おすすめ返され本

職場で年末年始の恒例行事となっている本の福袋企画。ここ数年はノーテーマで職員のおすすめ本を3冊入れていたのですが、今年はジャンルがあるものも加えてみよう、ということになり、「ファッション」「歴史」「スポーツ」とかのジャンル設定で選書したものも用意しまして。そのうち私の担当は、「手芸」と「海外の古典文学」の2つだったのですが、こちらで毎度書いているとおり、読んでないんですよ、本。職業上、本の情報だけは日々ガバガバ入り込んでくるんですが、だからって気になる本が読めているかと言えば、もう全然、、なのです。司書として有り得ないんじゃ…?と我ながら常々思っているので、こんなnoteを作ってしまったくらいなんです。

自論ですが、司書にとって本とは、読むものである以前にパートナー的存在であるなぁと思っています。仕事道具と割り切ってしまうとそれもちょっと違う。上下関係のない、仕事仲間のような感覚に近いかも。良きパートナーとして敬意を評しつつ、若干距離を置きたいと言うか、付かず離れずの存在でありたい…という気持ちが少なからずあったりもします。

言い訳がましいかもしれませんが、そんな理由で、存在自体はよくよく承知しておっても、友達と呼べるほど詳しく知ってる本はマジで極少なのです。読んだら友達になれそうだなぁ…と思う本はいくらでもあるのですけどね〜。そういった本がたくさんあればあるほど、優秀な司書に近づく…と言えなくもない、かもしれない、気もします。

話を戻しますと、ポンコツ司書の私が選んだ福袋用の本ですが、「手芸」はまあ良い。読むというか見るジャンルなので、あまり知られてなさそう、かつ、難易度は高くなさそう系を鼻歌まじりで楽しく選びました。問題は「海外古典」です。私にとったら“永遠の憧れ”ジャンルですよ。そりゃそうだ、読んではいないが、すごい!すごい!の称賛だけはやたらに入ってくる分野です。それを読んでもいないのに図々しく人様に勧めるってんですから、恐れ多いことこの上ないのですが、こういう仕事こそ司書的であると言うか、司書ならではの勘が試される場面かもな!と腹を括って…いや、むしろ開き直って選んだうちの1セットがこちらです。

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当初は『カラマーゾフの兄弟』とか『変身』とか、ずっしり系(チョイスは岩波文庫版)を思い浮かべていたり、あと、BS4Kでドラマ化された『薔薇の名前』なんかも…とか思ったら、それは全然古典じゃなかったり(1980年発表。意外!)、あれこれ候補はあったのですが、ボリューム軽めで若い人にも少ーしでも興味を持ってもらえそうなナイススメルなお三方を1セットチョイスしてみたのです。

そしたら。借りて下さった方から嬉しい反応が…

返却時、残念ながら私は休みにしていたので直接お聞きしてはいはないのですが、同僚から教えてもらいました。学校司書をされている方が読んで下さり、「これはどなたが選書されたのですか?とても良かった!」と言って下さったそうで。また、その方は「たまたま読んだ順も良くて、、」と、その順番まで教えて下さったとのこと。

いやーっ、嬉しい!間接的にではありますが、紹介した本を良かった、と言ってもらえることほど喜ばしいことはこの上ないです。

めちゃくちゃ嬉しかった反面、そんな高評価をいただけるほどのラインナップを1冊も通読してないなんて、、とゾワっ…となりましたよね。。司書の仕事は読むことがメインではなく、本と人を繋ぐことだと思うので、読んでいない本を勧めること自体にはあまり罪悪感はないのですが(利用者さんには呆れられるかもですが…)、「お主よ、、選んだ責を取り、これを機にちっとは読むが良いぞよ。。どーん!!」と3冊の本が発してくる圧に気圧されて、思わず「ははあ!すんませーん!!」と平伏しそうになりました。

そして、はい、今まさしく3冊揃って手元におわします。お勧めした本をお勧め返しいただくという、貴重な機会。ちょっとした逆輸入感覚です。怒濤の年度末シーズンがやって来る前に、お勧め返された順番どおりに読んでみまようと思ってます。

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