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よもぎと小さな友だち 3



そこへ着くまでに、

君は凍えやしなかったかい?

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それとも、

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鳥たちと一緒にいたから、雲の上を飛んで来たんだろうか。

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「迷子になっちゃった」

洞窟の奥を眺めていた君は、
ぼくに気づくと困ったように頭をかいた。

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道案内なら任せて。

君は差し出したぼくの手をぎゅっと握った。

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ケープを羽ばたかせて、岩肌に沿いながらすいっと飛び上がる。

なんてことはないんだよ、いつものことだからね。

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ハイタッチをしてくれるほど君は困っていたし、
とっても喜んでくれた。

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今度は君がぼくをおんぶする番。
君の肩は僕のおしりにぴったりで、絶対落ちない自信があるよ。

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君はおとなを探していたけど、もう探すのはやめたのかな。

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崖の先には大きな洞窟が広がっていて、
ここにはいろんな生き物が暮らしている。

海月に茸に鳥の群れ。蝶々もいるよ。

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そして大きなお魚さん。
静かな洞窟に大きな鳴き声を響かせて、雲の海を泳ぐんだ。

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「あの子を飼いならせるとおもう?」

あんなに大きい子が、ぼくらの言葉を聞いてくれるだろうか?

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君は探検してる途中だったね。

二人ならどこへでも行けそうだ。

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「探検て、そんなに難しいものじゃないな。
 住む場所を探すとなるとそうもいかないけど。」

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海月たちはね、聞こえないくせに大きな声で。

それでいてみんなで歌うのが大好きなんだよ。

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洞窟の奥には蝶々のすみか。

君は大喜びで蝶々の群れの中に飛び込んで、

前に居た星のことを少しだけ教えてくれた。


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「上に何があるか、見に行こう!」

君の笑い声につられて、蝶々たちは喜んでぼくらを押し上げる。

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こんなに高くまで来ちゃった。

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上に、上に、どんどん昇ろう。

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ほら、あそこが出口だよ。

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君が座ったので、僕も座る。

そしてぽつぽつと君が話しだした。

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「僕が知ってる先生は、花のにおいをかいだこともないし

 星をながめたこともない。

 だあれも愛したことがなくて

 してることといったら、足し算ばかり。

 そして日がな一日、なんども口ぐせに言うんだ。

 『大事なことばかりで、いそがしい、いそがしい!』

 それでいばりくさってるんだ。



 でも彼はひとじゃなくて、」

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あはは!それはたしかにキノコだ!

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「楽しかったね!」

弾むような気持ちで僕らは出口へ向かった。

けれど君はなんだか真剣な顔をしてて。

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なんだかむつかしい言葉を残して、

君は渡り鳥たちと一緒に、光の方へゆっくり飛んで行った。

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またね。

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バラさん、今日は友だちと洞窟を探検したよ。

彼は友だちを探していたけど、それは君のことなの?

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ぼくがそう尋ねると、

またバラが眩しいくらいに輝いて、ぼくを思い出で包んだんだ。

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どうして君たちは、

嬉しそうなのに、

寂しそうなんだろう。








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※補足のきのこ



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