BLだけにある無限の計算式。彼が彼に惹かれた理由〜百合と薔薇vol.1感想〜

Reading♡Stage『百合と薔薇』

2020年6月20日21日の2daysで配信。

いやぁ面白かった!!

アキラのピュアな恋心を軸にリズミカルに展開するストーリーといい具合に挟んでくる笑いのバランスが素晴らしい脚本。川尻さん流石。

どうしても”同性同士の恋”というものを題材に描かれるものは、書き手のそれに対する「考え方」が出る。それがオーディエンスが好ましいと思うから思わないかがはっきり分かれるジャンルと言っていいと思う。何気ない彼らの発する台詞の端々に”それ”が現れる。

それは作品の作風によってさまざまだが、必ずこの恋が恋なのだと知った彼らはそれが世間で言われる”マイノリティ”であるという側面と戦わなければならなくなる一面は起承転結の中で避けて通れない。彼らの内に秘めたる大きな思いと外から見た時のそれへの賛否。相手が返す答え。そこにたったひとつの恋が生まれるか死んでしまうかどうか。1か0の結末に恐怖を越えなければならなくなる。この描写は避けて通れない。相手に否定されるのではないか、軽蔑されるのではないかという心の戦いから始まるのだ。それをいかにして乗り越え、思いを伝えようとするのか…時にその真剣な思いさえ冗談にして言ってみたりしながら…軸となるひとりずつの青年のひたむきな心を垣間見る言動に必ず感情移入させられる。

私が思うBLの魅力を簡潔に言ってしまうとそこに尽きる。

ひと、ひとりひとり違う、それが恋の話。世界にひとつだけの物語。それは男同士でも女同士でももちろん男女でも、ひとつひとつが違うだろうが、心のハードルが高い同性同士の恋の話だからこその読めない展開にドキドキがある。

それが演じられるとき、声と体、生きる熱を持ち、リアリティが生まれる。


「好き。」

たとえばその同じ台詞を発しても、役者ひとりずつ違う色を持つ。もともと持っている性格から生まれる感情の動かし方による声と表情という個性そのものも引き出され、そして演出で彩られる。

彼らにしかない産むことが出来ないその過程はひとずつ美しい。同じ答え=物語の終わりにたどり着くとしても、ひとつずつ違う計算式をイメージさせてくれる。それが面白く、彼と彼だけがつむぐそれに魅力を感じたとき、いつのまにやら心奪われてしまう…そのきらめき…

それはキャスティングによって無限に生まれる。


1dayの荒巻くんのヒカル✖️有澤くんのアキラ→

ヒカルはクールで容姿端麗という外見の中に持つオカルトマニアさが感じられ、不思議ちゃん?というようなふわりと透明な空気を持っている感じ。

対して

アキラは明るく竹を割ったような真っ直ぐで爽やかな性格の青年に見えながら心はとても繊細。そんな雰囲気を感じ。

…外見にも惹かれていたのだろうし、お話の中でさらに趣味を知ってさらに興味を持って近づくことが出来た…そんな風に感じられて。


2dayの北園くんのヒカル✖️流司くんのアキラ→

ヒカルはクレバーで大人っぽく振る舞いもスマートそうな容姿の中に、好きなものにはすぐ熱くなってしまう少年さを持っていて心許せる相手にはそんな自分を知って欲しそう…そんな感じ。

対して

アキラは人懐っこく可愛らしさいっぱいで裏表なく惜しみなく感情を表せて愛される輝きを持っているが、1番大切にしている相手への気持ちが壊れることには怯えてしまう…でもなんとかして成就させたい…そんな感じ。

…アキラはヒカルの成熟したカッコよさにずっと憧れていた…でもオカルトの話になると身を乗り出してくる子供さを知ってシンパシーを感じ、より惹かれていく…そんな風に感じられて。

これは個人的な感想。

こういう個人的な感想が観るひとそれぞれにまた無限に生まれるわけで!!


Reading♡Stage『百合と薔薇』での役者さまたちのバランスが2daysそれぞれに違って、どちらも良くて驚きましたって話です。

平たく言うと…

ちゃんと、お似合い♡

プロね〜!!

もちろん、美形すぎてびっくりするほどの阿久津くんと小西くんの、有名人であることも含めてとんでもなく葛藤し続けるユーキャスの姿は大きな枠になっていて、どちらもその切なさに心苦しくさせられる存在感がとても素敵でした。

堤監督、そして制作のおとなの皆様、やはり凄。でした。好みが分かれるカテゴリーですが…

…好みました!!


彼が彼に惹かれた理由。そこに説明はない。

説明がつかない、それが恋。

この彼はこの彼のこんなところにきっと惹かれたんだな…そしてここできっと気持ちに気づいて…気持ちが動いたんだろうな…

そんな恋にしかない、宇宙のような不可思議な心の広がりと繋がりが描かれた物語は、それをオーディエンスにたくさんのことを想像させてくれる。

ひとりひとりが違う色を持つ役者さまたちの美と個性とお芝居力!!に、感服いたします。

ゆりばら、またやってほしいな…

次はまた舞台で…!!

「キスはキスとして出来る日を…」

との堤監督の言葉!ほんとそうですね!



こんな呟きを読んでいただき、ありがとうございました♡





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?