追慕の季節とグリーフケア

※注意。本記事は「Sky星を紡ぐ子どもたち」で開催されたイベント、追慕の季節のネタバレを含んでおります。ぜひご自分で体験されてから読んでいただけると幸いです。

追慕の季節。
それは喪失感と悲しみに暮れた精霊たち、彼らがまた1歩踏み出す過程を体験するものであった。
精霊たちには皆、激動の時代を通じて大切な誰かを亡くした過去があり、それは記憶の解放で知ることができる。

星の子が彼らにしたことは、彼らに関連する記憶の燈(いわゆる書庫のキューブ)を探し出し、それで復元したアイテムを彼らの過ごすスペースに飾る、という至ってシンプルなものである。

実際、私たちは誰かを失い悲しむ人たちにどう接するだろうか?
「早く元気を出してね」「泣かないで」と声をかける?
……そう言う言葉に込められた優しさは感じるだろうけどね。

さて、このような状況の精霊たちに、星の子がしてあげられることは何だったのか。

その答えは、追慕の季節を体験した星の子たちなら、その身で、過ごした時間をもって知っているはずだ。


「グリーフケア」


「グリーフ」とは、死別を経験し、悲しみや喪失感に打ちのめされそうになる気持ち。またそこから立ち直ろうとする気持ちの間で揺れ動いている状態、それに伴い出てくる体の不調のこと。
そのような状態の人物が立ち直るためのケア、誰かがその人に寄り添いてだすけすることを「グリーフケア」と呼ぶ。

https://www.grief-care.org/about.html
↑詳しくはこのリンク先を読んで頂きたい。

読んだ程で要約すると、

  • 遺族は心理的、社会的に孤立しやすく、悲しみを独りで抱えることになる。

  • グリーフの状態は心身に不調をきたし、日常生活を送るのも辛いものである。

  • (日本人の場合)ショック期→喪失期→閉じこもり期→再生期を経て立ち直っていく。

  • グリーフケアに必要なこと…グリーフという状態を知ること、悲しみを表に出し整理すること、誰かの助けを受けること

そしてこちらのリンクより
https://e-stories.jp/faq/grief-care/

  • 遺族の感情や行動、また遺族に傾聴し受け止めること

  • 充分悲観していない状態で新たなことに挑戦させようとしないこと

要は「悲しみをありのまま受け止め、充分に悲しみ、それに耐えられるように知識とサポートを受ける」ということである。

「一度立ち止まりその悲しみと向き合うことは、回復への重要なステップです。また、愛する人を失った悲しみからゆっくりと回復していく過程は、自分自身と向き合う時間でもあります。無理せず自分のペースで大切な人の死を受け止めましょう。」
https://www.famille-kazokusou.com/magazine/otsuya/158 より引用

故人を想い悲しむ」という過程は「回復」している途中なのだ。

星の子と精霊の行動

これらを踏まえて、星の子と精霊の行動を思い返してみよう。

追慕の季節開始から約60日かけ星の子がしたことは、精霊の思い出の品を探し飾るという、したってシンプルなものである。
ちなみに遺品というのは、故人のことを追慕するための一つのきっかけ。
ただ、この「約60日」というのは、精霊にとって悲しむための大切な期間だったのではないだろうか。
そして星の子にとっても、この期間は悲しみに暮れ立ち直れない人物がそばにいるという状況だった。

グリーフケアにおいて、悲しみを表に出す、すなわち共有することは大事なことであると当時に、寄り添う側も相応の苦しみを抱くこととなる。
しかし、そばに居るよ、あなたと一緒で悲しいよ、仲間がいることもとても大事である。

星の子は彼らが涙を流せるように少しだけ手伝い、ただ寄り添った。
まるで変化がない約60日、しかし着実に精霊たちは癒やされていたのだろう。

案内人と星の子は彼らの踏み出す場を用意する。
星の子の手を握ったのは紛れもなく彼ら自身だった。
思い出の品を持ち寄り、ここに置いて欲しいと、自分から願う。
互いに思い出に触れて語らうことができる。
彼らはもう自分で歩き出すことができる。

精霊たちの豊かな火は、確かにかき消された。
しかし、小さな残り火に誰かが思い出の風を吹かせ、悲しみの薪を少しずつくべる。
そうしているうちに、また自身を温めるほどの豊かな火へとなったのだ。


おまけの感想

あなたは独りじゃないよ、そのままでいいんだよ、泣いていいんだよ…
AURORAの季節でやりましたね。
コンサートが付箋と化してびっくり。

クエスト最後の書庫マンタはなんだったんだろうなぁ。
マンタも飛んでったし、自分達もそろそろ行くか…みたいなきっかけだったのかな。

なんかこう、特別感がなかったのがすごく良かった。
彼らは激動の時代がきっかけだけど、誰にでも起こりうる大切な人との死別。逃れられないもの。でも、グリーフケアを調べて思ったけど、ずっと悲しみが続くわけではないし、悲しんで良いっていう考えが救いになったや。

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