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今更ゼノサーガを一気にやった

  ゼノサーガ、やったよっ!!

 来る7月28日の『ゼノブレイド3』の発売までに一気にゼノシリーズやっちまおうということで『ゼノギアス』を遊んだ流れでそのままこっちまでやっちゃいました。

 いや~~~人間って、頑張れば一か月でRPG3本クリア出来ちゃうんですよね! ジスロマちゃん、まだまだやれるで~!!

 ……まぁそんな私の事情はクソ程どうでもいいので、とっとと「ゼノサーガ」シリーズ本編の話に入りましょう。

『ゼノサーガ エピソードⅠ[力への意志]』
『ゼノサーガ エピソードⅡ[善悪の彼岸]』
『ゼノサーガ エピソードⅢ[ツァラトゥストラはかく語りき]』

 ……今回の記事ではこの3本をまとめて書いちゃってます。
 それでは、3本まとめてよろしくお願いします。


ゼノサーガ エピソードⅠ[力への意志]

 さぁ始まったゼノサーガの1本目!
 もはやファイナルファンタジーでもスクウェアでもねえ!!

 これから始まる全宇宙を股にかけた壮大な叙事詩は…………と言いたいところなのですが、如何せんEP3までクリアしたところから書き始めてるのでもう若干俺の脳内のEP1に関する記憶が薄れかかっています。ハハッ、私ってば、記憶力悪いんだよね!!

 なので、ここでは「PS2」の話をしようと思います。

 「PlayStation 2」……ソニー・コンピュータエンタテインメントより発売されたこのハードは、これまでのゲーム機とは一線を画す高グラフィックにDVDの読み込み機能、さらにはインターネットへの接続など、2000年当時ではまさに「次世代」を象徴するハードだったそうな。

 そんな名機PS2も今となっては約20年前のハード。しかしゼノサーガは現行ハードへの移植が何もないからそのままPS2で遊ぶしかない! 

 なので……実家からPS2をそのまま輸送してきました。おそらく私の親が使っていたであろうPS2。小学2年生の頃に、何故か一緒に入っていた『アニメチックストーリーゲーム カードキャプターさくら』というゲームを何周も何周もこのPS2で繰り返し遊んだことを未だに覚えている。

何故これを私の親が持っていたのか…今となっては知る由もありません。

 別に『カードキャプターさくら』を見たこともないのに、何故かあのアニメチックストーリーゲームの方のカートキャプターさくらはめちゃくちゃ遊びまくってました。俺にとってはあのアニメチックストーリーゲームのさくらがカードキャプターさくらなんや!

 すいません、ゼノサーガの話に戻します。まぁ要はこのPS2は相当年季の入ったPS2。しかも初期型。よく動いてんなお前!? まさに地中から発掘されたギア・バーラー。

 しかし、ここでこの年季の入ったPS2とゼノサーガEP1の間にひとつのアクシデントが発生する。詳しい方は既にお気付きかもしれないが、ゼノサーガEP1のディスクは「片面二層DVDロム」という、少し特殊な規格を採用している。


「本来ディスクの入れ替えを必要とするシーンでも、この片面二層DVDロムならディスクを入れ替えることなくそのままスムーズにゲームを進行可能!」という、まさに当時の環境をバリバリに感じる謳い文句だが……

まぁ~~~~~この片面二層DVDロムと初期型PS2の相性が悪い!!!


 要は上記の動画のようにアニメチックストーリーゲームカードキャプターさくらを共に遊び倒した私の相棒が徐々に徐々に悲鳴を上げ始めた! 音ズレならまだ可愛いもので、Jr.が加入する頃にはもう「10秒間のうちに3秒ムービーが進めばラッキー」という地獄のような牛歩ロードが発生していた! 

 流石にこれはゲームの進行に支障が出る……ついに諦めた私は必死に「PS2 ディスク 読み込まない」「PS2 初期型 片面二層DVDロム 読まない」「PS2 ディスク読み取り 修理 簡単」と一縷の望みにかけて検索しまくっていた。

 そんなことをしている間にもPS2はどんどんゼノサーガを読み込まなくなっていく。というかもう何も読まなくなっていた。長年付き合ってきた友人の最後を看取る時はこのような気持ちなのだろうか。いや、そんなことはさせないッ! この私がそばに居る限りお前の命の灯火を絶やさせはしないッ!! なぁ……これからサガも聖剣も一緒に遊んでくれるんだろう!?

 もはや「頑張れ!頑張れ!」と余命幾ばくかの友人の手を握るような気持ちで、必死にディスク取り出し口のゴミを掃除してみたり、通気口のホコリを取ってみたりと焼け石に水のような修繕を繰り返してみるが、もはや何の音沙汰もない。私のPS2の心音図は……もうとっくに凪を迎えていた。

 しかしここで易々と諦める訳にも行かない。だが直接Twitterで「PS2読み込まないんですけど、どうしたらいいですか?」と尋ねるのも何だか気恥ずかしいので、私は「あー!俺のPS2壊れちゃった!片面二層DVDロムと相性悪いのかなぁ~!?」と、いかにもリプライで対処法を教えてくれとでも言わんばかりのツイートを繰り返していた。そしてやはりインターネット集合知に集いしお歴々のみなさまはちゃんとした答えをくれる。


「一度PS2をバラして読み込み部分のパワーを上げればいい」
「薄型に買い替えましょう」
「専用のクリーナーで掃除しましょう」

 ……どれもこれも堅実かつ至極真っ当な回答。とてもありがたい。すぐさまこれに従えばいいものの、その中にあった「縦に置けば?」というあまりに投げやりな回答が真っ先に私の目に飛び込んできた。何? 何だと? 縦?? お前はこの余命幾ばくかの寝たきりの友人をベッドから無理矢理連れ出して二足歩行させろと???

 一体何を言っているんだ? 私をバカにしているのか!?
 そんな……そんな縦に置いただけで急に読み込むわけがないだろう!?!

う、動いたあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

なんで??????????????????????????????

 え、何これ。これまでの私の苦悩は何だったの? いや、縦に置いただけでPS2が息を吹き返したらそれはもう……神秘現象だろ!!!

 さらに私の目に飛び込んできたのは、「ロゴも回転させましょう!」というリプライ。そう、PS2にはまさにこのハードを象徴する「P」と「S」が交差した形のロゴがディスク取り出し口の部分にくっついている。

 え、何、これって回転すんの……?

 あ、あああああああああああああ!!!!!

 このロゴも縦向きに回転しただと!?!?!? じゃ、じゃあ何か!?

 そもそもこの「PS2」というハードは最初から縦向きに設置されることを想定したうえで作られていたのか!? な、なんかこれまで真の力が封印されていた武器がついに力を解放したみたいでちょっとテンション上がる!!

 しかも驚くことに縦に置いた結果、これまで一切読み込んでいなかったスロット1のメモリーカードも無事読み込んでくれました。いや何その副次効果!? 効果の出方ヤクルト1000か!?

 この縦置きだけでなく、斜めに置くことで読み込みパワーが上昇したり、果てにはハードそのものをひっくり返して読み込みパワーを上げる「天地返し」も存在したりするらしい……。

 まぁそんなこんなでPS2は無事息を吹き返したので話をEP1に戻しましょう。ゼノサーガの話を期待して記事を開いてくれた方に開幕縦置きPS2を3000文字近くぶつけてしまって本当に申し訳ない。EP1で最も印象に残っているのは、やはり「Jr.とアルベド」だろう。

EP1にしかなかったけど田中久仁彦絵やっぱ良いよね…

 一応、私は『ゼノブレイド2』と『プロジェクトクロスゾーン』を遊んではいるため、今作の目玉のKOS-MOSさんのことは流石に知っていた。

 ……と言ってもこの2作の知識しかないので、「ゼノブレ2の敵全体ダメージかつ味方全体回復のヒルベルトエフェクトがアホほど強い」ぐらいしかKOS-MOSさんに関する知識はなかった。てかEP1やって分かったけどそもそもヒルベルトエフェクトって攻撃技じゃねえじゃん!!

これに合わせてゼノブレイド2公式の田中久仁彦氏のコメントも見たんですが、Re:KOS-MOSさんが持ってるダブルレーザーガンにゾハルの意匠が組み込まれていたり、ゼノサーガをクリアした後にこのデザインを改めて見るとまた新たな発見があって中々面白いです。

  そう、ゼノサーガの主人公はシオンとKOS-MOSさんのはず。しかし、いつの間にか話の主軸はJr.とアルベドとモモの三角関係へとシフトしている。というか、明らかにモモが酷い目に遭っているシーンを描いている時の方が筆が乗りに乗っている。

 幼い子供の姿でも「百式レアリエンなので子供ではないです」と言い張ってインモラルなシーンを描くとは……モノリスソフトも考えたな!?

 正直個人的にEP1はやはり後に続くEP2、EP3に比べるとやや盛り上がりには欠けるのだが、そこをモモのインモラルなシーンとアルベドの狂気でリードしているのでなんだかんだ満足感はある。果たしてこの暗澹とした不健康な空気を「満足感」と呼んでいいのかどうかは定かではないのだが…。

 EP3までクリアした今になってみると、EP2とEP3が徐々に明るい作風になっていくので、ゼノギアスDisc2のノリをちょっと引きずってるこのグロテスクかつ露悪的な雰囲気はEP1特有の感じで結構悪くない。ちょうど『ゼノギアス』から『ゼノサーガ』に移行する「過渡期」の空気はある意味、EP1でしか味わえないのかもしれない。

ゼノサーガ エピソードⅡ[善悪の彼岸]

 ギッ、ギギギギッ……ガ、ガガガガガガガガ………

 片面二層DVDロムの手を逃れた初期型PS2を待っていたのは、また地獄だった。EP1の後に刷新された片面一層DVDと鬼ロード。
 戦闘開始の度に悲鳴を上げるPS2。Disc2枚組とCGモデルの一新、新たな戦闘システムとE.S.とをジン兄さんの日本刀でスライスしてぶちまけた、ここは惑星ミルチアのゴモラ。

 次回、「イド」。
 来週も、シオンと地獄につきあってもらう。

 ……ではなく、ここからはゼノサーガEP2の時間です。まぁ、やはり、EP2といえばこの刷新されたCGモデル。

 ずいぶん……鍛えなおしたな……。

 さ、流石に私もEP2の評判があまり芳しくないのは知っていました。ですが、ここで結論から先に言ってしまうと私は結構EP2を楽しめました

 特に私が好きなのは今作独自の「戦闘システム」。

 EP1のブーストゲージを消費することで味方の行動に続いたり敵ターンに強引に割り込んだりできる「ブーストシステム」はそのままに、敵の弱点をついて「ブレイク」「ダウン」「エアー」と状態異常コンボを引き起こして火力を出す独特なシステム。いや、これが結構楽しい!

 EP2の敵にはそれぞれ「A」「B」「C」の部位弱点が設定されており、この弱点を突くことでブレイク状態を引き起こせる。例えば「BCCB」が弱点に設定されている敵であれば、KOS-MOSで「BC」の部位に攻撃したあと、そのままブーストでジギーにつないで「CB」を叩き込む。それが上手くハマれば敵がダウンして大ダメージ!
 
 さらにブーストすれば本来1ターンで解除される「ダウン」は継続され、引き続きダウン状態の敵に大ダメージを叩き込める!!

 このEP1から受け継がれた「ブースト」と今作独自の「ダウン」「エアー」状態の敵に大ダメージをぶち込むシステムが非常に嚙み合っている! 確かに最初はちょっと掴みづらいシステムではあるものの、一度理解さえしてしまえば大抵の敵は手玉に取れる!

 『FF8』もそうでしたけど、私こういう「複雑だけど一度掴んでしまえば面白い戦闘システム」って大好きなんですよ……

 正直に言ってしまうと、逆に私はEP1の戦闘システムがそこまで好きじゃありませんでした。確かに迫力はあるけどスキップできないからやたら長く感じる必殺演出。しかし必殺を連打しなければ倒せないぐらい妙に強い雑魚敵。こちらのブーストを強制的に上書きして割り込んでくる敵のブーストなど……個人的に結構不満点の多かったEP1の戦闘システムをEP2はいい感じに進化させてくれています。

 EP1は回復するたびにやたら長い演出を見せられていたところがEP2ではスキルの発動演出はスピーディーになり、敵のブーストがこちらのブーストを上書きしてくるとこまでは変わらないものの、「敵のブーストゲージ」が可視化されたことで「そろそろ敵が割り込んでくるかもしれない」という予測を立てて戦略を練ることができたり、EP2の戦闘は着実に前作の反省を踏まえた点も多いと感じます。

 いや、まぁ結果的に戦闘前のロードで気持ち的にはトントンだろと言われたら何の反論もできないのですが……。しかしそれでも私はEP2の戦闘システムが好き! なんならゼノサーガシリーズ通しても戦闘システムに関してはEP2が一番好き!!

 しかもこの戦闘システム、勘のいい方は既にお気付きかもしれませんが、明らかに後の「ゼノブレイド」シリーズに受け継がれるあのブレイクダウンアッパースマッシュ戦闘システムのプロトタイプの空気を感じさせる!

 あちら側では少しMMOっぽい改良を加えられてはいますが、まさかあの戦闘システムの前世がこんなところにあったとは……こういう発見がやはり「シリーズ作品を遊ぶ」ということの面白さだと思います。

 そしてついにEP2からシオン・ウヅキの兄こと「ジン・ウヅキ」が本格参戦! 日本刀で機体を叩き斬る! いかにも裏切りそうな佇まいとCV田中秀幸! …………スクウェアはどう思ってるんだよ!?

 一応EP1の時点で存在そのものは示唆されていた(というか一瞬登場)のですが、ついにここで本格参戦。ナムコのゲームなのに明らかにスクウェア産っぽいキャラが当然のようにパーティーメンバーとして加入。もう何もかも無茶苦茶や。ここまで来るともういちいち大げさに驚くことすらできない。

 そしてEP2から「A.G.W.S.」に代わり登場した新たな機体「E.S.」のデザインもめちゃくちゃカッコいい。EP1はゼノギアスに比べるとややロボット要素が抑えられていた(当社比)のですが、そこはやっぱりゼノシリーズ。今作からちゃんとロボット戦闘もしっかり組み込まれます。

 正直EP1のA.G.W.S.はシナリオにもそこまで絡まないし、実際の戦闘でも序盤は役立つけど終盤はぶっちゃけ生身で戦った方が強いような気がするし、何とも言えない扱いだったので、E.S.のカッコ良さもこの辺の反省を活かしている……ような気がします。

個人的にはやっぱりE.S.アシェルが好きです。

 確かにEP2そのものの気になる点は多いですが、所々にちゃんと光るものはあります。特に戦闘システムの出来の良さは間違いないし、「後のシリーズに反省として、良かった部分として受け継がれる点」が割と多くて、「ゼノサーガ」もとい「ゼノ」シリーズ全体で見た時に結構面白い存在感を放っているタイトルだと感じます。いや、もちろん良い意味で。

 あとまぁ何だかんだでEP2のKOS-MOSさんのデザインも結構良いと思いますよ!? 確かにもう顔はどうにもならんけど、「ボディの一部がクリア素材になっている」という点はかなり奇抜かつKOS-MOSのメカメカしさと神秘性が融合したナイスデザインだと思いますし、何よりいつものポッドがバイクに変形してE.S.ディナと合体するギミックに関しては瞬間最大風速でゼノギアスを上回っていると思います!!

 願わくばこのKOS-MOS ver.2の「イラスト」のver.をもっと見たい! というか「ゼノサーガ」シリーズ全体にこれだけは言いたいのですが、もっと「イラスト」推しても良くない!? もっと……田中久仁彦絵とCHOCOお父様の絵を見せてくれ!!

 ……はい、今年のコミケでCHOCOお父様のサークルに行きます。


ゼノサーガ エピソードⅢ
[ツァラトゥストラはかく語りき]

 ついにやってきたゼノサーガ最終章。このEP3で最も特筆すべき点は、「EP1とEP2の良くなかった所がちゃんと反省として活かされている」……つまり、「反省の集大成」とも言えるタイトルになっている!

 この「シリーズ三部作を一気に遊んでちゃんと1作目と2作目の反省が生かされた3作目が出てきてなんかもうそれだけで感動しちゃう」現象、1作目でシナリオは良かったけど戦闘がキツくて、2作目で戦闘は良くなったけど今度はシナリオが変になって、3作目でやっと両方のバランスが取れた『FF13』シリーズでも一度味わった感動ですね……。

 まずはやっぱりCGモデル! EP1のちょっとアニメっぽさがあるモデルを正統進化させたこの愛らしさ!!

 絶対これEP2の時と別の人連れてきてますよね?

 このCGだけどアニメっぽさを感じさせるEP1、EP3のモデリング、個人的には『ゼノブレイド2』のあの齋藤将嗣氏のデザインをそのまま立体に起こしたようなモデリング技術に受け継がれているのではないかと睨んでいるのですが……真相はモノリスソフトにしか分かりません。

 さらに戦闘開始時のロードも爆速! 普通のRPGと比べても明らかに爆速すぎて流石にちょっと面白い!!

 そして「ゼノサーガ」シリーズ全体を通しての問題点だった「少しムービーが多くて退屈」という面に関してもある程度の会話はフルボイスメッセージウィンドウにすることで解決! 

 ここは多分賛否両論あるところだと思うのですが、個人的にゼノサーガのシナリオが難解になりがちな理由のひとつに「ムービーが多い分テキスト量が少ない」という点があると思っていました。一応EP1では専門用語解説ページがあったため、ある程度はそこでフォローできていたのですが、それすらなくなったEP2は特に顕著。

 一方、EP3はメインストーリーのメッセージウィンドウと街中のNPCの会話も含めてかなりテキスト量が増えており、これまで以上にストーリーに追い付きやすい! というか何か全体的に「分かりやすく伝えようとする努力」をひしひしと感じる!!

EP1の弱点だった「風景が暗いしBGMも少なくて何か虚無<シャバ>い」も解決
(ここはEP2で既にちょっと直ってた)

 すごい……すごいよゼノサーガ……何かもう3本も一気に遊ぶとそれなりに「シリーズそのもの」に愛着が湧いてくるし、面白い面白くない以前に「ちゃんとしている」ということに感動してしまう。

 ゼノサーガ……あなたやればできる子だったのよ……!

 EP3に関しては「ゼノサーガがちゃんと面白いゲームになってる」だけで謎の感動が起きてますからね。あぁ、ついに言ってしまった……。

 さらに戦闘システムもEP2から刷新され、より遊びやすく進化。いや、個人的に戦闘システムに関してはEP2の方が断然好きなのでそこだけは譲りませんが、確かにEP2の戦闘は1度の雑魚戦に結構時間がかかるし、サクサク感と遊びやすさはこちらの方が上やもしれません。

 EP2ではただ物理攻撃とエーテル攻撃を使い分けるだけでやや単調だったE.S.での戦闘も、「アニマの器」による覚醒と必殺技のシステムが追加されたことで戦闘にメリハリと駆け引きが生まれた。いや、こうして改めて列記するとマジでちゃんとダメだったとこ直してて偉すぎる……。

 そしてこのEP3から新たに追加された「敵のブレイクゲージを上昇させてブレイク状態にすることでスタンと大ダメージを与えるチャンスが生まれる」という新システムの恩恵を最も受けた男がひとり居る。

 その男の名、「Ziggurat8」もとい「ジギー」。

 彼はEP1から引き続き登場していたメインキャラクターのひとりで、EP1の頃から「体力が多く強力な物理攻撃を繰り出す」というゴリゴリのアタッカーキャラとして設計されていた。

 なので、まぁ別に特筆して弱いとかそういう訳ではない。しかし、何かと華やかさの面でアタッカーキャラにはKOS-MOSとかJr.とかジン兄さんを選んでしまったし、結局そんなに使うことはなかった。しかも本人が普通に人格者だからリコみたいにネタにもしづらい。

 しかし彼の境遇はこのEP3で激変する!

 その要因こそ、この「チョーク」
 えっ、さっきもうT-elosさんがチョーク決められてる画像貼ってたって? すいません、あまりにもジギーのスクショ撮ってなくて首絞めてる写真しかありませんでした。

 この「チョーク」という技、「HUMAN属性の相手にブレイク大の攻撃」という性能となっており、察しの良い方はもうお気付きかもしれませんが、ジギーがひたすら首を絞め続けて相手の首をへし折ることでブレイクするのがEP3の定番戦術となっています。なんちゅう治安のゲームだよ。

 「HUMAN属性」の相手の首のみを絞めることしかできないので、流石にグノーシスや機械の相手の首をへし折ることは不可能なのですが、何だかんだボスは人間の方が多いのでチョークが大活躍します。チョークが大活躍するゲーム、怖すぎるだろ。


 なんと我らが主人公のシオンの首を絞めることすら今作では可能となっている! いや「可能となっている!」じぇねえわ。なんちゅうゲームだよ。

 しかもこれ面白いのが、別にEP1からEP2の間にそこまでジギーに関節技のイメージはないところなんですよね。急にEP3で生えてきた関節技がめっちゃ強くてありとあらゆるHUMANの首をへし折るマシーンと化してしまった。お前そんな殺戮アンドロイドみたいなキャラじゃないだろ!!!

 ……話を本筋に戻しましょう。EP3ではなんとついに話の主軸が「シオンとKOS-MOS」に戻っている! いや、一応これまでも主人公はシオンとKOS-MOSだったはずなんですけどね。サクラとルベドとアルベドでゲーム丸々一本使い切ったEP2の迫力がすごすぎたんや。

 EP3はシオンの幼少期……もとい過去のミルチアで話が進行する。

 ここでシオンの幼少期の秘密、グノーシスが呼び出された理由、EP1から登場していた謎の外套の男たち「テスタメント」の正体も明かされていく。

 私がEP3で最も好きなのは「バージル」と「フェブロニア」のふたり。EP1の最初でKOS-MOSに誤射されて死んだはずのバージル中尉と、EP1からちょくちょく登場していた割に「シオンと関係があるらしい」ということ以外何も分からなかったフェブロニア。

 EP3はEP1の最初にやる素振りだけを見せて明後日の方向へ飛んで行ってしまった「人間とレアリエンの未来」を改めて書き直すストーリーでもあると感じているのですが、シオンとKOS-MOS以上にそのテーマに迫っているのがバージルとフェブロニアのふたりだと思います。

 本来はレアリエンを始末するために送り込まれたはずの連邦の兵士と、そんな傷だらけのバージルの治療を必死に行う半分人間半分レアリエンのフェブロニア。初めは立場の違いからフェブロニアを拒絶していたバージルも、徐々にその献身的な姿に見せられて心を開いていきます。

 逆になんでこんな良い人が最初に誤射されなきゃいけなかったんですか?

 流石にバージルが良い人過ぎて若干面白くなってしまいますが、それでもこのふたりの関係性はゼノサーガ屈指の良さだと思います。

 しかしここは過去のミルチア。第三次降下作戦によってレアリエンたちが次々と暴走し、フェブロニアはバージルと幼いシオンをかばって死亡。そんな悲劇の過去からテスタメントと化したバージルとフェブロニアの最後のシーンは、ゼノサーガ全体を通しても屈指の名シーン。

「俺は、お前を救えなかったんだぞ────」
「いいえ、私はあなたに救ってもらったわ。想いを交わすことで、世界の色は変わるんだって教えてもらった。それだけで十分よ。」
「お前は……俺を恨んでいないのか? 俺に関わらなければ、こんな事にはならなかった。お前だって────」
「そうだ、俺の望みは──── フェブ─────」

ゼノサーガ エピソードⅢ[ツァラトゥストラはかく語りき]

 テスタメントと化した人間は誰も彼も「現実を拒絶して逃げた人間」であることがEP3の終盤で言及されますが、まさしくその愛する人を救えなかった現実を拒絶してテスタメントとなったバージルが、フェブロニアからの「私はあなたに救ってもらったわ」という救済の言葉をもって幕切れを迎える。

 冷静に考えてみればEP1の序盤であっさり退場したキャラとEP2まで何も情報が開示されなかったキャラが最終作でいきなり過去が明かされてくっつくとは恋のアクロバット飛行もいいところですが、実際良いシーンなので仕方がない。

 このように、EP3では「EP1とEP2では何も分からなかった要素」がかなりの数回収されます。いや、これがほんとにめっちゃ回収されるのがすごい。EP2が「もうこれどう決着付けんだよ!?」としか言いようがないぐらい膨らませるだけ膨らませて終わったのに、ちゃんと大体回収して終わる。

 EP1から主人公のシオンとKOS-MOSを差し置いて主役ばりの話を展開し続けてきたルベド、アルベド、ニグレドのU.R.T.V.勢にもちゃんと決着がつく。

 そもそもこの「アルベド」というキャラクター、キャラクターとしての位置エネルギーはEP1でほとんど尽きているようなもんなのに、その狂気的な振る舞いやカリスマ性でEP3まで大体の美味しい所を持っていった凄まじいキャラクター。

 ややゼノギアスDisc2のあのグロテスクな空気を引きずっていたあのEP1のから徐々に「ゼノサーガ」として、「アルベド」としての方向性が定まり、EP3ではあの時のようにルベドと協力して、U.R.T.V.の元凶でもあるディミトリを最初の連結実験と同じ方法で撃破する。そう、まさにあの時と構図。今度はルベドも、アルベドの手を離さない。

 正直、この「アルベド」というキャラクターをちゃんと最後まで描き切っただけで「ゼノサーガ」を3本作った意味はあると思います。

 EP3の主題とも言える「現実の拒絶」。これをルベドに切り離された時……EP1から抱えていたのがアルベドだとしたら、そんなアルベドがテスタメントになって、そして最後にルベドとニグレドと手を繋げたことにより救済が与えられ、満足気に消えていった彼こそ、ゼノサーガで最も救われたキャラなのかもしれません。

 書いている内に気が付いてきたのですが……いや私は基本的に下書きとかしないのでいつもライブ感で書いてます。マジで今気付いたのですが、EP3はEP1とEP2で描かれてきたキャラたちのそれぞれの「救済」の物語でもあるのかもしれません。まぁ、ゼノサーガの最後なのでちゃんと良い感じの終わりが用意されているのは当然と言えば当然なのかもしれませんが…

 世間的には「世界を大混乱に陥れた狂人」と呼ばれている自分の父、ヨアキム・ミズラヒとついに出会い、その真意、そしてその愛情を知ることができたモモ。

 単なるシタン・ウヅキのオマージュキャラに収まらず、「誰よりも臆病で誰よりも人間を理解できない」という苦しみを抱え、最後には妹のシオンと和解し、満足気に散って行くジン兄さん。

 そしてやっと主軸に据えられたKOS-MOSも、シオンとアレンに対し「開発者とアンドロイド」として、「仲間」として、EP3まで走り抜けてきた分の愛情が芽生えていた。ゼノサーガ自体はめっちゃ長いし凸凹も多いけど、それ故にこういう積み重ねの物量で殴ってくるところは強い!

 EP3の面白さは間違いなく単独で完結している面白さではなく、EP1とEP2があった上での「積み重ね」の面白さなのだろう。EP1とEP2が何か色々凸凹してたからそういう意味でもシリーズ全体への「愛着」が湧いちゃってる状態で、これをぶつけてくるのがゼノサーガEP3の強さであり、最大の魅力。

 「なんだかんだ3本遊んで良かったな」と、最後の最後に気持ち良く思わせてくれる。ゼノサーガを遊んで、本当に良かった。「客観的に面白いか面白くないかはさておき、長いこと遊んでると何か愛着が湧いてくる」というゲームの利点を最大に活かしたタイトルと言っても過言ではないのかもしれません。過言かもしれません。

 とにかく、『ゼノサーガ』は『ゼノギアス』にも『ゼノブレイド』にも引けを取らないゲームだと思います。特に「愛着」の点に関しては。FF14もそうだけど、私ってこういう「年月」そのものをぶつけてくるゲームに弱いんですよ! ゼノサーガ、ありがとう!! ゼノブレイド3にも……期待していいんだよな!?


おわりに

記事の見出しにも使ってますけど、この絵がめちゃくちゃ好き。
これEP1の頃の絵ってマジ?

 えっ、何?

 EP3の異様なゼノギアス濃度とかなんぼなんでもすぎるシオンの態度とかT-elosさんの悲惨な扱いに言及しないまま良い感じに終わらせようとしてる? EP2のあのフィギュアに言及してないからやり直し? ハッハッハ、それもまたゼノサーガだね。

 あ、でもマイはもっと出しても良かったんじゃないかな!?

公式サイトにキャラ紹介あるんかい!!!

 改めてシリーズ全体で考えてみると、Disc2で何か色々な物が追い付かずアレな感じになってしまった『ゼノギアス』の反省を活かし三部作として作り、色々な失敗をしつつもちゃんとEP1とEP2の弱点を解決して、最後のEP3で大輪の華を咲かせたのが本当に「偉い」ゲームだと思います。

 何か上から目線の言い方になってしまってモノリスソフトには申し訳ないけど、本当にもう「偉い」ゲーム。

 EP1でブーストシステムが作られて、EP2でブーストとさらに相性がいい戦闘システムが作られて、EP3でそれらを良い感じにまとめた戦闘システムが出てきて……今は戦闘システムを引き合いに出しましたが、それ以外の部分も3作の間に地道な改修が重ねられた結果として、このEP3の完成度の高さ。

 私は「ゲームのシリーズ作品を一気に遊ぶ」ということをちょくちょくやっていますが、ゼノサーガでは「シリーズを通して遊ぶって、こういう地道な進化を発見できる面白さがある」ということを再認識しました。

 いや、まぁ流石に今いきなり三部作やってみてと言うのは流石に私も憚られるところはありますが……この記事から『ゼノサーガ』が気になって遊んでくれた方がひとりでも出れば、私としては何の悔いもありません。

 そして今回のMVP、あんなに死にかけてたのに縦置きにしただけで息を吹き返した俺のPS2に最大の感謝を。合掌。

 それではみなさま、次は惑星ミラでお会いしましょう!
 
 シオン、ゼノは私を癒してくれますか……?