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逆らえない少年



青年「やあ、こんにちは、そこの君」
少年「あ、こんにちは…」
青年「死ね!」
少年、喉にナイフを突き立てて絶命する。
青年「何も死ねと言われて死ぬことはないのに…」


青年「やあ、こんにちは、そこの君」
少年「…」
青年「…」
少年、喉にナイフを突き立てて絶命する。
青年「まだ何も言ってないのに…」


青年「やあ、こんにちは、そこの君」
少年「な、なんですか」
青年「なんですかって、ただ挨拶しただけだよ」
少年「僕に死ねって言うんでしょ」
青年「え?っていうか前死ねって言われただけで死んでたよね?なんで生きて…」
少年、喉にナイフを突き立てて絶命する。
青年「何も辻褄を合わせるためにわざわざ死ななくてもいいのに…」


青年「やあ、こんにちは、そこの君」
少年「…」
青年「おっと、また死ぬ前に聞いておきたい。何で君は生き返っているの?そして何で俺と会う度に死ぬの?」
少年「だってあなたはそうお望みになっているんでしょう?」
青年「え?そんなわけないじゃん。」
少年「でも僕に『死ね』って」
青年「本当に死んでほしくて人は『死ね』って言ってると思ってるの?周りに死ね死ね言ってる友達とかいないの?それ聞いてマジで死ににいくバカなんている?」
少年「でも、『ごはんを残さず食べなさい』とか、『ボール取ってこい』みたいな命令にも従わないといけないでしょ?それと同じじゃないですか?」
青年「はぁ…こいつは重症だな。ってか生き返れる理由を説明してくれよ。それが一番疑問なんだけど。」
少年「それは生き返らないと死ねないから。」
青年「『目的』なんかどうでもいいんだよ。『手段』を知りたいんだよ。普通人間は生き返れないものだろ!?」
少年「ひぃっ!ご、ごめんなさい!永遠に死にますから!許してくださいっ!」
少年、喉にナイフを突き立てて絶命する。
青年「まさか人の命令に逆らわないことに尽くしすぎて自分が自然の摂理に逆らっていることに気づかなかったのか…ま、いいや。アイス食べよ。」

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