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今更ゼノギアスを遊んだ

 よう、「聖剣伝説が出なかった理由、ファイナルファンタジーとは異なる可能性(オレ)」だぜ……。

 という訳で『ゼノギアス』クリアしました。何かこっちでゲームのこと書くの久しぶりな気がしますね。

 もう御託は良いのでとっとと本筋に入りましょう。今回は『ゼノギアス』で私が特に気に入ったキャラを紹介していきます!

 ……何かこのキャラ紹介フォーマットも久しぶりな気がしますね。


リコ

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一応フォローを入れるとするなら、リコの個別ストーリーは結構よかったと思います。あんまり掘り下げられなかったけど、亜人に生まれてしまったリコの苦悩とそれでもリコを守ろうとする母親の健気な姿に割と泣きそうになりました。あんまり掘り下げられなかったけど。

 なんかでかくてみどりいろのやつ。でかみど。
 これマジ? 体格に反して耐久力が貧弱過ぎるだろ……。

 耐久力が低くて足が遅いから結局最後までパーティーに入れてなかったので特に言うことがありません。えっ? 何かお前「お前らリコのこと弱い弱い言ってるけど俺は最後までリコ使う」とか言ってなかったかって?

 いや言ってないだろう!? 俺が言うんだから言ってない!
 聖母ソフィアに誓って言ってない!!!

 
  ………………。

 いや、これは僕の心の中の「イド」が勝手にツイートしてただけだと思いますよ。言ってません。

 と、まあ色々理屈をこねてはみたけど、やっぱりリコだけ明らかに不遇な感じはする。このゲームって何故か緑色のキャラが多いんですけど、足が速い緑色には日本刀の強化が来るし、かわいい緑色には大人になる強化が来るし、緑川光は主人公だからもちろん色々強化が来る。こうなると最後には何の音沙汰もない緑のデカブツが残る。「足が遅い方の緑」とか言うな!

 地上人<ラムズ>は通す。
 牧羊者<アバル>も通す。
 リコは通さない。


バルト

私が一番好きなシーンはやっぱここです。

 そもそも『ゼノギアス』はだいぶ暗いゲームだと思う。だからこそ、このバルトのちょっとおちゃらけた感じがだいぶ清涼剤になってた。というかもうゼノギアス最後の砦ってレベルで最後の清涼剤だった。これでCV関智一なのが……時代って感じするぜ!

 眼帯・王子・清涼剤……と来るとやっぱり思い出すのは『ゼノブレイド2』の「ジーク・B・極・玄武」。ゼノギアスは結構ゼノブレイド2と共通してるところが多いけど、まさかこの枠まで共通してるとは思わなかった。

 そもそも私はゼノブレイド2を初めて遊んだ時、「いや、何か明らかにジークのポジションって不自然じゃない?」という謎の違和感を感じていた。だって王子で、眼帯で、ヒロインが居て、それでいて津田健次郎ですよ? 何かこう……5人目のおふざけキャラに収まる設定じゃなくない?

 だから改めてバルトの存在が補助線になってジークへの理解が深まったような気がする。いや、眼帯王子枠が恒例化してるRPGって何?

 ついでに一番好きな女性キャラはマルーです。かわいい。バルトと合わせてゼノギアス最後の清涼剤。

 「何故マルーが好きなのか?」と問われたら、「マルーがマルーだからだろ!!!」としか返せませんが、強いて言うなら「語彙がかわいい」という点でしょうか。

ちょ、ちょ、ちょっと! ボクは王妃様とか恋人とかそーいうのは苦手なのっ! 若とボクは一番の仲間なの!

足……撃たれちゃった。へへへ……また迷惑かけちゃったかも。だって……こんなことぐらいしか、若のためにしてやれることないんだもん。

ブッキラボーなのはきらわれちゃうぞ!

『ゼノギアス』マルー

 マルーの好きなセリフを引用連打してみましたが、「このセリフが良い!」というよりかは、「僕」ではなく「ボク」だったり、「ぶっきらぼう」ではなく「ブッキラボー」だったり、「嫌われちゃうぞ!」ではなくひらがなで「きらわれちゃうぞ!」だったり、こういう細かい部分の言葉のひらがなカタカナの使い方がマルーはかわいい。

 大丈夫ですかね? これ伝わってますかね?


マリア

 ゼノギアスで一番好きな女性キャラです。え? マルー?

  “都合の悪いことは忘れよ!”悪魔超人には記憶の欠如が必要なんだよ。

 ……サンシャインはひとまず置いといてやはりシェバトのゼプツェン発進シーンはゼノギアス最高の名シーンだと挙げる方も多いのではないでしょうか。見て下さいよ、「とにかく俺は少女が巨大ロボを駆る姿を描きたくて描きたくて仕方ないんだ!」というリビドーがひしひしと伝わってくるこの発進シーン!

 うわっ、名シーンすぎ!?

 こんな感じでゼノギアスはとにかく「RPGでロボットアニメをやりたい」という欲望に塗れまくったゲーム。何か雰囲気はエヴァンゲリオンっぽいのにキスレブに行くとボトムズが始まるし、グラーフは完全にCV秋元洋介だし、ゼプツェンとマリアは鉄人28号とかトップみたいな感じだし、G・エレメンツはゴリゴリ勇者ロボだし、ユグドラシルⅣはめっちゃマクロスだし、何かもうひとりでスーパーロボット大戦してるみたいなゲーム。

 私がプレイしたことのあるゼノシリーズは『ゼノブレイド2(黄金の国イーラ含め)』と『ゼノブレイドDE』の2作のみでしたが、まさか初代の時点でここまで「RPG×ロボットアニメ」の空気感が完成されているとは思いませんでしたし、急にニューアーハンが出てきたハナバスターにも今やっと合点が行きました。いやデザイナー同じ人なのは分かるけど!

 スーパーロボット大戦31にゼノギアス参戦、お待ちしております。
 いや頼むよ! 「ええ、あの時ブライト艦長が隼人くんを殴り飛ばしていなかったらどうなっていたことか。」って訳知り顔してスパロボ御三家とほぼ同期みたいな設定になってるシタン先生とシグルドのくだりやってくれよ!


ラムサス

 ゼノギアスで一番好きな男性キャラです。いやお前一番好きなキャラ何人おんねんって感じではありますが、僕は1本のゲームで一番好きなキャラが5人ぐらいできるタイプです。

 私が『ライブアライブ』で一番好きなキャラはストレイボウ、私が『ゼノブレイド2』で一番好きなキャラはメツ……と言えば、何故ラムサスが好きなのかなんとなく分かるんじゃないでしょうか。

 最序盤はいかにもライバルキャラっぽいノリで登場するものの、その強敵感はマルーを奪取するアヴェ編まで。過去のトラウマと度重なる敗北によって、徐々に徐々にフェイへの憎しみに駆られ続ける狂気の男へと変貌を遂げていく。

ちゃんとラムサスの裸まで作ってんの、何?

 その憎しみの源は全ての人を超越する存在として作られたはずの自己の喪失。天帝カインとほぼ同じ力を持って生まれたはずなのに、フェイが生まれてしまったせいで、この世に生を受けたその時から「塵」と呼ばれ続けていたラムサス。その過酷な環境から自分の力のみでゲブラー総統閣下の地位まで登り詰めたラムサスは、もはや誰からの愛も受け付けず、自分のことしか愛せなくなっていた。

黙れっ!! 所詮、俺には、俺しかない! 俺は俺によってしか癒されない!

『ゼノギアス』ラムサス

 『ゼノギアス』は人と人とが触れ合い、愛し合う「愛」というテーマ性がかなり濃く全面に出ていますが、ラムサスはその「愛」というテーマの対極に配置されたキャラだと感じました。本当は誰からも攻撃なんかされていないのに、誰かが自分を攻撃していると思い込み、本当はちゃんと愛されているはずなのに、誰からも愛されていないと思い込んでいる。自分で自分を愛する以外の愛を知らなくなってしまった男、ラムサス。

 そんなラムサスが………好き!!!

 その流れで言うと今作のラスボス、カレルレンも私好みの男です。ソフィアに恋愛感情を抱いていたけど、ソフィアの愛はラカンへと向いていた。それに気付いていたカレルレンは、いつまで経ってもソフィアへの想いに応えないラカンに怒りでもあり、憎しみでもある感情を抱いていた。

 結局その思いに決着がつくことはなく、ソフィアは人間たちを守るためにその命を散らした。自分達が目指していた楽園とは、理想の世界とは、一体何だったのか。憎しみ、殺し合い、無意味な戦火を広げてソフィアの命まで奪う人間とは何なのか。この世に神は居ないと言うのか。

 酷い世界だろ、ここは!

 まさしく「初代メツ」の名にふさわしい男ですが、まあ私がカレルレンのどの辺が好きなのかはいちいち説明しなくても何となく分かるでしょう。

 ゼノギアスは他のRPGと比べても尋常ではないスケールの話が展開される作品となっていますが、結局事の発端はひとりの人間が抱いていた「愛」によって始まっているのも好きなところです。


フェイ

 フェイ……ゲームの面白さは出荷本数で決まるのですよ……。
 先生ッ! ダメだ~~~っ!! ゼノギアスが……

 ……ではなく、ここではフェイの紹介に見せかけてゼノギアスのDisc2の話をしようかと思います。そもそもゼノギアスはDisc1がアホほど長い。私の場合はもう普通にDisc1の時点でプレイ時間が70時間を超えていました。

 だから、「もしかしたらゼノギアスの本編自体はDisc1で完結して私の手に残されたこのDisc2にはゼノギアスの水着回のOVAが入っているのかもしれない……」とまで思っていました。

 しかしそれでもDisc2の出番はやってくる! 満を持して回ってきたDisc2の出番! ここで初めて「ディスク入れ替え」というものを体験しましたが、その場でディスク入れ替えたらすぐにそのままゲームが始まるプレイステーションって、すごくないですか?

 気持ちの良い回転音を立てるDisc2。やっと俺の出番かと凄まじい高速スピンを見せるDisc2。そんなDisc2がプレイヤーに送る内容は……その内容は……

 ウ……ウソやろ
 こ……こんなことが
 こ……こんなことが許されていいのか

 という訳でDisc2はビジュアルノベル+RPGのようなスタイルで進行します。きっと色々なことがあったのでしょう。私はこれはこれで新鮮味があっていいと思います。

 明らかに作られる予定だったであろうダンジョンの内容がテキスト5行で吹き飛んだり、明らかにもっとちゃんとシーンを作り込む予定であっただろう箇所がテキスト6行で片付いたりしてますが、私はこれはこれで新鮮味があっていいと思います。

 急にユグドラシルⅣが出てきたりしますが……いやこれは普通に最高のシーンでしょう!? 何か色々なことが間に合わなかったのは感じるけど、ロボットアニメであることを諦めなかったのは本当に偉い!!

 ま、まぁそれは一旦置いといて……Disc2からはゼノギアスの世界の真相が次々と明かされていきます。特に一番好きなのは、「あんなに楽園と呼ばれていたマハノンが結局は人類が作り出した古びた宇宙船に過ぎなかった」という点です。

 私はゼノブレイド2の「楽園だと信じて辿り着いた場所は、結局人類が滅び去った後のスペースコロニーだった」という衝撃の真実がメチャクチャ好きなのですが、まさか20年前の時点でこれに近い物が既に作られているとは思いもしませんでした。

 ゼノギアスは「これを多感な時期に触れていたら絶対に性癖が破壊されていたに違いない」と強く感じさせるシーンが沢山あるのですが、私的にはこのマハノンのくだりが一番好きです。

 さらに言うならば、ゼノギアスはファンタジーRPGに抱く「幻想」のようなものを尽く破壊してくるゲームだとも感じました。いえ、これは決して悪い意味ではなく。

 まさに今触れたマハノンの真実自体がそうですが、たとえば「魔法王国ジール」のような雰囲気で登場したシェバトが思ったよりも繰り返される戦争に疲弊していたり、天空の楽園とも思えるソラリスが徹底された管理社会として作られていたりと、本来神秘性を帯びているはずの「幻想」の部分には徹底的なSF考証やそこに息づく人間たちの切実な感情が込められている。

 特に今作の鍵を握る「デウス」はそれを象徴する存在とも言える。この世界に生きている全ての人間は、元を辿れば「デウス」という名の「星間戦略兵器システム」によって生み出された。……つまり、これまで『ゼノギアス』というRPGの中で行われてきたフェイたちの冒険、戦い、この世界で生きる人々の営みは全て、たったひとつの「兵器」から始まったものでしかなかった。本当にすごいRPGだと思う。良い意味で、「RPG」に抱く幻想や神秘を全てひっくり返して打ち砕いてくる。

 ……とまあ色々理屈をこねてみましたけど、どうですか? ライターみたいなこと書いてるでしょう?

 でもこんなの半分くらいしゃらくさいと思うので正直言わせてもらうと、やっぱりこのデウスとかマハノンとかの設定めっちゃカッコよくないですか!? これにワクワクしない人間、居るのか!? ホムラに興奮しない人間はこの世のどこかに居るのかと同じぐらい、ゼノギアスの根幹設定にワクワクしない人間は、居るのか!?!?

 そもそもまずネーミングセンスがいちいち最高。

 恒星間戦略統合兵器『デウス』
 事象変異機関『ゾハル』
 生体電脳『カドモニ』
 戦略制圧母艦『メルカバー』

 もうこれだけで最高。名前は長ければ長いほど良い。特に私は「事象変異機関『ゾハル』」は一番好き。「事象変異機関『ゾハル』」という文字列を初めて目にした時、一回ベットの上に戻って、天井に向かって「事象変異機関、『ゾハル』……」と口にしない人間は居るのか?

 私は「超無敵鉄鋼 虎丸」とか「地球帝国宇宙軍 太陽系絶対防衛用 超大型人型決戦兵器」とかそういうのが大好きなんです。分かってください。

 一応ゼノブレイドシリーズは遊んでいるため、流石にゾハルに対しては「うわっ!知ってる黄緑色!」と思いましたが、まあこの辺のセリフもゼノギアスのセンスの塊。

古の昔、事象変移機関という半永久無限エネルギー機関が創造された。
機関は『ゾハル』と名付けられた。
それは太古の異星の人々が、この四次元宇宙で考えられる最高のエネルギーを得ようとして創造した機関だった。

やがて人はその機関を利用した究極の星間戦争用戦略兵器『デウス』をも
創造し、ゾハルはその主動力炉として使用される事となった。

しかし予期せぬ事態が起こった。
完成したデウスとゾハルとの連結実験の最中、無限の可能性事象……エネルギーを求めた機関は、本来別のものである、この次元と高次元空間とを結び付け、結果、そこに存在していた高次元の波……私と結合<シンクロ>した。

私は、機関の作り出した高次元との接点……、『セフィロートの道』、現在君がいるこの領域を降<とお>って四次元世界に具現化した。
四次元世界へと“降臨”した私は、物質として四次元世界に安定することと引き替えに事象変移機関……つまり『ゾハル』という“肉体のおり”に束縛されてしまったのだ。

ゾハルに束縛された私は、もとの次元に還ることを望み、……そして結論した。経てきた過程の逆、私に『意志』というこの次元の特質を持たせた者の手による解放を……。それが君だ。

『ゼノギアス』ゾハル

 あ、頭がおかしくなりそうや。

 正直私はここの言っていることの意味を半分も……いや2割理解してるかしてないかだと思います! でもかっこいい! 何か訳の分からんスケールのデカい話を長々とするの、めっちゃかっこいい!! そうじゃないですか!?

 ここ以外にもゼボイムの書店跡などでいくつか「事象変異機関『ゾハル』」に関する記述を読み漁ることができるのですが、その度におびただしい量のメッセージを叩きつけてくるので、ゼノギアスは「こいつゾハルの話になると急に早口になるよな……」という人間味に溢れたゲームだと思います。

 何気に私が最初に遊んだファイナルファンタジーはFF7なので、およそ2年越しの伏線回収ですね。長えよ!!!!!


エリィ

 ゼノギアスの印象的なセリフのひとつに、「たとえ誰かを救うということが独善的なことだったとしても、そうやって少しずつ誰かに何かを与えることの喜びを学んでいけば、いつか他人のために自分自身の大切な部分を分け与えることができる」というセリフがあります。

 これはアヴェ、キスレブともはや自分の居場所を見つけるために戦いを繰り返していたフェイの苦悩に対してエリィが答えたセリフなのですが、私はこのセリフこそゼノギアスの象徴、ゼノギアスの根幹にあるテーマの一つだと思います。

 エリィ自身が言い放ったセリフとしてこれを捉えるならば、ドライブを使って暴走しかけていた自分自身を命がけで止めてくれたフェイへの意趣返しとして、命がけでイドを止めたシーンが印象的です。

 これも「人は誰かに自分自身の大切な部分を分け与えることができる」というタムズでのセリフをエリィが実際に行っているシーンだと思いますし、めちゃくちゃ良い。

 何ならエリィはラカンとカレルレンの時代……要はソフィアだった時からもこれに近いことを言い続けています。

心の中に光を持っていれば、どんな苦難だってきっと乗り越えられる。私はそう信じている。私のしてきたことはただ、その光が誰の心の中にも存在するってことを教えてあげていただけ。

『ゼノギアス』ソフィア

 この「光」という言葉を「大切な部分」と解釈すれば、「全ての人の心の中には必ず希望や光のような、どんな苦難だって乗り越えられる力があるし、それを分け与えて団結できるのが人の強さ」と捉えることも出来ます。何か段々私の自己解釈が強くなってきましたね。ここからは10割自己解釈で話を進めるので覚悟してください。

 『ゼノギアス』の後半は、とても明るいとは言い切れない凄惨な場面や凄惨な事態が何度も訪れます。人間をウェルスへと変え、そのウェルスを食料へと変える人肉工場「ソイレントシステム」。刻印を解除するために散布したナノマシンの中にはカレルレンが仕込んだウェルス化のウィルスが混じっており、次々と異形化していく無辜の民たち。

 人間同士で人間を喰らい合うこの世の終わり。とてもじゃないけど、希望とか光とか甘ったれたことを言っている状況ではない。しかし、それでもエリィは愛を、人の可能性を謳い続ける。

 エリィの「いつか本当の意味で、人は人に愛を与えることが出来る……それが人には出来るって私は信じている」という言葉こそ、ゼノギアスの「人間賛歌」というテーマのひとつを象徴している言葉だと思います。

 楽園だと思っていた場所は、宇宙船でしかなかった。何万年も前から、結局人間はひとつの侵略兵器によって生み出された存在でしかなかった。この世界に、「神」などというものはどこにも存在しかなかった。幻想と神秘を次々と打ち砕き、人類に絶望を叩きつけてくるのが『ゼノギアス』。

 しかしその世界で生きる人々はそれでも諦めない。「侵略兵器」という遠い遠い惑星からやって来た神の支配から脱却するため、「誰かに愛を与えることができる」という人間の力で、人間が生み出してしまった「神」へと立ち向かう。やっている絵面の悲惨さや壮絶さに対して、優しい人間賛歌が相反しすぎているのもゼノギアスの良い所だと思います。

 最後に、この「人は誰かに愛を与えることができて、必ずひとつになれる」という言葉は「ギアと人間」の関係にも通じる言葉だと感じています。主人公のフェイはゲーム序盤、自らの暴走によって村を滅ぼしてしまった負い目からヴェルトールのことを嫌っていました。

 序盤、中盤、終盤と何度も己の中に存在する「イド」という別人格の暴走によってヴェルトールとフェイは破壊の限りを尽くしてしまいます。

 しかし最終盤、ついにフェイは己の中に存在する別人格の「イド」、そして自分の心の中に閉じこもってしまった子供の頃の「フェイ」と人格統合を果たします。

 ここのイドとフェイ(幼少期)の3人がお互いの想いを共有し合うことで、初めて人格を統合できたシーンも「大切な部分を分け与えることができる」のひとつに含まれると思います。そして生まれるのがタイトル回収最強ギア「ゼノギアス」。

 「ゼノギアスで一番好きなシーンはどこ?」と聞かれたら、もはや両手に収まらない数のシーンを延々と挙げることになるとは思うのですが、強いてひとつに絞るとするなら、やはりラスボス戦前のここです。

お前ともこれが最後だな……。たのんだぜ! 相棒!

『ゼノギアス』フェイ

 あんなに嫌っていた、あんなに忌避していたヴェルトールを「相棒」と呼ぶ最初で最後のシーン。もちろんヴェルトールに向けたセリフでもあるし、人格を統合した「イド」に向けたセリフでもあるかもしれないし、アベル・ラカン・キム……とこれまで転生し続けてきた別の自分自身への言葉でもあるかもしれない。

 ここの最後のシーンで「飛翔」が流れるのがあまりにも良すぎる。そもそもゼノギアスってかなり凄惨なゲームなのに、ゼノブレイド2の「Counter Attack」に該当するBGMの「飛翔」がやたらとヒロイックな曲なのが何か良い。やってることは凄惨なのに言ってることはすごく優しいし、やってることは悲惨なのに曲はヒロイックだし、とにかくゼノギアスって、こういうところが好きになっちゃうんですよね……。

 たのんだぜ!
 相棒!

ラストカットで急にさわやかな感じなのも何か良い


シタン

 何?

 コイツはなんなの?

 
 あんなに良い感じに締められそうなこと言ってたのに、最後の最後にこの男が来てしまった。みなさまお待たせしました。こちらのゼノギアス記事、最後はこの「シタン・ウヅキ」という男を紹介して締めくくらせていただきます。

 もうコイツに関してはどっから言ったらいいんだ?

 分からない。何も分からない。大体2年ぐらい色々書いてきてみたけど、このシタンとかいう無法男を一体どこから調理したらいいのか皆目見当もつかない。なので、最初から振り返りましょう。

 この男とのファーストコンタクトは最序盤のラハン村から。というかほぼ最初に加入する仲間キャラ。明らかに最初に加入していいキャラではない。

 もう裏切りそう。序盤からずっと裏切りそう。もう最初からず~~~~~~~~~~~っと怪しげなことを言っているし、延々と裏切りフラグを積み重ねてくる。もうシタンストラッシュをフェイに伝授してくれない限りは何も信じられない。

 少し進んでアヴェ潜入辺りのシタン先生。ついにギアへと搭乗。確かこの辺から本格参戦だった気はします。明らかにおかしい。何か他のキャラの2倍ぐらいのHPを持ってるし、何か行動速度も他のキャラの2倍ぐらい早い。

 ゼノギアスの戦闘システムはお馴染みのATB式だから、単純に行動が速いと敵にターンが回る間に2回行動できたりする。シタン先生はそれを素面でやってる。明らかにおかしい。これはP5の明智とかクロノクロスのツクヨミみたいな、「今後強制離脱するキャラ特有の異常性能」に違いない。

 キスレブ編での地下下水道。レッドラムが強敵でしたね。

 ここでシタン先生は「生身の戦い」においてもその異常さが際立ってくる。前述の足の速さ、HPの多さに加えて習得スキルが「HP回復」「一度だけスキルを全体への効果に変えることができる」というものとなっており、要はシタン先生が高速で動いて全体回復を巻き散らし続ける高速ヒーラーと化す。なんなんコイツ? 隣の遅い方の緑がかわいそうだと思わんのか!?

 ここまで来ると「お前が抜けるとゼノギアス詰むから裏切るな」という一縷の望みにすがるような感情へとシフトしてくる。実際シタン先生が居ない時の戦闘はキツい。

 話は結構先に進んでビリー編へ。教会で悪霊狩りをしているビリーとその父親の家族愛が主軸のシナリオ。ここでビリーのギア「レンマーツォ」と親父のジェシーの銃型ギアが合体して攻撃する激熱シーンが来るのですが……シタン先生はその銃型ギアが搭乗者を人間弾頭として打ち出す兵器であることをうっかり忘れていたようです。

 お前もう船降りろ。

 そして発覚する人間弾頭はシタン先生が作っていたという衝撃の事実。

 は???????????

 話は一気に飛んでDisc1の終盤へ。ソラリスへと侵入し人肉工場「ソイレントシステム」の前に転がっている人肉缶詰の正体を知りながら遠慮するシタン先生。お前ほんとこういうとこあるよな!!!!!

 この缶詰イベント、明らかに流れが不自然というか、イベントの流れを細かく分解すると「扉に入ろうとする→急にフェイが腹ごしらえすると言い出して扉の前に戻って缶詰を食い始める」と半ば強制的に缶詰を食わされるので、本当に性格が悪い。

 ついでに食べた後に製造してる所まで行ってめっちゃ丁寧に前振りして真実告げてくるシタン先生も悪い。こんな工場見学あってたまるか!!!

急に裏切り者みたいなこと言い出すのも面白い

 そしてソラリス編の終盤、ついにシタン先生は本物の裏切り者であることが明かされます。え、ええ~~~~~っ!? シ、シタン先生が裏切り者~~~~~~つ!?!? そ、そんな……じゃあ俺たちはこれからどうしたらいいんだ~~~~~~~っ!!!

 やっぱ裏切り者じゃなかったらしいです。
 なんなの? 性能が強かったら何やっても許されると思うなよ?

 真面目に考えてみると、シタン先生の正体は天帝カインに仕えるソラリスの守護天使「ヒュウガ・リクドウ」。まあラスボス級の右腕なのでゲマが仲間に居たと考えるとそりゃまあ、あの異常性能にも納得がいきます。頭で納得は行くけど心で納得はできねえよ!!!

 そして覚悟を決めたシタン先生はついに「ヒトを殺す」技こと「日本刀」を解禁! 必殺技も全部バージョンアップ!! 火力もバカみたいに上昇!!!
 
 もうここまで来たら笑うしかないだろ。

 元々シタン先生は「足が速くて全体回復ができて回避率が謎に高くてHPも多い」というキマリが見たら舌を噛み切って死ぬような性能だったけど、ここに来てついに「火力」が付与されてしまった。

 これはどういうことなのか?
 いやどういうことも何も全体回復ヒーラー兼高速アタッカー兼メインDPSという吉田直樹みたいな肩書のキャラが爆誕するだけである。

 しかも日本刀なので必殺モーションもバカほどかっこいい。シタンの日本刀気持ち良すぎだろ! シタンの日本刀気持ち良すぎだろ!!

 「ゼノブレイド」シリーズには何故か「日本刀を持っているキャラは異様に強い」という謎のジンクスが存在していたのですが、まさかここの源流すらゼノギアスに存在してるとは思いませんでした。

 そしてDisc2以降のシタン先生は「私専用のギア・バーラー」こと「E・フェンリル」を引っさげて登場。

 いい加減にしてくれ~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!!


 もちろん武器も日本刀。鬼ほど強い。敵として登場するG・エレメンツがドロップする「機振剣」を鍛冶屋に渡して「機神剣」というモナドチックな名前の武器に改造してもらうと、何と最強ギアの「ゼノギアス」に匹敵する攻撃力となる。なんなんすかね、これ?

 そもそもシタン先生はいちいちカッコ良すぎる。「ヒュウガ・リクドウ」とかいう本名も「E・フェンリル」とかいう専用機の名前も異常に強い性能もいちいちカッコ良すぎる。こんなのゼノギアス遊んでシタン先生のこと覚えてない奴この世にひとりもいないだろ。

 ……とまあ、シタン先生の無法っぷりを振り返ってみましたが、いかかだったでしょうか? いやいかがもクソもないですよね。 

 ただ、大真面目にシタン先生について考えてみると、ただ「裏切りそう」なだけならここまで愛されるキャラにはなっていなかったと思います。シタン先生は明らかに有能だし頭も良いキャラなのに、ちょいちょい謎の凡ミスをします。

 キスレブでフェイの首輪爆弾解除しようとしたら爆発させたり、ソラリスでダストシュートに入るための策を何も用意してなかったり……とにかくちょっと「ガバい」ところがあるのが謎の愛嬌を生んでいる気がします。ほら、FGOの蘆屋道満みたいな……。

 とにかくシタン先生はちょっとかわいい。
 ヒュウガも人の子よな……。

これが29歳な訳ないだろ!?

 
 はい。ゼノギアスの記事でしたが、いかがだったでしょうか?
 いや、いかがも何もないですよね。noteですからね! もうどのタイミングで終わらせようと私の勝手なんですよ! ハハハ!

 とにかくゼノギアスは最高のゲームでした。お世辞にも「完成度が高い」とは言い切れないけど、やりたかったことを全部詰め込んだかのような何でもあり感。もう完成度とかそういう次元じゃない。最高。最高のゲーム。

 ゼノギアスは最後までゼノギアスを貫き通したから最高のゲームなんですよ! 以上!! 

 ゼノブレイド3発売まで終わんないとは思うけど、必ずこっちもやります! 楽しみに待っててくださいね!

 それでは今後ともよろしくお願いします! では!!