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自動車学校で出会った恐ろしい女子高生

この春、普通自動車の免許を取りました。

自動車学校の略しかたって、地域差があるみたいでおもしろいですよね。

2~3月に通ったので、めっちゃ混雑しているし周りはほとんど高校生でした。3月上旬の卒業式までは制服で教習を受ける決まりらしく、制服を着た高校生に混じって学科教習を受けるので、久しぶりに自分も高校生になった気分でした。

自己犠牲(?)が過ぎる女子高生

仮免学科試験は、修了検定(教習所内での技能検定)に合格してはじめて受験することができます。修了検定は、1人の指導員に4~6人が合否を判断してもらいます。次に運転する人も後部座席に乗ります。

僕が後部座席に乗っているとき、運転席で検定を受けていたのは、女子高生でした。

僕と同じ指導員が担当する教習生の中に、その女子高生とその仲のいい女子高生、あわせて3人がいました。便宜上、同乗していた子を「女子高生A」、その友達2人をそれぞれ「女子高生B」「女子高生C」とします。

女子高生BとCは、Aに比べて騒がしいタイプの女子高生です。待合室のベンチに座っていても、この2人の膝の向きは、あっち行ったりこっち行ったりしていました。

この3人はいかにも「私たち、ズッ友☆だね!」感がします。(僕の「女子高生」に対するイメージがアップデートされていないか、偏見にまみれているのなら申し訳ないです)

ズッ友☆3人組のうち、先に検定を受けたBとCがAのもとへ帰ってきました。様子が変です。うなだれています。なんと女子高生BとCは、2人とも修了検定を不合格になってしまったようです。これでは学科試験を受験できません。女子高生Aは眉毛をハの字に曲げています。

いよいよ女子高生Aと僕の番です。事前説明で示された検定コースは、全3コースで一番合格率が低いコースでした。しかし、女子高生Aは順調にハンドルを切ります。前日に「絶対受かるよ」と担当指導員に言われて少し自信を持っていた僕より、明らかに上手です。優しいアクセルとブレーキです。

クランクに入りました。曲がりきれず、クランクにある黄色の吊るされていて揺れるポールに車体が当たると、その時点で不合格になります。女子高生Aは慎重にクランクを進みます。しかし、2つ目の角を曲がろうとしたその時、

ガランガラン

車体がポールに当たってしまいました。「あーなんで前見ないのー。今まで完璧だったのにもったいない……」指導員も残念そうです。女子高生Aは「あっ……」とだけ呟いて苦笑いしていました。

そのまま検定は中止され、最初の駐車位置まで引き返しました。その間もAが運転します。最後の駐車も完璧でした。

そのとき僕は、検定直前に悪いもん見たなと思いました。Aと僕は車をおりて、僕は運転席へ、AはBとCのもとへ駆け寄りました。指導員が紙に記録している間、僕は車の中から3人のことを眺めていました。

「私も落ちたwww」

文字にするとこんな感じでしょうか、女子高生Aがそう言うとBとCも大笑いし始めました。

「3人とも落ちるとかウケるwww」

あー、女子高生Aはこれが目的だったんだ、と僕は悟りました。悟っちゃったんです!!!

修了検定に落ちると、1時間以上の補習を受けなくてはなりません。そのあとまた検定を受け直して合格しなければなりません。合格者は当日から学科教習を受けれますし、最短で翌日から路上教習に入れます。検定日が週2回、教習所が繁忙期であることを考えると、不合格者は合格者に比べて1週間程度遅れをとります。

女子高生Aは、友達のペースに合わせるために、わざと検定に落ちたんです。

彼女とその友達2人の関係だとあり得ない話ではないと僕は思いました。女子高生は、自動車の免許を取りに来ているのではありません。高校生活の最後を友達と過ごしたいのです。

恐ろしい女子高生です。検定もその都度検定料がかかります。それでも、このあと1人だけ先に進むことの方が嫌なのでしょう。検定は合格して、試験で落ちた方がリアルじゃないかと、僕の脳内からご指摘もありましたが、学科試験で落ちると、その日受験した20人以上の前で不合格を晒されることになりますので、「委員のご指摘はあたらない」と答弁させていただきます。技能で失敗するなら、どこぞの誰かさん1人(偶然僕だった)に知られるだけで済みます。その場で「私たち落ちちゃたね☆」という共感もできます。

これは自己犠牲と呼ぶのでしょうか。わざとでも検定を落ちて友達とペースを合わせたい、という自分の欲望だとしたら「自己の犠牲」ではないでしょうが、友達2人に気を遣ってわざと落ちた、となると自己を犠牲にしたことになる……のか???

ほんの少しでしたが、3人の関係性を見ていると、どうも、女子高生BとCのテンションに、女子高生Aが“ついていっている‘’感じがします。

もちろん、本当に緊張していつもはしないミスをしてしまった可能性も十分にあります。でも、もし、そうだとしても彼女はホッとしている気がします。3人一緒だと。

これが男だと、友人より先に合格することを目標とするんじゃないかなと思います。どこか、友人より優位に立ちたいと考えるでしょう。僕もそうです。

男女の友情の違いなんですかね。

ちなみに、僕は一発合格でしたよ! 学科試験も“100点満点で完璧‘’でしたよ! 北の将軍様に褒められそう。

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