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よもぎの空飛ぶお手伝い その1


毎日通っていたのに、気づかなかった。

あんなところに雲の道があったなんて!

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素敵なアーチに、金色の風鈴。

鳥さんが話していたのは、これのことかな?



分厚い雲の道を吸い込まれるように進む。

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わっ眩しい!!

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思わずつむった目を開けると、ぼくの前には見たことのない島々があった。

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ここの島はとてもへんてこ!

砂色の山にたくさんの穴ぼこ。

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ガラクタがいっぱいあって、どこからか水が流れてくる。

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真ん中の大きな島には、山をぐるりと巻くように道があって、

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山頂はとても良い景色!

オレンジの花がたくさん、元気に咲いてるんだ。

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なんてへんてこで、素敵な場所なんだろう!


ここならゆっくりできるお昼寝スポットがきっとある。

ぼくはもう少しこの島を探検することにした。



てこてこ歩いて山の麓まで降りると、すごーく真っ白なものがあって、ぼくはまた眩しくて目をつむっちゃった。

ううん、光が集まっていただけだったんだけどね。

目をゆっくり開けたら、そこにはサラサラな長い髪に鳥の羽を差して、服も空の色を取り入れてて、とにかくおしゃれさんがいたんだ。

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はじめまして。ぼくはよもぎです。

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おしゃれさんは、ぼくを見るや否やとても嬉しそう。

ぼくのアフロが気に入った?えへん。
そんなに嬉しいなら、触ってみても良いよ。

そう言うとおしゃれさんはずんずん近づいてきた。
ぼくは自慢の頭に触るのかな、触っても良いと言っちゃったけど初対面だからちょっと恥ずかしいなってドキドキしてたんだ、けどね。



おしゃれさんはそのままぼくの後ろを指差して、

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分厚い雲の壁を開けたいから

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ぼくの飛行能力で、なんとかして欲しいって言ってきたんだ。

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なーんだ。
おしゃれさんが見ていたのはぼくの頭じゃ無くて、素敵なケープだったんだね。


ぼくはぼくでちょっとがっかりしたけど、精霊さんも行き詰まってて困ってるみたい。

ぼくに出来ることなら、お手伝いするよ。



まずは、あそこで光ってる精霊さんにキャンドルを届けるんだね。

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…ぼくの集めたキャンドルを渡せば良いの?

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と思ってたら、おしゃれさんが準備していたよ。

よかったよかった。

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早速届けよう。


こんにちは。キャンドルをお届けにきました。そしてぼくはよもぎです。よろしくね。

初めは風鈴職人さん。
おうちの周りにはアーチに飾ってあったのと同じ風鈴がぶら下げてあって、近くを通るとカランカランって鳴るんだ。みーんなこの風鈴職人さんが作ってるみたい。すごいねえ。
いっぱい咲いてるお花と同じオレンジ色の服がとても似合ってるよ。

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次はどこだろう。

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あそこだ!
びゅーんとひとっ飛びで届けるよ。

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こんにちは!

この方は工匠さん。かっこいい船を作ってるんだって。
いつかぼくの船もお願いしようかな。ふかふかのベットとおひさまを追いかけて進む船がいいな。その時はよろしくね。

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3人目は、誘導手さん…あれ?ちがうの?

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失敗失敗。
慣れてきた頃が一番怖いんじゃよって、ぼくの友だちも言ってたっけ。

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こっちが誘導手さん。
空の交通安全を守りつつ、空のレースにも出てるやり手さん。
イカすケープは誘導する時の目印にもなるんだって。
ぼくも壁にぶつからないように気をつけて飛ぶね。それでもぶつかっちゃったら…たんこぶできるかなあ。

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最後は、光の語り部さん。
光の生物のお医者さんでもある。小さいマンタの鳴き真似がとても上手なんだ。
ぼくも今度から壁にぶつかったらたんこぶできてないか見てもらおう。今後ともよろしくお願いたします。

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終わったよー!

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ちょっと間違えちゃったけど無事にやり切って、おしゃれさんはとても喜んでくれた。

ぼくもなんだか嬉しいや。



ぼくが届けたキャンドルは、失われていた光を呼び戻し、

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風鈴の音が、鳥たちを連れてきた。

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そして鳥たちは雲の壁を突き抜ける。
風の街道にそよ風が吹きだした。



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おしゃれさんがお話ししてくれたんだ。

この街道は、本当はまだまだ広くて、かつてはどこまでも繋がっていた。
たくさんの生き物や精霊さんたちが行き交う賑やかな場所だったって。

ここにいる精霊さんたちは、またそんな場所になって欲しいって。
ぼくもそうなったらいいな、とても素敵だと思うよ。

お昼寝するなら素敵な場所の方が良いよね。







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