FFに原点などない
FFの原点って…………何だと思います?
結論から言うと私はFF1をクリアしましたがよく分かりませんでした。
以前「FF16は初期の王道ファンタジーFFシリーズに原点回帰しているようだ」という記事を見かけたのですが、今回はそれに対するカウンターに近いかもしれません。
Yahooに喧嘩売っていけ。
もし「初期のFFシリーズ」の範囲をFF1〜FF6までだとしてもFF2の時点で「大戦艦のエンジンに太陽の炎をぶち込んで大爆発させる」という展開が発生するし、もう王道ファンタジーが何なのか分からなくなる。
FF3に関しては他のFFに比べるとまあ比較的大人しい方なのだが、ラスボスの暗闇の雲は宇宙戦艦よろしく「波動砲」を連打してくるし、本編では延々と「光の戦士とは何か」「無とは何か」というFFの根幹の設定に関わるような話をし続けるから結果的にFF講座みたいなゲームになっている。
ここでFF3大先輩が「光の戦士とは何か」を再定義したハズなのに次のFF4は主人公が光の戦士もクソもない「暗黒騎士」と化す。
しかも最終的には宇宙にぶっ飛んで行くし敵は次元エレベーターを使って月から地球に乗り込んでこようとする。
折角FF3大先輩が「FFと言ったら光の戦士」というイメージをもう一度刷り込んでくれたのにFF4は即座にそれを粉砕する。
FF5ではもう一度光の戦士系FFに戻るのだが、「第一世界」と「第二世界」を行き来するこれまでにないスケールの話が展開されるし、何と最終的には第一世界と第二世界が合体して「第三世界」になったりする。
これまでのFF2、FF3、FF4はどうしても話が重くなってしまいがちだったのだが、それを改善するためかFF5はもうとにかく明るい。
というかどんな危機的状況でもクソみたいなコントをおっ始めるからこっちが「こんなにゆるくていいのか…?」と不安になるぐらいにはFF5は明るい。
最後のファイナルドットファンタジーことFF6はもう初手からフルスロットル。
世界からはもうとっくに魔法が滅びており、鉄や火薬や蒸気機関が世界を支配するスチームパンクワールドと化している。
しかも途中でオペラが始まるしキャラクター達は突然戦闘中に小芝居を始めるしFF6はもうゲーム自体がもうとにかく情緒不安定。
…………いやいくら何でも毎回毎回違いすぎる!!!
とりあえずFF1〜FF6のドットのファイナルファンタジーまでを「初期のFFシリーズ」の範囲として並べてみたがどれもこれもバラバラ!
FF3とFF5は確かに雰囲気だけならば近いかもしれないが実際に遊ぶと中身は全く違う。
FF2とFF4も同じ「帝国と戦うFF」ではあるかれもFF3・FF5と同じように中身は全く違う。
一応FF1〜FF6までは「奇数光の戦士FF、偶数帝国と戦うFF」という分け方も出来るのですが、次の全世界で1000万本売れたあのFF7でその伝統すらも完全に粉砕されます。
一体何が原点なんだ!?
FFの原点って何なんだ!?!?
何を原点とすればこんなめちゃくちゃなシリーズになってしまうんだ!?!?!?
そもそも、何故ファイナルファンタジーが「ファイナルファンタジー」という名前なのかみなさんはご存知でしょうか?
その由来は「これが売れなかったらスクウェアがファイナル(倒産)だから」らしいのです(ただこれは坂口博信本人から「確かに当時は背水の陣だったけど、正直Fから始まる単語なら何でも良かった」という発言が出ているため話半分で聞いて下さい)
そう、これが売れなかったらスクウェアは一巻の終わり。
絶対に売らなければならない。
ファイナルファンタジーにスクウェアの全てを賭ける!これこそがスクウェアの生死をかけた全身全霊ファイナルファンタジーだ!!
が。
FF1にはリンクの墓が立っている。
えっ?どのリンクって?
あのリンクですよ。そう、あれあれ、あのスマブラにも参戦してるリンク。
任天堂の大スターでブレスオブザワイルド2どころかゼルダ無双も控えてるあのゼルダの伝説の主人公リンクですよ!
いや何でこれが売れなかったらスクウェアがファイナルのゲームにリンクの墓が立ってるんだよ!!!
……みなさんも、もうFFの原点が一体何なのか分からなくなってきましたよね?
「何故FF1にリンクの墓が立っているのか?」という疑問をお持ちになった方も居るはずなのでちゃんと解説すると、そもそもこの問題はゼルダの伝説側が発端となっています。
ファミコンの「リンクの冒険」というゲームに、ちょっとしたおふざけであのドラゴンクエストのロトの墓が立っているのです。
まあこれは任天堂の小粋なジョークですよ。
それを見たFFがリンクの墓を立てたのがこの一連の騒動の流れです。
めでたしめでたし。
……………いやちょっと待てよ?
そもそもリンクの冒険が立てた「ロト」の墓はドラゴンクエストのキャラクターで、当時のドラゴンクエストはエニックス制作。
まだ当時はスクウェアとエニックスが合併してスクウェア・エニックスになる前。
そしてそのリンクの冒険のロトの墓を見たスクウェア制作のFFが敵討ちとばかりにリンクの墓を立てた。
……いや何かおかしくないか!?!?
そう、このリンクの墓、簡単に説明すると「任天堂がエニックス制作のドラゴンクエストのロトの墓をゼルダの伝説で作ってそれを見たドラゴンクエストと何も関係ないスクウェアが何故か突然横から割り込んできて勝手にリンクの墓を立てた」という意味不明な状況なのです。
どういう事???
いや説明してる側もよく分かんないですからね。
これが売れなかったらスクウェアがファイナルのゲームで自社と全然関係ないドラゴンクエストの敵討ちとばかりに任天堂に喧嘩売りに行く精神は私のような凡愚には一切理解出来ません。
もうこの時点で「ファイナルファンタジーの原点」が崩壊しているような気がしますが、まだFF1の話は終わっていないのでもう少しお付き合いいただきます。
腐ってもFF1はやはり原初のファイナルファンタジー。それこそ王道ファンタジーと言えば王道ファンタジーなのです。
主人公達は光の戦士として世界に4つ存在するクリスタルの輝きを取り戻すべく旅に出る。
その道中で海賊を倒したり、エルフの街に寄ったり、海底神殿に行ったり………思ったよりもちゃんとファンタジーしてます。
どうしても抑えきれずにちょいちょい機械の敵が出てきたりするのですが…一応「ロストテクノロジーは原則ファンタジーに含まれる」というルールもあるそうなのでこれはまあギリギリファンタジーの範疇でしょう。
まあ、結局宇宙行っちゃうんですけどね。
お前はいつもそうだ!FF4でもFF7でもFF8でもFF9でも隙あらば宇宙に行こうとしやがる!
ファイナルファンタジー(映画)に至っては宇宙行きたすぎて最初から宇宙だし!!
FF1はあんなに頑張ってそこそこ王道ファンタジーしてたのに最後の最後にいきなり宇宙に来てしまう。どう考えてもいきなり宇宙に来るようなファンタジーは王道ファンタジーではない。
そして、FF1は最後の最後にプレイヤーに衝撃の事実を告げる。
そう…
2000年の時を超え
戦っていたのは
君なのだから。
つまりFF1、ユアストーリーなんですよ!!!
分からない人のために超簡単に説明すると「FF1の主人公の4人は現実世界の自分自身がFF1世界に光の戦士として転生した姿であり、ラスボスのカオスを倒した事で現実に戻る」というストーリーだったのです。
こんな原点があってたまるか!!!
さて…みなさんもFFの原点が何なのか分からなくなったでしょう?
このままモヤモヤしたまま返すのも何だか申し訳ないので、自分なりに頑張って「FF」というシリーズを解釈してみたのでこれでも聞いて何となく気持ちだけでもスッキリして帰って下さい。
多分「FFとはこうである」が存在しないのが「FF」なんだと思います。
1、3、5の光の戦士FFも2、4、6の帝国FFも、もっと言えばFF1〜6より後のFF7から続くファイナル野村哲也ファンタジーも、FF12やFFTを筆頭にするイヴァリースアライアンスでお馴染みのファイナル松野泰己ファンタジーも、FF14だけでなくFF16まで控えているファイナル吉田直樹ファンタジーも。
この全てが全くと言っていいほどバラバラで統一感がない。
でも一番最初のFF1の時点でリンクの墓立てたりユアストーリーしたりしてる時点で「FFとはこうであれ」と縛り付けるような鎖なんか何にも無いから、もう「FF」って名乗っちゃえば全部「FF」になるんですよね。
天野喜孝が絵を描こうが野村哲也が絵を描こうが植松伸夫が音楽を作ろうが田畑端がゲームを作ろうが吉田直樹がゲームを作ろうが松野泰己がゲームを作ろうが坂口博信がゲームを作ろうがもうファイナルファンタジーって名乗ったら全部ファイナルファンタジー。
この何者にも縛られずにやりたい事全部やっちゃう自由さがファイナルファンタジーがナンバリングだけで16本も出る長寿シリーズとなった要因の一つでもあると思います。
つまり、原点がどこにも無い事こそがファイナルファンタジー最大の強みなのです!!!
……スッキリしました?