったりする。スマホを力いっぱいぶん投げたくなったり、投げても音もせず飲み込みそうだけど。 

 とにかく変わった橋である。親近感はまだ持てそうにない。 

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