湘南日記 10月23日

考え事ばかりしていて鍋を焦がす。

用事ついでに散歩に出かけ、里山公園を歩く。
公園内の木々は葉を落としているものも、紅葉しているものもあったが、山の方はやはりまだ先っちょしか色づいていなかった。もうずいぶん雨は降っていないはずなのに、山道はところどころぬかるんでいた。
キツツキが、つつくことに夢中になりすぎて、木の根元の方まで降りてきた。私に気づくと飛び立つかと思いきや、くるりと木の後ろ側に隠れた。そっと近づき裏に回ってみると、もう消えていなくなっていた。

幼稚園に娘を迎えに行ってすぐに帰れたことはない。
腰かけて手帳に色々書き込みながら、合間、男の子に輪ゴムと銀紙で作った腕輪をもらったり、女の子に髪をほどくようたのまれたり、ボールを蹴り返したり、すすきでからかわれたりしながら娘が遊び終わるのを待った。

娘の手をひき、帰り際、塀の上に座っている男の子にさよならの挨拶をすると、彼は返事のかわりに靴を光らせてみせた。私と娘が驚いていると、衝撃を与えると光るのだと教えてくれた。
かっこいいねぇ、と娘と二人でほれぼれしていると、彼は「でも冬までなんだ」と言った。「冬になったら光らなくなるんだ」
「えっ?どうして?」
「そういうふうにできているんだって」
「そうなの…クリスマスにちょうど良さそうなのにね」
「うん…でも仕方がないことだから」

冷たい風が吹いて来て、あっという間に空が暗くなる。
夜間、雨が降るのかもしれない。

夫は飲み会で食べてくるというので、夕飯は石釜で焼いたマルゲリータを買って帰り、コーンスープや鶏ハムのサラダをローテーブルに並べてTVを見ながら娘と食べた。

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