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バハムートラグーンはやるせない


バハムートラグーン遊びました!

つい最近ライブアライブを遊んだりもしていましたが、往年の名作スクウェアRPGを実機で遊べる環境がやっと整ったのでついつい色んなものに手を出してしまっています。

バハムートラグーンと言えばやっぱり目玉は人間とドラゴンが力を合わせて戦うSRPGパート!SFC末期のスクウェアのドット超絶技巧によって描かれたドラゴンはどれもこれもファイナルファンタジーに引けを取らないド迫力!

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タイトルにもなっている最強の神竜バハムートに、スクウェアのドット技術の集大成、まさにドットの究極とも言えるラスボスのアレキサンダー。

両者ともグラフィックが現実と見紛う程進化した令和に見ても引けを取らないカッコ良さです。


しかし!バハムートラグーンはやっぱりそこじゃない!!
いや確かにドラゴンもカッコいい!!
でもそれを押しのけて一番目立ってるのは人間!!
それこそがバハムートラグーン!!

みなさんもうお察しでしょう!今回の主題は、そう!バハムートラグーンのメインヒロインにして今作で最も有名なキャラクター、「ヨヨ」です!!

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まあこれを見に来ている方の中で、バハムートラグーン未プレイの方がいらっしゃるとは到底思えないのですが、流石に今作をプレイした事がない人でも「サラマンダーより、ずっと早い!」というあまりにも有名なセリフはインターネットのどこかで一度聞き覚えがあるのではないでしょうか?

そう。このヨヨという子は、「スクウェア三大悪女」という謎の悪名を付けられた忌子であり、そのあまりの自由さからバハムートやアレキサンダーを差し置いてバハムートラグーンの代名詞となってしまったのです。


「スクウェア三大悪女」に名を連ねるキャラクターを一通り挙げると、FF8のメインヒロイン「リノア・ハーティリー」、ライブ・ア・ライブ中世編のメインヒロイン「アリシア」、そしてこのバハムートラグーンのメインヒロイン「ヨヨ」となっています(魔界塔士Sa・Gaは未プレイでミレイユには今回触れません!私の勉強不足で本当に申し訳ないです!彼女もいつか!)。


真っ先に言ってしまいますが、私はこの中のどのキャラも全く悪女だと思いません。

まずFF8のリノア・ハーティリー。彼女に関してはまずそもそもの段階で「何故リノアが悪女と言われているんだ…?」という疑問があります。

いや、まあ終盤になっても元カレのサイファーの事をウダウダ言い始めたり、彼女がやる気を出すと妙に作戦が空回りしたりするお茶目な所はあるのですが、それでもファイナルファンタジーのヒロインとして十分に魅力的な女性だと思います。

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献身的にスコールを支える姿や、野島一成節全快の魔性の女セリフも何もかも切れ味が非常に高く、個人的にエアリスやユウナ、水晶公を越してファイナルファンタジーで最も好きなヒロインです。

というか、リノアを悪女扱いするって過去に何か女性関係で嫌なトラブルでもあったのでしょうか?それとも人として成長していく過程で女性に優しくする事を教わらなかったのか……と私がリノア好きすぎるあまりヘイトスピーチが飛び出してしまいましたが、どちらにせよ「悪女の土俵でアリシアとヨヨに並んでリノアが居る」という状況は五条悟とマキマに並んでガララワニが居るぐらいの訳が分からない状況だと私は思います。

まあつまりここからが本番って事だよ!!

次に三大悪女に名を連ねるのはライブアライブ中世編の「アリシア」。

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まあ正直リノアなんて残り2人に比べたら前座も前座、「奴は四天王の中では最弱…」と鼻で笑い飛ばされる土のスカルミリョーネのような物です。
ライブアライブは8つのシナリオに分かれた複数シナリオを採用したゲームなため、アリシアは作中ずっとヒロインを担当するリノアとアリシアに比べると「中世編のみ」のメインヒロインで明らかに登場回数は少ないです。

というか、パーティメンバーに加わりすらしないので、通常想定されるメインヒロインに比べても登場回数はかなり少ない。


それでも彼女が「三大悪女」として歴史に爪痕を残すのはその少ない出番でプレイヤーに強烈なインパクトを与える瞬間最大風速の強さ。

ライブアライブ中世編は舞台を中世にしつつも王道ファンタジーRPGに反旗を翻す所謂「アンチRPG」的シナリオであり、魔王を倒したはずの勇者が何者かの手によって冤罪をかけられ地下に投獄、仲間たちは次々と死亡、唯一無二の相棒にも裏切られる……とそれはそれは壮絶な人生を辿る事になる。

それでも勇者は自分に助け出される事を待ち望んでいるアリシア姫の救出だけを一縷の望みに懸けて、アリシア姫を助け出すのですが…

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姫は自分自身を連れ去った中世編のラスボスでもあり主人公の唯一無二の相棒の「ストレイボウ」に感情移入してしまっていた。

RPGの主人公として全てを蹴散らし足蹴にしてきたオルステッドをアリシアは「お前には敗者の気持ちなど分からない」と糾弾。

そしてそのままオルステッドの眼前でストレイボウのために自殺………と、いかにリノアが四天王最弱か理解していただけたでしょうか?
ヨヨがゲーム全体をかけてじっくり煮詰めてくる長距離走者だったとした場合、たった数回の出番でここまでの強烈な印象を残してくるアリシアは悪女界のスプリンターとでも言うべきでしょう。

しかし、やっぱり私はアリシアも悪女とは思えません。
大体、「アリシア=悪女」と断定するには、あまりにオルステッドの視点で物事を考えすぎだと私は思うのです。

いやまあそりゃ中世編でプレイヤーが操作するキャラクターはオルステッドであり、オルステッドの視点でしか物事を見れないためそれは仕方のない事ではあるのですが、アリシアの視点に立って「もし自分がストレイボウに連れ去られオルステッドの引き立て役であり続けた彼の人生、苦悩、憎しみに感情移入せずに居られるか?」と考えると、私はアリシアと同じ行動をしてしまうかもしれません。

何でも一人で出来てしまう最強の勇者オルステッド、そして彼の引き立て役であり続けた二番手のストレイボウ、アリシアの視点に立ってどちらに寄り添いたいかと考えた時、私は後者を選んでしまうと思います。

いやでもいきなり脈絡もなくこれ出してくるライブアライブもライブアライブだと思うけどな!?あの世で当時の純粋なキッズ達にわび続けろ!!



さあ、お待たせしました。スクウェア三大悪女最強の女、ゴルベーザ四天王で言えば火のルビカンテ、護廷十三隊で言えば藍染惣右介、我らがバハムートラグーンのメインヒロイン、「ヨヨ」です。

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しかしまあ、ヨヨにもかなり情状酌量の余地があるとは思います。リノアでもアリシアでも必死に2人の気持ちを考えた私が「情状酌量」という言葉を持ち出している時点で彼女のヤバさが伝わっているかもしれません。

まず第一に、ヨヨは自国のカーナから数年もの間敵国のグランベロス帝国に連れ去られていました。1~2ヶ月ではなく、「数年」という結構長い期間です。多分仮面ライダーも4~5人入れ替わってます。

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その数年の間、ヨヨは囚われの身でありながらも敵国の将軍パルパレオスとちょっと良い感じなります。とてもロマンティック。プレイヤーが操作する主人公はこのパルパレオスではない事を除けば。

そしてヨヨはなんやかんやで主人公達の手によってグランベロスから奪還されます。しかしまあ~~~~~ヨヨったら思春期の女の子!!

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何と彼女、カーナに帰ってきても頭がパルパレオスの事でいっぱい!幼馴染のビュウと憧れの将軍様パルパレオス、一体どっちを選べばいいの~~!?

まあ、簡潔に言ってしまうとヨヨは「メインヒロインみたいな雰囲気で出てきて主人公にもそういう素振りを見せるのに結局敵国の将軍と恋をしている」というトリックスターぶりから色々言われているのです。

でもこれもヨヨの視点から考えて見てくださいよ!小さい頃から一緒に居たけど数年間疎遠になっていた幼馴染と、多感な時期に何年も一緒に居た憧れの人。どちらの方に気が行ってしまうか、バハムートラグーンメインシナリオ時系列のヨヨの気持ちを冷静になって考えてみると、割とパルパレオスの方に気持ちが傾いてしまうのにも合点が行きません?

いや私は男なので今カレも元カレも居た事ありませんが、何となく、元カレに連れ戻されたけど結局今カレの方が気になってしまうヨヨの気持ちはちょっと分かるような気がします。この回答は全て私の脳内乙女シミュレーションによってはじき出されています。


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更にヨヨは「ドラグナー」という特殊な使命を背負っています。バハムートラグーンの鍵を握る謎の存在「神竜」と対話出来る唯一無二の人間として、各地に眠る神竜の怒り、憎しみ、それら全ての負の感情を自分ただ一人の心で全て受け止めているのです。

そのせいか、ヨヨはしょっちゅう倒れるし、精神状態も不安定だし、もう何か全体的にボロボロな事が多い。しかも召喚魔法がスパロボWのテッカマンイーベルのマップ兵器ぐらいクソ強いので戦闘パートでも酷使される。
オラッ!ヨヨ、マジックジン飲めッ!!

ドラグナーだけでなく、カーナ王家に生まれた人間としての責務、人としての自立、様々な苦難がヨヨを待ち受けています。バハムートラグーンで最も場を乱すキャラなのと同時に、バハムートラグーンで一番苦労していたキャラという側面もヨヨは間違いなく持ち合わせていると私は思います。


そんなありとあらゆる苦境が自分に向かってくる中、心の拠り所がパルパレオスだったと考えると、私はどうにもヨヨの事を正真正銘の悪女だと非難出来ないのです。

というか、何かヨヨってパルパレオスの事考えてる時の方が楽しそうなんですよね。ビュウにはヨヨなりに「昔からの幼馴染なのに私の気持ちが向いているのはパルパレオス…」と負い目があるような、どことなく後ろめたさを感じているような、そんな態度を取っていることが多いような気がします。

このような細かい言動に関してはもはや個人の解釈に委ねられている所だと思うのですがそれでもやっぱりパルパレオスとの叶わない恋を思い続けている時の方がヨヨは何だかイキイキしているし、現実は辛くても楽しく生きているような感じがして、応援したくなる。
ヨヨは悪女である前に、一人の恋する人間だと私は感じました。

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そして訪れる伝説の「サラマンダーより、ずっとはやい!」。

セリフ自体のインパクトもそうなのですが、ご丁寧に序盤に見せられたビュウとヨヨが二人っきりでサラマンダーに乗るイベントを一度プレイバックしてから「ここはあのイベントとの対比ですよ」と懇切丁寧に伝えてくるスクウェアの性格の悪さには誰も敵わない。

この辺りを契機に序盤~中盤は「あれ?ヨヨって思ったより悪い子じゃなくない?」と思っていた私の気持ちも揺さぶられてくる!
スクウェア最強のヒロインは伊達じゃねえぜ!!

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まずヨヨは、ビュウとの約束の場所であり、「二人で訪れるとその二人は結ばれる」という言い伝えがある教会にパルパレオスと2人で来ていた。
ヨヨさん、やったな?

それがサラマンダーよりずっと早いの回想で明かされる。
ハッキリ言ってしまうがサラマンダーよりずっと早いなんてヨヨ神拳の中ではジャブもいい所である。

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時は現代に戻りヨヨは主人公ビュウの目の前でパルパレオスと2人きりで思い出の教会に入って行ってしまう。教会で約束を交わした男の目の前で。

そして繰り出されるヨヨの呼吸二の型「おとなになるって、かなしいことなの…。」。もはやサラマンずっ早で満身創痍のプレイヤーにこの追い打ちである。ヒノカミ神楽より恐ろしい。

このセリフの恐ろしい所は、バハラグ中盤の砂漠の街であった「ラッシュは大人になった!」「ビッケバッケは大人だった!」という最悪の大乱交スマッシュブラザーズイベントを経てから放たれている事である。
既に矢は装填されていたケイローンの宝具か?


もはやプレイヤーにヨヨとパルパレオスとの恋路を阻む権利など与えられていない。教会の奥へと進むヨヨとパルパレオス。プレイヤーは2人に話しかける事も許されない。負けヒロインならぬ、「負け主人公」の気持ちを味わえる世界で唯一のRPG、バハムートラグーン。

あまりの仕打ちに流石の私も「なんなのだ、これは!どうすればいいのだ!?」と神竜関係ない方のレッドドラゴンになってしまった。

本当に、本当に、ありがとうございました。


そしてここからプレイヤーに牙を剥くのは、ヨヨではなく「バハムートラグーン」というゲームそのものの「やるせなさ」である。

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何とこのゲーム、恐ろしい事にあのようなイベントを経てヨヨは普通に自軍に残るしパルパレオスは当然のように加入してくる。
「敵国の将軍が味方に加入」というシチュエーションだけならスパロボの最終話で加入してくるフル・フロンタルばりの頼もしさなのに、何だ…何なんだこのやるせなさは……


しかもこの2人、普通に強い。

マップ兵器固定砲台のヨヨは前述の通り、パルパレオスはよりにもよってビュウと同じ「クロスナイト」というジョブで参戦してくる。

バハラグの部隊システムの仕様上、例えばヒーラーのプリーストであれば1人で他の部隊に配属するよりも4人で固めると4人分の回復力が合わさってより強力な回復魔法を放てるため、同じジョブは同じジョブで組ませるのが定石となっている。つまりビュウは戦闘システムの都合上「自分の幼馴染を奪っていった知らねえ敵国の将軍と隣で戦う」という地獄のような状況で戦場に駆り出される。


これならまだヨヨとパルパレオスが二人で敵国に寝返ったり、極論ヨヨがラスボスになった方がビュウとしては救いはあったのではないか…。


そう、ここ。ここなのである。バハムートラグーンの恐ろしい所は、「ビュウ、ヨヨ、パルパレオス、その他諸々のキャラの感情」と「オレルス全土の状況」の2つの線が徹底してパージされている所である。

今書いていて気が付いたが、明らかに一緒に組ませるべきではないキャラ同士を組み合わせた方が戦術上有効な戦闘システムも不思議とこのバハムートラグーンのシナリオとリンクしているような気がする。


ヨヨとパルパレオスが加入してからのバハムートラグーンの味方陣営にはひたすら微妙な空気が緩慢と流れ続けるようになる。
明らかにヨヨ王女は道を踏み外した方向に行ってしまったが、まあそれでも一応気を遣ってみんなで「ま…まあおめでとう!」と言っているような、何とも言えない…親戚の集まりみたいな…そういううだつの上がらない空気感が…何とな~~~くゆるゆると流れる……

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カーナ奪還の祝賀会でヨヨとパルパレオスが踊っている所を見せつけられながらサラマンダーと踊るビュウ、明らかにあの一件からヨヨに嫌味を言うようになってしまったビュウ。前々から思っていたが、何気にビュウもちょっと性格が悪い。

オレルス全土は間違いなく救いに向かっていて、大局的に見たら帝国と最終決戦を繰り広げたり天界に行ったりでRPGの終盤にふさわしい盛り上がりを見せているのだが、それはそれとしてオレルスに生きるキャラ個人の感情はそことは関係なくピリピリしていく。

いや、逆かもしれない。
本来ならばヨヨがラスボスになったり、憎しみで狂ったビュウがラスボスになったり、そういう展開がファンタジーRPGでは起きそうなものだが、バハムートラグーンはそこが徹底的に切り離されている。


ファイナルファンタジーでは「個人の感情、人の色恋」と「世界の命運」を天秤にかけた時に前者が圧倒的に勝利する事が多い…ような気がする。つまり人の想いで世界すら動かしてしまったりする。

しかしバハラグはその二つが全く繋がっていない。どちらが上でどちらかが下の主従があるのではなく、とにかくビュウがどれだけヨヨを嫌っていようとも世界は救いに向かうし、世界が救いに向かっていようともビュウの心の中のもやが晴れることはない。まさに「逆セカイ系」とでも言うべき徹底的な個人の感情と世界そのものの切り離されっぷり。


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そして最終決戦。ヨヨは何とビュウに「自分自身が嫌われている事は分かっていた」という衝撃の告白をしてくる。

いや、メインヒロインが「私の事嫌いなの分かっとるよ」って言ってくるRPG、何?

私にはこれが物凄い衝撃だった。てっきりヨヨは本人的にも開発的にも無自覚でこういう言動を繰り返しているからこそクソ女だの悪女だの言われているのかと思っていたが、開発もヨヨ本人も自分自身に向けられたヘイトを理解しているとなると全てが変わってくる。というか全てがひっくり返る。バハムートラグーンは時代の先を行き過ぎている。


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バハムートラグーンはその癖の強いセリフの数々で「大人になったか、なってないか」という言葉を作中通してやたらと印象付けてくる。

そして、自分自身が嫌われていると理解していても、恋人ではなくなってしまったとしても「あなたは自分の大切な人だ」と割り切っている大人になってしまったビュウの知らないヨヨ、いつまでもパルパレオスとヨヨに嫌味を言っていた大人なのか子供なのか分からないビュウ。

こんな残酷な対比があっていいのか!?
しかしそれでも世界は進んでいく。それがバハムートラグーン。

ラスボスのアレキサンダーは倒され、世界は救われた。


感動の大団円かと思いきや、パルパレオスは責任を取って帝国市民に殺されてしまう。ヨヨはそれをまだ知らない。

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大人になっていったヨヨ、責任を取ったパルパレオス。今更ヨヨとヨリを戻せるわけもないビュウ。バハムートラグーンは徹底して、最後の最後までプレイヤーに「やるせなさ」を叩きつけてくる。


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「生きるって事は実はとても大変な事。そういう事がちょっぴりだけど分かったような気がする…」。あまりにもしっとりしすぎているバハムートラグーンが放つ渾身の一射。
これをバハムートラグーンが言うんだからもう納得するしかない。


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そしてバハムートラグーンは最後にバハムートの背に乗ったラグーン全土の親衛隊長となった大人のビュウを映し出して締めくくられる。

他のゲームであればこんな終わり方はノーマルorビター、最悪メリーバッドエンドもいい所であるが、私はこの終わり方は「バハムートラグーン」としてこれ以上の回答はない終わり方だと思う。


世界は常に変化していくし、現実は目の前にあるから辛いけど頑張って生きるしかない。ヨヨも、ビュウも、パルパレオスも、それらを全うして生きていた。

さて、ここで私は「ヨヨとは悪女なのか?」という議題に答えを出さなければならないのだが、結局の所、ヨヨは悪女であるかどうかの前にただ一人の人間であった。バハムートラグーンという辛い現実の中で頑張って生きる人代表こそ、ヨヨだったのではないかと思う。


まるで結論を放棄したような感想になってしまうが、ヨヨを悪女と捉えるか否かは人によって全く変わってくるだろう。バハムートラグーンが「大人になったか、なってないか」を主題に置いている以上、このゲームは遊ぶ人の目によって玉虫色に、万華鏡のように変化していく怪作だ。

ヨヨの「わたし、○○には嫌われている…」という言葉に対し「そうだよ」と返すか、「そんな事はない」と返すか、それは完全にプレイヤーの手に委ねられている。いや、あんまり委ねられていない。

とにかく、バハムートラグーンは遊ぶその人によって印象が180度変わるゲームなのだと私は強烈に感じた。


発売当時にバハムートラグーンをプレイした人にこそ、もう一度バハムートラグーンをプレイしてみて欲しい。そして出来れば、ヨヨの気持ちを少しだけ考えてプレイすると見え方が変わってくるかもしれません。

バハムートラグーンでビュウの気持ちになっていた当時のアナタも、今ならばヨヨの気持ちになれる…かも。是非、お時間があるときに家で眠っているバハムートラグーンをもう一度起動して遊んでくださると私はとても嬉しいです。その時こそ、「ヨヨってどういう女だと思う?」について私と真剣に語り合いましょう。私も正直、答えが得られていないので!


やるせない現実を生きるしかない、人間に向けられた怪作RPG。
バハムートラグーンをよろしくお願いします。