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【立ち読み版】鎌倉を嫌いになろうとしてみる
鎌倉が好き…
春先になれば、毎年当たり前のように鎌倉特集が雑誌で組まれる昨今。
海があり、山があり、カフェがあり、古都がある。
生まれも育ちも親戚も東京の私。
いつかは湘南エリアに住めたらいいね〜なんて言いながら頭の中に描いていたのはがっつり鎌倉暮らし。朝はレンバイで鎌倉野菜を買って、夕方は海岸線をジョギング、夜になったらリノベーション物件の立ち飲み屋で一杯飲んで、虫の音をBGMに、木々から立ち上る夜露にも似た甘く湿った空気を吸い吸い家路につく…。ああ!!ステキ!!私も鎌倉文士の末席にぜひ加えてくれまいか!!
木々に囲まれた一軒家カフェが多いところも大好き…
と、思いながらもそんなことはまだ夢物語。
むしろ真逆の秋葉原の新築タワーマンション(禍々しすぎて友人2人に「新羅ビル…?」と言われた)でスカイツリーが建設されていくのを眺めながら暮らしていました。
そんなある日のこと。
我が家に、思いがけず急ぎの引っ越しが勃発。二ヶ月以内に出て行かなくてはならなくなり、大慌てで物件を探す。
最初は下町や武蔵野市などを考えていたものの、猫可物件のなさにラチあかなくなって「もしかして湘南エリアに住んでみるタイミング?」とドキドキしながら足をのばして探すことに。
鎌倉は希望する条件の物件が期限内に見つからず、縁あって、二階の窓から富士山が望める江ノ島近辺の借家に引っ越すこととなりました。
引っ越してみれば、藤沢市はたいへん交通の便も良くて住みやすく、子育て支援もがんばっているし、ウチの住居の周りは山と海があり、おしゃれなカフェはないものの、おいしいパン屋やピザ屋があちこちにあり、「ああ、ほんとに心底引っ越して来て良かったよ…」と感じ入る毎日。
もう一生この借家で暮らしたい。
ほんとだよ。うそじゃないよ。強がりじゃない。
でも…江の電に乗って鎌倉まで行き、友だちと会ったり、クレープ食べたり、ジャム買ったり、ドーナツ買ったり、カフェや、時にはバーをはしごしたり、鎌倉アルプスをハイキングしたり、友だちの家から山々の景色と静けさを堪能したり、している最中も、こ、この借家で一生私は暮らしたい…かな…どう…かな…鎌倉に家買うとしたらいつどんなタイミングかな…いやいやいやいや高くて手が出ないって…!!となんだか私、未練がましい。
もういっそのこと、鎌倉のことを嫌いになりたい。
鎌倉特集が出るたびに雑誌を買うのをやめたい。流通している鎌倉系コミックエッセイは全部買ってしまった。
もう私…鎌倉のことは、少し忘れたいの。
あなたをあきらめる理由をひとつひとつ数えあげてみた
あなたを嫌いになる理由を
小さいことから大きいことまで
性格の違いや好みの違いも
そうしたら わりと次から次から出てきて
10コも20コにもなった
そしてこんなことまでして 忘れようとしている
この恋の深さにハッとした
(わかりやすい恋/銀色夏生)
というわけで、鎌倉の嫌いなところを考えてみようと思います。
1.道が狭いわりに車が多い
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